2017年7月6日更新

サンダンス映画祭観客賞受賞!音楽療法による認知症治療を探るドキュメンタリー映画『パーソナル・ソング』

ドキュメンタリー映画の国際的な登竜門として知られ、世界中から毎年8000本を超える映画が集まるサンダンス国際映画祭。今年、ドキュメンタリー部門で観客賞を受賞した『パーソナル・ソング』。高齢社会となり、それに比例するように認知症患者が増えている昨今。有効な治療方法はまだ見つからない中、なんと「音楽」が有効な薬に!希望に溢れる本作について紹介します。

世界各国で高評価。サンダンス国際映画祭で観客賞を受賞したドキュメンタリー映画

サンダンス国際映画祭での上映終了後にソーシャルメディア上で高評価の書き込みが数多く書き込まれ、結果的に観客賞を受賞した今作。監督自身も非常に驚いたそうです。

その後、カナダやイタリアなど多くの映画祭でも様々な賞を受賞しています。海外の大手映画レビューサイトRotten Tomatoesでも観客の満足度が94%と高い数字を記録しました。

近年、医学的に注目されている認知症・アルツハイマー病患者への音楽療法がテーマ

根本的な治療方法が確立されないまま、先進国で増え続けている認知症患者が世界的な社会問題となっています。

そんな問題に対しアメリカのソーシャルワーカーであるダン・コーエンは、自分の好きな歌(パーソナル・ソング)を聞くことによって記憶が蘇るのではないかと思いつきます。そして試してみたところ、娘の名前さえも全く思い出せず塞ぎこんでいた94歳の認知症患者である男性、ヘンリーがその歌を聴き始めた途端に陽気に歌い始めたのです。そして、家族や仕事のことを話し始めたというのです。

失われた記憶を取り戻す奇跡の瞬間を探っていく、新しい治療法の可能性を探ったドキュメンタリーとなっています。

どんな刺激よりも音楽が脳に与える影響が最も大きい

劇中に登場する認知症患者のヘンリーについて監督は次のように話しています。

「10年間ただ廊下に座って呆然としているだけだったヘンリーに、彼が好きだった音楽を集めてiPodに入れて聞かせた。

するとまるで音楽を初めて聞いたように急に目覚め、突然立ち上がって指揮者のように動き始めた。人が目の前で死んだような状態から生き生きした様子に変わるのを目撃したんだ。まるで魂が身体に戻ったようだった。」

自身の目で確認したこの現象こそが「どんな刺激よりも音楽が脳に与える影響が最も大きい」という長年の研究によって導き出された事実の証明となりました。

人は音楽に刺激されると「喜び」「動き」「記憶」をコントロールしている脳の部分が活発になることが近年の研究により明らかになっているそうです。音楽が起こす奇跡は、いつも不思議です。いつの時代も、音楽とともに私たちは生きていて、記憶と共に、深く心に刻まれているのかもいれません。

参考情報 personal-song.com