
『悪い男』のスタッフ・キャスト
『悪い男』の感想・評価・ネタバレ
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ヤクザの男が偶然見かけた女に一目惚れ。女に罠をかけ、自らが管理する風俗街に叩き落とす。 大変に胸糞悪いシチュエーション。男に惚れられたせいで全てを失い地獄に落ちた女のことを思うとどうしたって男に肩入れなどできない。それを真正面から受けてなす術もない女は、しかしその先に明確で純粋な愛を感じとる。暴力的で身勝手な愛を正当化しているようにも思われるが、しかしそれは男側にもしっかりと跳ね返ってくるので映画としてのバランスはいい。胸糞悪いまま終わる映画ではないのでよくできていると思う。 この映画で抜群に良いのが、女が住まわされ客と行為をする部屋をマジックミラーで男が見つめるシーン。顔がぼんやりと現れ、無表情で自分の愛する女が他の男に抱かれているのを見守る。この鏡を一枚挟んだ一方通行の関係性が打破される瞬間に二人は通じ合う。見事。
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あらすじだけ見てうーん、て思ってたけど、実際見てみるとずいぶん印象が違った。寓話的で極端な物語ではあるけど、ありふれてるはずの話やと思う。だからラスト、美しいのが怖い。
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〈嘆きのピエタ〉以上のご都合主義はさすがキム・ギドクという感じだった。主人公が全く語らない。表情もない。ストーリーも意味不明。だが監督本人は御構い無し!という作品。 つまらない訳ではないところがまたムカつく。ただひたすら「歪んだ愛」を映し出す我が道映画。