2017年7月6日更新

『シャイニング』ジャック・ニコルソンみたいなお父さんは嫌だ

スティーヴン・キングの小説をベースにスタンリー・キューブリックが映画化した『シャイニング』。ジャック・ニコルソンの怪演が光るあまりにも有名なホラー映画ですが、改めてストーリー、見所、キャストなどをまとめてみます。

『シャイニング』はホラー映画の超代表作!

ホラー映画の傑作として知られる『シャイニング』。スティーヴン・キングの同名小説を、ジャック・ニコルソンの主演で、スタンリー・キューブリックが映画化した1980年の作品です。

曰く付きのホテルに管理人として住むことになったある家族をめぐる物語ですが、映画はキングの『シャイニング』から離れ独自のストーリー性を持って完成しました。

主人公のジャック・トランスが突如として狂気に走る様はまさに恐怖の一言であり、こんなお父さんが家にいたら妻や息子はたまったものではありません。ジャック・ニコルソンの怪演が際立つ『シャイニング』についてまとめてみます。

『シャイニング』のあらすじ

舞台は、コロラドの人里離れたオーバールック・ホテル。冬の間は積雪が激しく客足も途絶え、閉鎖せざるを得ないホテルの臨時の管理人として、小説家志望のジャック・トランスが雇われることから物語が始まります。

ホテルの支配人から「過去にグレイディという管理人が孤独に耐えきれず心を壊し、家族を殺したあと自殺した」という話を聞いても全く気にしないジャックは、妻と息子と共に住み込むことを決めました。

ジャックの息子のダニーには未来を見る不思議な力「Shining」があり、ホテルの異様な空気を察知し超常現象も体験します。しかし結局、最も恐ろしいのは父だったのでした。ある時狂気が暴走し始めたジャックは、妻のウェンディと息子のダニーに斧を振りかざして襲いかかったのです。

『シャイニング』の感想評価を紹介!

Daiki_Kinoshita 脚本・監督:スタンリー・キューブリック 原作・スティーヴン・キング

1980年公開

ステディカムを駆使して、おもちゃの車に乗るダニーを追う画と、迷路に迷う2人とジャックの目線のモンタージュが好きだった。 破壊した扉の隙間からジャックが顔を出す有名なカット。2秒の画の為に2週間も時間をかけるのは流石に異常だと思った。

Raska シャイニングと呼ばれる超能力が、ストーリーにほぼ関わってこなかったのでびっくりしました。 怖い、というか不安な気持ちになったのは間違いないですし、カット割も面白かったですが…あまりピンと来ませんでした。

解説ページを参照すると原作の方が話としてしっくりきそうです。 読んでみようかと思います。

majimumi_ 原作を読んでから映画を見ると分かりやすい気がする。(原作の終わり方が個人的に好きだからかも)“かがやき”がどんなもので周りにどんな影響を与えていたか、の描写が少なかった。でも、さすがに作り込まれていてメイキング見たときは思わず声が出た。ホラーの原点だと思う。

『シャイニング』の裏話

キューブリックVSキング

本作は、スティーヴン・キングの原作とは別物と言っていいほど内容の改変がされています。特に顕著なのがジャックが狂気に走る理由で、原作小説では暴走への過程を丁寧に描いていますが、映画では決定的な理由がないまま突然狂い出すという筋書き。

これを含む多くの改変に憤慨したキングはキューブリックを猛烈に批判し、のちに自身の原作に忠実なドラマ版を製作しました。キューブリックは終始「恐怖」を際立たせましたが、キングが描きたかったのは「ヒューマンドラマ」のようです。しかしキューブリックの『シャイニング』が商業的に大成功したのは事実です。

驚異のリテイク数

キューブリックはこだわりすぎるあまりリテイク数が尋常ではなく、ギネスにも登録されたのだとか。

ジャケットにも採用されている、主人公・ジャックが壊れた扉から狂気に満ちた顔を覗かせるシーン。この表情を引き出すために、わずか2秒程度のシーンを、2週間かけ、190回以上もぶっ続けで撮影したと言われています。演じたジャック・ニコルソンは、本当に気が狂いそうだったのかもしれませんね。

また、妻役のシェリー・デュヴァルが狂った夫から逃げるシーン。よりリアリティある映像にするためにわざとNGを出し、127回撮り直しを重ねています。

さらにエンディングの、母子と支配人が再開しボールを受け渡すシーンには、思う通りにボールが弾むまで132テイクもかけました。しかし、結局このシーンはカットとなったそうです。キューブリックの偏執狂的な側面がうかがえます。

ステディカム撮影

ブレや振動を抑える「ステディカム」。これによって、台車やクレーンを使わずにスムーズな移動撮影が可能になりました。

キューブリックは、本作で開発されたばかりのステディカムを導入しています。例えばダニーがホテルの廊下を三輪車で走るシーン。低い位置にカメラを設置し低視線で撮影されたブレのない長い1カットは不気味さと緊張感を高め、本作でステディカムの技術と効果が広く知られるようになったそうです。

『シャイニング』の恐怖のシーン5選

ホラー映画の怖さの度合いは数学的な計算で導き出せることをご存じでしょうか。ロンドン王立大学の研究チームのメンバーが様々なホラー映画を鑑賞し、人がどのような場面に対して恐怖を感じるのかを調べ、恐怖度を導き出す公式を発明したそうです。

ホラー映画にとって重要な要素は「緊張感」、「リアリズム」、「血」、「衝撃度」などであり、それらを公式にあてはめて計算をすると、世界で最も怖い映画は『シャイニング』になるのだとか。

ロンドン王立大学のお墨付きホラー映画『シャイニング』から、恐怖シーンをピックアップしてご紹介します。

エレベーターから血の洪水

原作では誰もいないのにエレベーターが動くという設定だそうですが、映画は大量の血が吹き出てくるという視覚的に効果絶大なシーンになりました。

双子の姉妹

父親に斧で殺された女の子たちの亡霊です。不気味な表情を湛え、劇中で象徴的に登場します。

エンドレス“All work and no Play makes Jack a dull boy”

「勉強ばかりで遊ばないとジャックはばかになる」ということわざが、何枚にもわたって延々とタイプされています。画的には地味なシーンですが、狂気を感じずにはいられません。

恐怖におののく妻・ウェンディ

ジャックが何度も扉に斧を振り下ろし斧の刃先が貫通した時は、いくら撮影とはいえ本当に怖かったのでこの表情が生まれたのでしょう。前述した127テイクかかったというシーンです。

「Here's Johnny!」

ジャケットにも使用されたこのシーンはやはり外せません。斧で扉を壊し、狂気に溢れた表情を見せるジャック。顔を覗かせ「Here's Johnny!(お客さまだよ!)」というセリフは、アメリカのTVショーを元ネタとしたアドリブだそうです。

気になるキャストを紹介!

ジャック・トランス/ジャック・ニコルソン

主人公のジャック・トランスを演じたのは、1937年4月22日生まれのジャック・ニコルソンです。

1958年『The Cry Baby Killer』でデビュー。『イージー・ライダー』のジョージ・ハンソン役で知名度を上げ、『カッコーの巣の上で』などで、オスカーを3度獲得しました。ティム・バートン版『バットマン』のジョーカー役も印象深いですが、2010年の『幸せの始まりは』以降は、ほぼ引退状態となっています。

ウェンディ・トランス/シェリー・デュヴァル

ジャックの妻・ウェンディは、1949年7月7日生まれのシェリー・デュヴァルが務めました。

1970年『BIRD★SHT』でデビュー。『ポパイ』のオリーブ役や『シャイニング』での怯える妻・ウェンディで知られています。女優として活動しながら子ども向けテレビ番組『フェアリー・テール・シアター』の製作も務め、多くの受賞歴もあるそうです。

ダニー・トランス/ダニー・ロイド

未来を見る力「Shining」を持つジャックの息子・ダニーを演じたのは、1973年1月1日生まれのダニー・ロイドです。

ダニー役は、約5000人の候補者の中から獲得しました。『シャイニング』以降も子役としてしばらく活動し引退。成人した後は、教職に就き生物を教えているそうです。

ディック・ハロラン/スキャットマン・クローザース

ダニーと同じ能力を持つ料理長のハロランは、1910年5月23日生まれのスキャットマン・クローザースが務めました。

15歳の頃からミュージシャンとして活動をスタートさせ、テレビ出演を機に俳優デビューします。ジャック・ニコルソンとは『カッコーの巣の上で』や『シャイニング』など計4作品で共演しました。1986年11月22日、76歳でこの世を去っています。

スチュアート・アルマン/バリー・ネルソン

支配人のスチュアート・アルマンを演じたのは、 1917年4月16日生まれのバリー・ネルソンです。

映画やブロードウェイで活躍するほか、『007』のテレビドラマ『007 カジノ・ロワイヤル』で主役を務め、実はジェームズ・ボンド役はショーン・コネリーよりも先輩です。2007年4月7日、旅行先で急死。89歳でした。

デルバート・グレイディ/フィリップ・ストーン

妻と娘たちを惨殺したホテルの前管理人デルバート・グレイディを務めたのは、1924年4月14日生まれのフィリップ・ストーンです。

舞台俳優として活動していたところ、キューブリックに声をかけられ『時計じかけのオレンジ』や『バリー・リンドン 』、『シャイニング』に出演。その後、キューブリック以外の作品にも多く出演しますが、2003年6月15日79歳で亡くなっています。

ロイド/ジョー・ターケル

亡霊バーテンのロイドを務めたのは、1927年7月15日生まれのジョー・ターケルです。

ギャングや戦争をテーマにした映画を中心に多くの作品に出演。また、『シャイニング』のバーテンダー役のほか、『ブレードランナー』エルドン・タイレル役でも知られていますが、1998年以降の活動はありません。