奇跡の海

奇跡の海

Breaking The Waves
1996年製作 デンマーク 158分 1997年4月12日上映
rating 3.8 3.8
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『奇跡の海』とは

夫への献身的愛が深すぎるあまり歯車が狂いだす純真な女性の運命を全8章で構成したラブ・ストーリー。1996年カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞、同年ヨーロッパ映画賞でも3部門を制覇した。監督・脚本は1980年代以降デンマーク映画を世界に知らしめた中心的人物の一人であり、『ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年)』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したラース・フォン・トリアー。主演は本作が映画デビューにも関わらず、その演技が高く評価されたエミリー・ワトソン。彼女は本作で数々の賞を受賞した他、1996年アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされた。

『奇跡の海』のあらすじ

1970年代、厳格なプロテスタント信仰が根強いスコットランドのとある村、油田で働くヤン(ステラン・スカルスガルド)と結婚したベス(エミリー・ワトソン)は、なかなか家に戻れない夫からの電話だけを楽しみに、その帰りを待ちわびていた。夫の帰宅まであと1週間、ベスはヤンがもっと早く家に戻れるよう神に祈る。その祈りが届いたかのように、夫は油田事故の犠牲となり、頭部に重傷を負って戻ってきた。ヤンは全身麻痺となり、夫婦生活もおくれない。絶望したヤンは妻を愛するがゆえに、彼女へ愛人を持つよう促す。愛人との情交の様子を自分に話し聞かせることでベスと愛し合えると言うのだ。ベスはそれを言葉通りに受け止め、男たちと体を重ねるようになり……。

『奇跡の海』のスタッフ・キャスト

『奇跡の海』の感想・評価・ネタバレ

  • mazda

    どうすればよかったのかわからない。どうすればハッピーエンドになるのかわからない。何か犠牲を払わなければ誰かを救えないんだろうか、どうすれば救えたのかこの映画に答えは見出せない。 人間って本当に身勝手な生き物、どうすればいいかわからないから何もしないんだろうか?何もしない方が良いこともあるかもしれないけど、どうしたらいいかわからないから何もしない、何もしない結果起きた事態に、後付けのようになんでこんなことしたの、なんでこうなったのって好き勝手言う。なんでこうなったの?じゃなくて、なんでそれに気付けなかったの?って思いたい。 世の中自分だけの力じゃ何もできないことばかりだし、できなかった時の自分を責めたりはしたくないけど、もっとできたはず って私は思いたい。 愛するひとのためにただただまっすぐだった女性ベスのことを、弱い人間と呼ぶことが許せない。 本当の弱い人間は、がむしゃらにまっすぐだった彼女をただ見てるだけで、終わってから好き勝手言う人たちだと思う。 どうすればいいかわからないからこそ、考えて行動しなきゃいけない、どうにもならないという言葉は現実じゃなく現実逃避だと思う。 ベスのした行動が正しかったとは言えないし、愛に溺れて周りのことを何一つ見えていなかったし、彼女は愛する人のことしか考えていなかった。それでも彼女はどうにかしようどうにかしようって、ずっと前だけ見て進んでいたし、犠牲を払うことを惜しまなかった。客観的に見れば自分を傷つけてるだけで、まさに善意に犯されてしまった人だし、冷たい言い方になるけど、結末は奇跡というより"たまたま"という表現の方がしっくりくる。 それでも彼女が彼女なりに彼のことを考えたそのきもちや、彼を愛する想いの純粋さはものすごく美しくて、どうにかしたかったっていうその想いはちゃんと伝わっていると思った。 愛する人の危機という事態で、医者でもない、神でもない、魔法使いでもない私たちははっきり言って何もできないと思ってしまうのが普通。けれど最初から何もできないと決めつけるのは違う。 私は神はいないと思うし、この映画もそういう映画だった。神は存在しなかった。ラストのシーンは神がした行為ではなく、ベスが溢れるほど願った祈りを表したシーンで、彼女は払った犠牲を少しも嫌と思わなかったから祝福をおくった。彼女は喜んでいたんだろう。SFもファンタジーも神もありえないと思うけどこの映画のラストだけはその光景が美しくて涙がでた。善意と言えばそうなんだけど、そんな軽々しいものではないし、周りになんと言われようが彼女にとってそれは愛の形でしかなかった。 トリアーは人を皮肉るイメージが強いけど、奥底に優しい目線をもった人だなって私は感じる。すごく好きな人。彼の作品を見れば見るほど惹かれる。

  • syn490

    記録用

  • でりりん
    でりりん 4 2015年5月12日

    エミリーワトソンに脱帽。善意に命を全うするということ、究極の愛。

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