花様年華(かようねんか)

花様年華
香港
rating 4 4
33 16

「花様年華(かようねんか)」のHM world-travellerの感想・評価・ネタバレ

HMworldtraveller
HM world-traveller 3.5 2016年3月12日

一線を超えそうで超えず、始まりそうで始まらない。もどかしくて憂鬱で行き場のない感情の揺らぎや移ろいを 朱や紅を多用したアンニュイな映像と共に味わう映画。 物語としては起伏がなく単調で どこか古典文学のような香り。起承転結が明確なストーリー展開や驚くような出来事を求めて観ると期待外れに終わるだろう。すべてをクリアに語るわけではなく、意図的なのかシーンが所々端折られている「余白の多い映画」。ただ、この余白と映像が醸し出す雰囲気が何とも言えない。舞台となっている時代が時代だけに すべてが古臭いのになぜか見てしまう 2人の一挙一動、視線の先。 トニー・レオンがくゆらすタバコの煙、どことなく猥雑な1960年代の香港の家屋、女の着る 体のラインにピタリとそったチャイナドレス、狭くて息苦しい空間。脱ぐわけでも 絡みのシーンがあるわけでもないのに 隠匿で粘度高めのオリエンタルな官能を感じさせる。どことなく谷崎潤一郎の小説を彷彿とさせる頽廃的な空気。これがウォン・カーウァイの世界観なんだろうか。