
『狩人の夜』のスタッフ・キャスト
『狩人の夜』の感想・評価・ネタバレ
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二人の子どもに盗んだ金を預けて絞首刑となった男、そのことを偶然知った邪悪な伝道師が男の妻、そして二人の子供に近づいていく。 国内初BD化によりジワジワと人気の増している本作。ロバート・ミッチャム演じる悪の伝道師による雰囲気がやばい。明らかに善人面をしていながら最初から見まごうことなき悪であり、そっと近づき牙を剝く。饒舌な悪役ってのはもしかするとこの辺りから確立されたのでは?池で唸るシーンの不気味さよ。この悪役像は様々な映画で引用されているというが、例えば黒澤清『クリーピー』なんてまさにこの映画だなって思いました。「この人本当のお父さんじゃありません…」 映画は伝道師に追われて家を出た二人の兄妹が別の家に住まい第二幕へ。不要な展開かと思ったが、きちんと善悪を映画内で描き切るという意味があるのであれば正しい。クライマックスはハッピーエンドなので安心できます。 光と影のイメージなんか超すごい。銃を抱えたおばさまが伝道師の影を見張っていると、室内に灯りを持った娘が。「見えないじゃないの!」とおばさまが灯りを消すと伝道師の影は消える…。かっけええ!このシーンだけで白いご飯が食べられそう。
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川を下る幼子たちを付け狙うオオカミ、善と悪の戦いは非常にキリスト教的であるが、善の側がより狂気を感じさせる。ミッチャムの影、岸辺に仰ぐ納屋のシルエット、空撮やオーバーラップ、川に沈んだ美しき死体や動物のメタファーに富んだ視覚表現で、陰影深い撮影がとてもとても素晴らしい。そしてリリアン・ギッシュの凄み。星空に浮かぶ冒頭は夢に出そう…。後の映画で様々引用されたLOVE&HATEの刺青が象徴する二面性は、二重唱対決へと繋がって不気味だ。ていうか劇中歌がぜんぶ怖い。輪になって閉じるエンディングや、あのリンゴも何かの暗示?って深読みさせる所がまたイヤーな後味。当時はウケなかったのも仕方ない、これぞカルトクラシックな傑作。
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「狩人の夜 リメイク」で必死にググってるんだけど、出てこない、おかしくないですか?これ、完全にリメイクしてくれ案件ですよね?いつまでも何十番煎じでマーベル映画化してりゃあいいと思ってんじゃねえぞハリウッド!!!いい加減にしろ!!そろそろ骨太で強烈なフィルム・ノワール観たい!! 失礼、乱れました。 うん、でも、そのくらい「惜しい」映画でした。ボニー&クライドよろしく、時代背景香る哀し気なフィルム・ノワールで、白黒画面も雰囲気たっぷりで最高なんですがね、女の性愛を憎む聖職者を装う殺人鬼、両手の指にはHATE&LOVEの刺青ってのも布石揃った感じあるんですけどね、うん惜しい。 1955年の映画ですからね、多少のことは目をつぶるよ?でも、それにしたって色々説明不足が多すぎやしないですかね?そんなころっと、パっと出のムショ帰りの垂れ目信じちゃいますか?いくら大恐慌時代の純朴な片田舎だって言ったってさあ。あと子供二人で逃げ延びるのも限界があります。あと、いつまでも背景の見えないハリーに、意味の分からない恐怖は感じるものの、意味わからないな?のほうが勝っちゃって、単純に怖がれないし。これをさ、そういうツッコミどころをさ、現代の賢く各種文献読みまくったオタクでスマートで粘着質の脚本家が肉付けしてさ、リメイク練り上げたらめっちゃくちゃ面白くなると思うんだけど!!ねえどうなの!主演はゲイリー・オールドマンあたりが年のころも目つきのやばさも最適!ちょっと若くしたいならライアン・ゴズリングとかでもいいね、なんなら現代版にしちゃうとかさ、どうなの!! はあ、リメイクしてくれないかなあ…。