男と、女と、一匹の犬。ジャン=リュック・ゴダール監督の初3D作品『さらば、愛の言葉よ』

2017年7月6日更新

フランスが生んだ映画の寵児、ジャン=リュック・ピエール監督による初の3D作品!映画という概念そのものを揺るがす、新しい作品ができました。具体的なストーリーではなく、ただ繰り返されていて、でも実は異なる2部構成。

フランス映画界の巨匠、ジャン=リュック・ゴダール監督、初の3D映画

ある人妻と、1人の男が出会い、愛し合い、諍いが起き、言葉を巡り、季節も巡り、再び出会う女と男。 しかし元夫によって全てが台無しになり、物語は第2幕へと進んでいきます。

町と田舎をさ彷徨う、一匹の犬、ウェルシュ・シープドッグ。 スクリーンをのびやかに駆け回り、言葉すら立体的に紡いでいきます。

このウェルシュ・シープドッグは、実はゴダール監督の愛犬ロクシー。 本作の重要な役回りに、パルムドッグ特別審査員賞が贈られています。

ゴダール監督の愛犬、ロクシー。

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斬新な映画を撮る、80歳にして今なお現役のゴダール監督による新たな挑戦

『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』など、映画史にその名を残す名作を数多く手がけ、80歳という年齢にも関わらず、現役で映画と向き合うジャン=リュック・ゴダール監督。

初の3D作品ですが、やはり一般的な3D作品とは一線を画しているようです。

フランス映画の巨匠、ジャン=リュック・ゴダール監督

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3Dの撮影は、その効果を活かすためのルールのようなものが存在しますが、ゴダール監督はそのルールを次々に塗り替えてしまいます。

そのため、楽しさや迫力など、エンターテイメント的な要素を高める3D上映が一転して、観客に対して大きな負荷となる映像になっています。

これまでの3D映画は、映像に迫力を持たせたり、より映画の世界に入り込むためにこ用いられてきた技術です。

しかし、『さらば、愛の言葉よ』は全く逆の手法です。 立体感が歪み、映画の世界へ入り込むこめない、曖昧にぼやけた映像となっています。

立体的なのに歪んでいる世界。 それはまるで、とてもリアリティの強い現実世界のようです。

言葉にフィーチャーした、不思議な2部構成

原題は『Adieu au langage』、直訳すると「さらば、言葉よ」となります。

この映画に明確なストーリーは存在しておらず、公式ホームページやパンフレットでは、こういったストーリー説明がされています。

テーマはシンプルだ 人妻と独身男が出逢う ふたりは愛し合い、口論し、たたき合う 一匹の大きな犬が町と田舎を彷徨う 季節はめぐり 男と女は再会する 犬は気付くとふたりのもとに落ち着く 他者が個人の中に居て 個人が他者の中に居る そして登場存物は3人になる かつての夫が全てを台無しにし 映画の第2幕が始まる 第1幕と同じようで それでもどこか異なる 人間からメタファーへと移り 犬の鳴き声と赤ん坊の泣き声で 物語は終わる
引用:公式HP

第1幕で人妻と独身の男が出逢い、恋に落ちます。 第2幕では女と男、そして元夫の3人が登場人物となり、同じような映像が繰り返されます。

同じだけど、ちょっと違う。

そんな2部構成の作品となっています。

物語ではなく、映像と言葉に呑まれる69分間

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言葉を考え、言葉で遊び、言葉を捨て、言葉を抱きしめる。

物語が曖昧だからこそ、自由になる言葉たちに、そして3Dの新たな価値を生み出した作品に、出逢いに行ってみませんか?

参考サイト チェコ好きの日記