宍戸錠、ちょい悪が似合う遊び人に迫る!

2017年7月6日更新

日活映画全盛期を代表する人気アクションスターの宍戸錠。「エースのジョー」として不動の人気を誇った俳優キャリアから、その素顔と最近の話題まで、老いてなおクールな宍戸錠の魅力に迫ります。

ちょい悪俳優の元祖、宍戸錠のプロフィール

宍戸錠は、1933年12月6日生まれ、大阪市北区出身です。父は成功した実業家で、幼いころ東京に引越し、裕福な暮らしを送っていましたが、東京大空襲で自宅が全焼したこともあって、宮城県白石市に疎開します。

1952年、宮城県白石高等学校を卒業し、日本大学藝術学部演劇科に進学しました。高校時代は、身長174㎝の当時としてはかなりの長身を生かし、バスケットボールに熱中していたようです。

大学在学中の1954年、日活撮影所の俳優募集に応募し、8000人のなか見事合格、日活ニューフェイス第1期生として、大学を中退して役者の道を選びました。

宍戸錠の家族関係は?

実弟は俳優の故・郷鍈治

1992年に肺ガンにより55歳の若さで他界した俳優の郷鍈治(ごうえいじ)は実弟です。1960年に映画『狂熱の季節』でデビューしたのち、その強面の風貌から数々の映画やドラマで主に悪役として活躍しました。「仮面ライダーV3」のキバ男爵なども代表作のひとつです。

郷鍈治の妻が「喝采」や「夜間飛行」などで知られる昭和を代表する実力派歌姫・ちあきなおみです。つまり、ちあきなおみは宍戸錠の義妹に当たります。二人は宍戸の紹介で出会い、1978年に結婚しました。

残念ながら、ちあきなおみは郷の死後、歌手活動を完全に休止しており、ほとんど引退状態になっているのは周知のとおりです。

長男は俳優として活躍中の宍戸開

1966年9月4日、宍戸錠の長男として生まれた宍戸開も、1988年にNHK大河ドラマ『武田信玄』で役者デビューし、俳優・タレントとして活動しています。 フジテレビ系列の旅グルメ番組『くいしん坊!万才』では、親子共々レポーターをつとめました。

最近は『テルマエ・ロマエ』や『超高速!参勤交代 リターンズ』など映画出演のほか、「五影開」の名で写真家としても活動しています。

映画デビューの翌年、豊頬手術をきっかけに悪役に転向!

宍戸錠は、日活撮影所に入所した翌1955年、『警察日記』で映画デビューを果たします。森繁久彌扮する吉井巡査を主人公に、田舎町を舞台にした警官と住民の心温まる関係を描いた作品です。宍戸錠は、若き巡査の藪田を演じました。

翌年、役作りのため豊頬手術を受けたことで、個性的な風貌に変身します。宍戸錠にとっては不本意な術後だったようですが、これをきっかけに、悪役へと転向を図ることになります。

「エースのジョー」で一躍人気スターに

1959年に始まった、小林旭とのコンビが大ヒットした「渡り鳥」シリーズや、6作公開された「拳銃無頼帖」シリーズで見せたクールなガン・アクションで一躍人気沸騰します。それまで日本映画界にはいなかったタイプの、ハードボイルド風のスタイルは、ハリウッドスターに似たアクの強い魅力を放っていました。

1961年の映画『早射ち野郎』がきっかけで、「エースのジョー」と呼ばれるようになり、日活アクションスターの中でも、際立った個性を持つ役者として、唯一無二の存在になっていきました。

以後、たくさんの映画に出演を続け、やがて映画以外、テレビにも活躍の場を広げ、長らく幅広い人気を誇っていきます。

ちなみに、トレードマークだった頬のシリコンは、2001年にとうとう除去手術を敢行しています。

テレビではコメディアンとしても活躍

テレビにおいては、ドラマのみならず、1970年前後に高視聴率を記録していた人気お笑い番組『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』などに出演します。映画の役柄とは一転、軽快なコメディアンぶりを発揮し、新たなファンを獲得しました。

70年代には『元祖ドッキリカメラ』の司会、1982年1月からは2年間、『くいしん坊!万才』の4代目レポーターをつとめています。最近では、2013年にBS日テレで放送された『おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!』に出演し、相変わらずのユーモアを交えて、愛車について語っていました。

映画『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』で、いぶし銀の演技を披露

「サンダンス・フィルムフェスティバル・グランプリ IN TOKYO」を受賞した、1993年の映画『ヌードの夜』の続編として2010年に公開されたのが本作です。監督と脚本・石井隆、主演・竹中直人はそのままに、主人公の代行屋・紅次郎と彼を取り巻く女たちの愛憎劇を描く、ネオ・ノアール・ムービーです。

本作では、駅前の雑居ビルでバーを経営する母と姉妹の思惑に巻き込まれる紅次郎の姿を描いています。

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女たち3人に扮したのは、毋・大竹しのぶ、姉・井上晴美、妹・佐藤寛子。宍戸錠は別れた夫であり父である山神直樹を、癖のある渋さで演じています。

公開にあたり記者会見の席でも、これだけの豪華キャストにあって、宍戸はさすがの存在感を放っていました。

日活創立100周年記念で、手型モニュメント!

2012年、日活創立100周年を記念した手形モニュメントが製作され、「スポーツ祭東京」事業の一環として、調布市にある京王飛田給駅改札口前に飾られました。

石原裕次郎、吉永小百合、渡哲也ら、日活にゆかりのある映画人64人の手形が並ぶモニュメントの除幕式に、宍戸錠が出席して華を添えました。ブラックスーツに白いネクタイ、サングラスもよく似合う往年のカッコよさはそのままに、クールな姿は健在です。

愛妻の他界と自宅火災に巻き込まれるも……

2010年に愛妻に先立たれた上、2013年には一人暮らしだった自宅を火事で全焼という不運に見舞われた宍戸錠。その後は賃貸マンション住まいながらも、ときおりマスコミに登場し、相変わらずクールなタフガイぶりを発揮しています。

「賃貸暮らしは始まったばかりでどうか分からないけど、今は学生に戻って生活している気分だよ」

ときおり冗談を交えながら語る姿は、さすがちょい悪の大スターぶりは健在です。