まるで国会の“牛歩戦術”。「ストーリーの進行が遅い!」と噂のアニメを検証してみました

「え!あのエピソード、まだ終わってないの!?」と、驚いてしまうくらいストーリーの進み方が遅いと噂のアニメってありますよね。本当に遅いのか、「早く先が見たい!」という、視聴者の気持ちの焦りによる、ただの思い込みなのか、果たしてその真相は?
『ドラゴンボール』シリーズ
進行の遅さで有名な『ドラゴンボール』シリーズ。中でも『ドラゴンボール Z』(1989年4月26日から1996年1月31日まで放送)は相当なものだったようです。(後に『ドラゴンボール 改』としてデジタルリマスター再編集版が放送されています。)
そこで、『ドラゴンボール Z』の各話のタイトルから、ひとつのエピソード(特定の敵との戦い)が、どれくらいの期間に渡って放送されていたのかを検証してみました。
「ウソでしょ!?」びっくりするくらい長期に渡って戦い続けた、強敵「人造人間 セル」
セルが登場する人造人間編は、1991年11月27日「118話 あれが地球だよパパ…フリーザ親子の逆襲」から始まって、このエピソード全体としては、1993年7月21日まで続いていました。
その中で、実際にセルが初登場したのは141話、そして倒されたのは190話なのですが、それぞれの放送日を確認してみると。
・セル初登場 141話 放送日:1992年7月21日
・戦い終了 190話 放送日:1993年6月23日
ひとつのエピソード、つまり1人の敵と、なんと約1年にも渡って戦い続けていたのです!
もしかしたらと思って、「セル」の前に登場した敵「フリーザ編」も確認してみたのですが、各話のタイトルから類推するに、やはり1年以上に渡って戦っていたようです。
敵1人(正確には、敵の仲間や手下などもいますが)を倒すために約1年を必要とするわけですから、「遅い」と思うのも仕方のないことかも。
次は、1回のストーリーはどんなふうに展開していたのかを確認してみます。
嗚呼、現実世界の時は進む、でも話は進まない
「人造人間(セル)編」の中から、ひとつの話を選んで、主要な内容やセリフを書き出してみました。(すべてのシーン説明やセリフを完全に書き出しているわけではなく、また、タイムラインについても“だいたい”です。)
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【186話 セルをKO(ノックアウト)!!たった2発の超鉄拳】
ストーリーのメインは、セルVS悟飯の戦いです。
0:00~1:40 主題歌
~3:37 前回のあらすじ
~3:46 この回のタイトルコール「セルをKO(ノックアウト)!!たった2発の超鉄拳」
3:47 セルと対峙する悟飯(お互い無言)
5:49 倒れている、クリリン、ヤムチャ、天津飯に仙豆を与えて回復させ、逃げるように促すトランクス。この間も、悟飯とセルは無言で対峙し続けたままということです。
6:07 セル「来い!」 ここで、セル初めてのセリフ!
6:17 悟飯攻撃開始! 主題歌や前回のあらすじなど諸々ありますが、放送開始から6分17秒経過して、ようやくこの回のメインストーリーが動き出したようです。
6:46 セル反撃開始! 未だ、悟飯のセリフはなし。
7:04 悟飯「ィヤー!」 悟飯の気合の発声!(ようやく悟飯の声が聞けました。)
ちなみに、6:17の攻撃開始から、両者ともに、クリーンヒットは1発もなし。
7:27 ベジータ「セ、セルの攻撃が通じていない・・・」 戦いを遠くから見ているベジータのセリフ
7:51 セル「ハアーーー!」
7:55 セル「フアー!」
8:00 戦いを実況しているテレビ局クルーのシーンと、街で戦いの様子を心配している人々のシーン
9:14 再び、セルVS悟飯。両者、空中でにらみ合った状態。
9:48 戦い再開。
10:17 セル「くらえ~!」 爆発的なパンチ。
10:33 結果は爆発的に空振り。
10:54 セル「あ、あいついつの間に」 悟飯はちょっと離れた崖上に移動していた。
11:03 セル「ば、ば、馬鹿な」
11:14 再び、向かい合ってにらみ合いが始まる。
11:28~11:40 CMへの誘導画面。
12:44 今度はセルから攻撃開始
12:49 セル「イーェヤーーー!」 でも空振り。
13:00 セル「ハアーーーーー!」 攻撃しまくるも、全部空振り。
13:10 セル「ば、馬鹿な。一発も当たらんとは」 と言いながらさらに攻撃&空振り。
13:15 セル「あ、当たりさえすれば」
13:20 セル「ドェヤーーー!」 大きな岩を粉砕する激しい、空振り。
13:38 いつのまにか、空中に移動している悟飯。そして、またもやにらみ合い開始。
14:17 唸りながら、突然激しく光って爆発するセル。激しい爆風による砂煙などのシーン。
14:41 砂煙が収まると、・・・・・・まだにらみ合ってた。
15:09 セル「お、おのれー!」
15:21 セル「いい気になるなよ小僧。まさか本気でこのワタシを倒せると思っているんじゃないだろうなぁ」
15:25 悟飯「倒せるさ」 おお!放送開始15分で、ついに悟飯のセリフ!
15:27 セル「ゥオ!?」(みたいな驚いた声)
15:32 セル「大きく出たな。では見せてやるとするか、このセルの恐ろしい真のパワーを。」
16:03 セル「クアーーーーーーー!」
16:20 セル「クアーーーー、ァアーーーーーーー!」
悟空、ベジータなど、他のキャラの驚きの様子を交えつつ、セルのパワーが上がっていくシーン。
18:14 セル「ゥアーーーーーー!」 パワーアップ中。
19:00 セル「ハーーーーーー、クゥアーーーーーー!」 パワーアップ中。
19:20 無言でセルを見続ける悟飯。思い思いの感想を述べるその他のキャラ。
19:47 セル「ハーーーーーーーーーー!」 パワーアップ中。
19:50 セル「どうだ、これが本気になったワタシだ。」 パワーアップ完了した模様。
20:00 悟飯「それがどうした」(4分も掛けて、パワーアップしたのに・・・・・・。)
20:15 少しにらみ合ったあと、いきなりセルの速攻。ここでこの回初めてのクリーンヒット!
20:43 倒れない悟飯に驚いているセルに、悟飯の一撃がボディーにヒット!
20:53 セル「ゥア・・・。ゥァ、ァ、ァ、ァ、ェ・・・・・・・」かなり効いている様子。
21:05 さらに、悟飯のアッパーが、クリーンヒット!
21:32 セル「ば、馬鹿な」 大きなダメージを受けた状態を熱演しつつのセリフ。
21:55 セル「な、なぜ、このワタシが、たった2発のパンチで・・・これほどの・・・ダメージを」
22:20 ナレーション「たった2発でフルパワーのセルを追い詰めた。悟飯よ、一気に勝負だ!」(本当に、一気に勝負して欲しい・・・・・・。)
22:23~ エンディングテーマ。
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1回の話で、パンチ2発。もちろん、だからこそ攻撃力の凄さが伝わるのですが、それにしても2発のパンチの話に22分とは、噂どおりです。
また、『ドラゴンボール』シリーズでは、主要キャラが戦闘中にパワーアップしますが、そこにも多くの時間が使われていました。(仮面ライダーの変身シーンの時のように、空気を読んでくれる相手は、その間は攻撃を控えてくれます。)
そしていちばん驚いたのはセリフの少なさです。今回検証した回については、すべてのセリフを書き起こすことも、それほど大変ではなさそうなくらいに少なかったです。
悟飯にいたっては、今回の主役でありながら、「倒せるさ」と「それがどうした」の二言だけで、それ以外は、気合いを込めた発声だけです。
そんなこんなでも、観てしまう、観続けたくなると思うのですから、ストーリーの面白さはもちろんのこと、日本のアニメの作画力と映像による演出力が如何にすごいかを、再認識しなくてはいけないですね。
いずれにせよ、噂は本当であったことが、容易に想像できる結果だったのは間違いなさそうです。
『ワンピース』
次は、今(2016年)最も人気のあるアニメと言っていいでしょう、『ワンピース』です。
これもまずは、エピソードの長さをチェックです。
ひとつのエピソードが「2年!」って、長すぎじゃないですか!?
海賊なので、敵は“1人”ではなく“一味”となり、主要キャラクターそれぞれの対決がクローズアップされて、必然的にエピソード全体が長くなることはよくわかります。
とは言え、2年はすごい!
最新のエピソードは、「ドフラミンゴ」をリーダーとする一味との戦いをメインに描かれたもので、先日の放送回(2016年3月17日)で、ようやくその戦いに終止符が打たれました。
・2014年1月19日 ドフラミンゴをリーダーとする海賊一味との戦いのエピソード ドレスローザ編開始
・2016年3月17日 ドフラミンゴ一味との戦いが決着(ドレスローザ編としてはまだ完結していません)
念のためもう一度書きますが、複数人の主要キャラクターそれぞれの戦いにもスポットを当てつつストーリーが展開していくため、ある程度長くなってしまうのは仕方のないところなのかもしれません。
そこで、「ルフィー」と「ドフラミンゴ」の直接対決に限定してみると。
・2015年12月6日 「721話 ロー死す ルフィ憤怒の猛攻撃!」このあたりから直接対決スタートです
・2016年3月27日 「734話 自由へ! 喜びのドレスローザ!」決着
1対1の最終決戦になってからでも、約3ヶ月、日数にして112日を要しているのです。
「さあいよいよ(というより、ようやく)最終決戦だ!」とワクワクして観ていた方達が、「ふうぅ~、終わった~」と一息つけるまでに、、2,688時間も待ち続けたことになるのです。
そりゃあ、「遅い!」と言いたくなる気持ちもわかります。
ひとつの回の内容も確認してみましょう。
前回までのあらすじ長過ぎ! 回想シーン多過ぎ! 戦闘シーン止まり過ぎ!
(すべてのシーン説明やセリフを完全に書き出しているわけではなく、また、タイムラインについても“だいたい”です。)
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【723話 覇気激突 ルフィVSドフラミンゴ】
0:00~2:30 主題歌
~5:00 ここまで前回までのあらすじ。そして、この回のタイトルコール「覇気激突 ルフィVSドフラミンゴ」
5:10 ここからこの回のストーリーがスタート。
本編が始まるまでに、5分を要するというのは、『ドラゴンボール』以上ですね。
倒れているドフラミンゴと、倒したトラファルガー・ローとのやりとりがしばらく続きます。
6:29 出ました!『ワンピース』恒例の回想シーン!(コラソン(コラさん)がドフラミンゴに殺された時のことを、ローが回想しています。)
6:49 ローの回想終了。(わりと短かったですね。) そして、また、倒れているドフラミンゴと、ローのやり取りが再開。ちなみに、ドフラミンゴは、倒れたまましゃべってます。
7:27 おーっと! 今度はドフラミンゴが回想に入りました!
7:37 ドフラミンゴの回想終了。(このくらいの長さなら、まあ、気にならないレベルですね。) で、ドフラミンゴとローのやり取り再々開。
7:46 と思ったら、ローが2度目の回想に入った!
7:51 と思ったら、あっという間に回想終了。やりとり再開。ドフラミンゴはまだ倒れたまましゃべってます。
8:22 コラさんのことを悪く言う倒れたままのドフラミンゴに、怒ったローがいきなりの攻撃。
8:58 ダメージを深くした様子のドフラミンゴから、ふらつきながら離れていくロー。
9:05 ふらついていたローが倒れてしまい、意識が遠のいていく描写。
9:18 倒れたローに、ルフィ―が声を掛ける。
9:26 ローの意識が戻って、ここからは、ローとルフィ―のやり取り。
9:49 そして、瀕死と思っていたドフラミンゴが突然の復活!
10:15 自ら、復活できた理由を解説し始める、視聴者にとても親切なドフラミンゴ。
10:42 ドフラミンゴの仲間、トレーボルによって、その場から遠くへ追いやられてしまうルフィー。
11:00 倒れているローを見下ろすドフラミンゴ。形勢逆転だ!
11:08 ドフラミンゴが片足を持ち上げて、踏みつけ態勢!
11:24 ローを踏みつける寸前のところで、ルフィーの足が出てきて止めた! って、足を持ち上げて下ろすまでに16秒って、どんだけ長い足なんでしょう。
11:59 もう一度踏みつけようとしたドフラミンゴの足を、ルフィーの足がまた止める。2人の足がぶつかり合った状態で、両者その姿勢をキープ!
13:44 1分45秒の間、不思議な状態(2人の足がぶつかり合った状態)をキープしたまま、CMへ。(CMへの誘導画面)
14:01 CM終わりの画面が出た後、唐突に違う場面、と思ったら、なんとっ、トレーボルの回想シーンでした!(少年時代のドフラミンゴとの出会いを思い出しているようです。)
14:30 おー、トレーボルの回想の中で、少年時代のドフラミンゴが回想を始めた! 回想の中で回想、これはすごい技です。
16:20 トレーボルの回想の中の、ドフラミンゴの回想が終了して、トレーボルの回想再開。(あーややこしい。)
17:30 と、ここでまた、ドフラミンゴの回想です!(もちろん、トレーボルの回想の中)
18:22 ドフラミンゴの回想終了。そしてトレーボルの回想に戻りました。(えーい、ややこしい!)
18:47 トレーボルの回想終了。
18:52 当然、ドフラミンゴの足とルフィーの足は、ぶつかった状態のままを、キープ!
19:04 ようやく2人が離れる。
19:09 ルフィーの後ろ回し蹴りを、ドフラミンゴが片手でブロック。ここから、2人の本格的な戦闘シーンスタート。
20:02 ルフィーが竜巻みたいに回転しながらキック。ドフラミンゴのボディーにクリーンヒット。そしてなんと、またもや、その状態のまま両者止まってしまった!(空中でキックして止まったままでいられるルフィーは、もはや、ドラゴンボールの武空術さえも習得しているのか!?)
20:25 動き出しました。
20:28 今度はルフィーの左ストレートが、ドフラミンゴの顔面にヒット! で、止まる。
20:35 そして、ルフィーの右ストレートがヒット!
20:50 立て続けにルフィーの攻撃がヒットするけれど、その都度、止まるか超スロー映像になるシステムのようです。
20:58 ルフィーが強烈な技を繰り出す態勢に入った! そのとき!
21:15 ドフラミンゴが回想開始。
21:48 回想終了。ルフィーの攻撃シーン再開。
22:07 ルフィーの攻撃をかわしたドフラミンゴの強烈なキーーック! で、止まる。
22:38 キックをブロックしたまま30秒、そしてルフィーが吹き飛ぶ。
23:00 吹き飛んだルフィーに追い打ちを掛けることもなく、「フフフ・・・・・・」と笑いながら、ルフィーを見ているドフラミンゴ。 ここで「TO BE CONTINUED」の文字。つまり、この回終了。
23:06~ 次回予告とエンディングテーマ
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「本編かと錯覚するほどに丁寧な前回までのあらすじ」「妥協を許さない回想シーン」「攻撃のパワーの描写へのこだわり」この3つは『ワンピース』シリーズ全体の特徴と言えるかもしれませんが、ホントに話が進みません。
主要キャラの数が多いこともあって、セリフは『ドラゴンボール』に比べると圧倒的に多い(書き起こそうとしたらかなりの時間が必要そうです)ですが、ストーリーの進展はやっぱり遅いと言えます。
その大きな要因は、お気付きのことかと思いますが、そう「回想シーン」ですね。
今回の話の中の回想シーンを合計してみると、約6分でした。本編のストーリーが約18分(テーマ曲やこれまでのあらすじを除いた時間)ですから、1/3が回想シーンということになります。
特に、回想の中の人物が回想を始めるという画期的な発想には驚かされました。
さらには攻撃後のストップモーションとスローモーション、映像上の演出効果が十分であることは間違いないのですが、これが積み重なると進行時間には大きく影響しそうです。
『ワンピース』もまた、噂にたがわず、進行の遅さが実感できる結果となりました。
ただ、回想シーンをしっかりと創り込んでいることで、キャラクター設定のリアリティーが生まれて、単純な「善対悪」という図式になることなく、人間ドラマ的な要素が膨らみ、ストーリー全体の深みが増しているのかもしれません。
戦闘シーンのストップモーションやスローモーションは『ドラゴンボール』シリーズでも同様ですが、破壊力を伝えるために必須の映像演出なのだとも思います。
こうして2つの大人気作を「進行が遅い」という点に着目して検証してみたら、アニメとして「魅せて伝える」ための工夫や演出が徹底して考えられた結果として、「進行が遅くなってしまう」ということにも繋がっているというのがよくわかりました。
話が進まないと言えば、思い出します『巨人の星』
「目が燃える」「ちゃぶ台返し」「“ガーン”という擬音の生みの親」など、数々の逸話を持つアニメ界のレジェンド『巨人の星』。進行の遅さにおいても、殿堂入り級です。
ただ、『ドラゴンボール』や『ワンピース』と違って、全体のストーリーの進行というよりも、「ここぞ!」という時のライバル打者との対決シーンに、ものすごく時間が掛かったことを覚えています。
「ピッチャー、セットポジションから高々と足を上げ、そのまま止まった!」
【128話 必殺の大リーグボール2号】
大リーグボール2号「消える魔球」を初めて公式戦で投げる話で、バッターは中日ドラゴンズの「オズマ」。大リーグボール1号を打ち砕いた相手でもあります。
前後は省略して、飛雄馬がオズマに一球目を投げるシーンに注目してみましょう。
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7:58 審判の「プレイボール!」の声の後、オズマが打席に入ってバットを構えます。
8:04 飛雄馬がプレートを踏んでいよいよ第一球です。
と、ここで、飛雄馬の父である星一徹の心の声が聞こえてきます。
一徹「さあ飛雄馬よ、この父に見せてみい。大リーグボール第1号を打ち砕いた、さぞ憎いであろう敵、このワシに見せてみい。大リーグボール2号、消える魔球とやらを」
試合中は、登場人物同士の会話はほとんどありません。ただ、それだと視聴者にそれぞれの気持ちが分からないということであみ出されたと思われるのが、【心の声ナレーションシステム】です。
登場人物の心の声を、はっきりとスピーカーから聞こえるようにしてくれるので、視聴者にもとてもわかりやすく、ストーリーに入り込むことができる、画期的なシステムと言えます。
さて、続きです。
8:22 飛雄馬、ついにセットポジションに入りました。
伴宙太の心の声「さあ、星よ、見せてやれ。オヤジさんに、オズマに。そして5万の観衆に。お前と俺の野球根性が生んだ奇跡の魔球を」」
8:42 飛雄馬、投げるかと思いきや、ここで2塁ランナーに牽制球
8:47 再びセットポジション
9:05 オズマとにらみ合った後、再び2塁へ牽制球
9:24 マウンド上でボールをこねる飛雄馬
10:06 あらためて、セットポジション
10:23 飛雄馬「よおーし」(心の声)
10:38 そして飛雄馬の目が、突然発光! かなり激しく光っています!
10:52 光る目で睨まれたオズマが、タイムを掛けて打席を外してしまいます。
11:16 オズマが打席に戻って、プレイ再開
11:20 飛雄馬の心の声「ふふ、さすがに馬鹿じゃない。すでに何かを予想しているな、黒い悪魔よ。だが、俺はその予想の、おそらく上を行く」と言って、またもや目が燃えます。
「その予想の上を行く」ではなく「その予想の“おそらく”上を行く」というあたりに、飛雄馬の謙虚さが垣間見えた気がします。
11:34 ここで飛雄馬の足が高々と上がった! そして、静止!
11:40 一徹「この父に、この敵に見せてみい。お前の魔球とやらを!」
11:45 伴「星!」
11:46 川上監督「奇跡が走る、今こそ!」
この間、飛雄馬は足を上げたままということになります。
11:47 投球動作再スタート (文句なしのボークです!)
11:50 投げた!
12:00 ボールがホームへ向かって飛んで行く
12:05 オズマ「もらった!」
12:06 ボールが消えた!
12:06 文字通り真っ青な顔になったオズマ「ハォア!」驚いて固まる
12:14 ボールがキャッチャーに到達
ボールがキャッチャーに届くまでに、24秒! どれだけ遠いんでしょう。
このあと、
・オズマは足がガクガクブルブル状態
・茫然としている二塁ランナーが牽制球でアウト(十分な時間があったのに、盗塁してなかった)
・ボールが消えることが分かって、騒然となる
・街の電気屋さんの店頭のテレビに駆け寄る明子姉ちゃん
とまあ、いろいろありますが、結局オズマは三球三振。
審判の「アウト」のコールは、17:26 でした。
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1人のバッターを打ち取るのに、約9分(しかも三球三振なのに)です。さすがレジェンドアニメと言うべきでしょう。(ネット上の情報では、もっと長く掛かる回もあるようです。)
時間の経過はともかくとして、あらためて観てみると、目が燃えたり、ボールが消えたり、心の声で解説したり、いろいろなことが“画期的”であった、アニメ史に残る傑作であることは間違いありませんね。
大人気長編アニメとの付き合い方
制作スタッフも苦心しているのだと思います。気長にじっくり観ていきましょう!
進行が遅いと言われるアニメとして、他に、『BLEACH』(久保帯人原作)、『キャプテン翼』(高橋陽一原作)が有名なようです。そして、それらのアニメに共通している理由が、「原作である雑誌連載に追いつき、追い越すことはアリエナイ」ということなのは想像に難くありません。原作が雑誌などで連載中にアニメ化される作品では、どうしても進行のスピード調整も必要となってしまうのでしょう。
そのため、オリジナルのシーンやエピソードを追加するなど、制作スタッフさん達も、あれこれ大変なんだと思います。
「どうしても我慢できない」という方は、録画しておいて、リモコンの早送りボタンを駆使しつつ観るという方法もありますが、制作側の“大人の事情”も理解している多くのアニメファンは、「進行の遅さ」も持ち味のひとつと受け止めて、各作品を楽しまれているようです。
ストーリーが面白いのは疑う余地がないのですから、覚悟(?)を決めて、大人気長編アニメとは、気長にのんびり付き合っていくのが良さそうです。