キッズ・リターン
キッズ・リターン
1996年製作 日本 108分 1996年7月27日上映
rating 4 4
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『キッズ・リターン』のsouthpumpkinの感想・評価・ネタバレ

southpumpkin
southpumpkin 4 2017年1月14日

学校の鼻つまみ者だった二人が卒業してそれぞれの道を歩み始める過程を淡々と捉えた青春映画。この映画を観て青春映画の定義を自分の中で定めることができました。ずばり「青年が成長する過程」を描いているのが青春映画なのです。ホモセクシャルの雰囲気を帯びる二人は、退屈な学校生活を送っていたが、ボクシングとヤクザでそれぞれの生きる道を見つける。よっしゃ、これで食っていくんだ!と決めた矢先、人生は実はそんなに甘くない。この映画を鑑賞した後の感覚は、まるで久しぶりの同窓会に顔を出した時に似ています。人が成長し、時にはすっかり変わってしまうあの感じ。そんなたくさんの人々が画一的に詰め込まれた学校というおかしみ。時にビートたけし(らしさ)が顔を出す映画は明らかにフィクションですが、印象としてはまるで自分の経験をそっくりそのまま切り取ったような瑞々しさがあります。映画の中でズバリ答えが導かれていない、というのも映画のクオリティを格段に高めている。この映画のメッセージはラストの二人の会話に集約されていました。「俺たちは終わったのか?」「馬鹿野郎、まだ始まってもいない」沁みます。 そんなシンプルな映画の中に、北野武の映画的な創意工夫がこれでもかと詰め込まれています。すごい!と思ったのが、ジャンプカット。車が全焼するシーン、強面の人にボコボコにされるシーンなど、ジャンプカットでギャグをやってのけるのです。登場人物の身に着ける服装の色にも気が回っている。十人十色、という映画のテーマそのものです。シンジがキタノブルーを身にまとっていたのはもちろん意図されたものでしょう。