2017年7月6日更新

社会派映画の巨匠が描く、自由に生きる人生の喜び『ジミー、野を駆ける伝説』

1930年代のアイルランドを舞台に実在した活動家ジミー・グラルトンを描いた作品『ジミー、野を駆ける伝説』が2015年1月17日から公開となります。今回は本作の情報をまとめてみました。

権力社会に物申す、自由を求め立ち上がった人々

本作はイギリスの社会派映画監督ケン・ローチが1930年代アイルランドを舞台に、裁判も開かれずに国外追放となった実在の人物ジミー・グラルトンの人生にインスパイアされて完成させたヒューマンドラマ。

本作で、当時の権力社会とそれに屈することなく自由を求めて立ち上がった人々の姿を力強く描き出しています。

ケン・ローチ監督の軌跡

1967年、「夜空に星のあるように」で映画監督デビューを飾った彼は、1969年、ハヤブサと少年の姿の描いた『ケス』で英国アカデミー賞作品賞と監督賞にノミネートされます。

この当時からケン・ローチの作風は一貫して労働者階級をフォーカスし、すでに社会派としての立ち位置を築いていました。

後に彼は、1990年代に入るとその姿勢を崩すことなく、英国の労働者階級や移民をテーマにした作品を次々に発表し、高い評価を得ることになります。

主演バリー・ウォードの出世作

これまでテレビや舞台で活動してきたバリー・ウォードが初主演となった今作。彼は本作で大注目の俳優となり、以降戦火での医師役やアクション映画、ロードムービーなどへのオファーが殺到しているとのこと。

本作では人々に自由を与えようと奮闘する活動家の役を見事に演じ切っています。カンヌ映画祭コンペティション部門に出品された監督渾身の一作で、主演に大抜擢となったバリー・ウォードの今後の活躍に期待!

実在した活動家ジミー・グラルトンの生きた時代

1932年、アイルランド。第二次世界大戦前の激動の時代を生きたジミー。アメリカに強制退去にされたジミーが10年ぶりに戻った祖国で見た、庶民への理不尽な抑圧。

彼はそんな不安の時代に自由と喜びにあふれた人生を説くため行動を起こしたのでした。一時は閉鎖されしまったホールを再び再開させることも反感を買う時代に生きることの難しさを、本作では厳しくそして力強く映し出しています。

厳しい時代にも愛はある!

弾圧の時代に苦境を強いられながら生きるしかなかった時代。そんな時代にも必ず愛は存在するということを、ケン・ローチは伝えています。

劇中、様々な抑制の中でアメリカかぶれなどと攻撃を仕掛けてくる国内の教会や右派などの保守勢力と抗争しながらも、かつての恋人との愛はしっかりと描かれており、それがスパイスとなって観ているものを悲愴感に浸らせないように作られています。

二人の深夜のダンスシーンをはじめとして、所々にエッセンスと散りばめられているシーンが胸を打つのです。