あの夏、いちばん静かな海。
あの夏、いちばん静かな海。
1991年製作 日本 101分 1991年10月19日上映
rating 3.9 3.9
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『あの夏、いちばん静かな海。』のsouthpumpkinの感想・評価・ネタバレ

southpumpkin
southpumpkin 4 2017年1月31日

ある夏、サーフィンを始めた男とそれを見守る女の物静かなカップルの物語。 言葉少な男が折れたサーフボードを見つけ、彼女と思われる女と仲良く海に出かける。主人公の二人が喋らないせいで、説明的なセリフは全くありません。しばらくすると二人に関するある事実が自明になります。が、それもあまりに自然。注意深く見ていないと気づかないように見えますが、しかし誰にでも気付くような演出です。このあまりに自然体な演出はラストでも現れます。僕は身を乗り出して「ん?」と声が漏れてしまいました。 二人の間に過剰な喜怒哀楽を表現する演技は存在しません。基本的に無表情。アキ・カウリスマキを思わせます。純愛映画にもかかわらず、キスシーンすらないのです。ですが言葉を交わさずとも、表情に表さずともわかる、男と女がお互いを思う気持ち。それを物語とカットだけで繊細に表現していくのです。 キタノブルーが本当に美しい。淡い青色が海と空だけではなく、映画全体に配置されています。青く、淡く、そして不可逆な夏の思い出を切り取ったような映画です。北野武最高傑作でしょう。