ヘンリー・マンシーニ、『ティファニーで朝食を』の作曲を手掛けたアカデミー賞常連作曲家に迫る!

2017年7月6日更新

『ティファニーで朝食を』をはじめとする多くのオードリー・ヘプバーン主演作品の音楽を担当したヘンリー・マンシーニ。彼は映画音楽家として数々の作品を手がけ、数多くの賞に輝いています。日本でも親しまれている彼の代表作など、マンシーニの業績をご紹介します。

ヘンリー・マンシーニってどんな人?

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ヘンリー・マンシーニはアメリカの作曲家・編曲家です。

エンリコ・ニコラ・マンチーニとしてオハイオ州クリーブランド近くのリトル・イタリーで生まれ、ペンシルベニア州ピッツバーグで育ちました。幼い頃からフルート奏者の父親にフルートとピッコロを教わり、12歳からピアノを習い始めます。高校卒業後はジュリアード音楽院に進学し、第二次世界大戦中は空軍のマーチングバンドでも活躍しました。

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その後、グレン・ミラー楽団でアレンジャー兼ピアニストとしても活動。1952年にユニバーサル映画に入社し映画音楽に関わり始めます。

1994年6月14日、膵臓および肝臓ガンのため70歳で自宅で息を引き取りました。

オードリー・ヘプバーン出演作で注目されたヘンリー・マンシーニ

オードリーの魅力が満載の名作映画【1961】

映画『ティファニーで朝食を』

自由気ままに生きる美しい娼婦ホリー(ヘプバーン)と、作家のポール(ジョージ・ペパード)との恋愛を描いた作品です。

マンシーニは本作の音楽をすべて担当し、アカデミー賞歌曲賞と劇・喜劇映画音楽賞を受賞しました。特にヘプバーンが劇中で歌った「ムーン・リバー」はスタンダードとして定着しています。

衣装も話題となったファッショナブルなミステリー【1963】

ヘプバーン演じるレジーナがスキー旅行から帰宅すると家はもぬけの空となっており、離婚予定だった夫チャールズが殺害されたとの連絡が。葬儀には見知らぬ3人組の男が現れ、さらに戦時中、夫が軍資金25万ドルを横領していたと聞かされます。

夫の横領仲間から金を持っていると疑われたレジーナは、3人組から脅迫を受け、スキー旅行で知り合ったピーターに助けを求めました。スタイリッシュな映像に、マンシーニの美しいメロディがマッチしています。

オードリーが盲目の女性を演じたサスペンス・スリラー【1967】

空港のロビーで見知らぬ女性から人形を渡された写真家のサム(エフレム・ジンバリスト・Jr)。実はその人形にはヘロインが隠されていました。ヘロインを盗まれた犯罪グループの男3人は、血眼になって人形を探し、サムのアパートを突き止めますが、盲目の妻スージー(ヘプバーン)しかおらず、3人は一芝居打つことに。

この作品でも、マンシーニの音楽が映画を盛り上げています。

ヘンリー・マンシーニの代表曲をご紹介!

映画『ティファニーで朝食を』より「ムーン・リバー」

上記のとおり、マンシーニは『ティファニーで朝食を』でアカデミー賞を受賞し、劇中でヘプバーンが歌った「ムーン・リバー」はグラミー賞で最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀編集賞の3つの賞を受賞しました。

テレビドラマ『刑事コロンボ』のテーマ

日本でもおなじみのテレビドラマ『刑事コロンボ』のテーマも、ヘンリー・マンシーニの作品です。同シリーズは、1968年から2003年に放映され、世界中で親しまれています。

映画シリーズ『ピンク・パンサー』のテーマ

マンシーニは、ピーター・セラーズ主演の1963年の映画『ピンクの豹』のテーマソングを作曲しました。この曲はその後の映画シリーズや、テレビのアニメーションシリーズでも使用され、広い世代に親しまれています。

映画『ひまわり』のテーマ

1970年のイタリア・フランス・ソ連合作映画『ひまわり』は、戦争によって引き裂かれた夫婦の悲哀を描く作品です。

マンシーニが手がけた作品の中でも、この映画のテーマ曲は特に評判が良く、主題歌は世界中で大ヒットしました。

多くの受賞歴を誇るヘンリー・マンシーニ

上述した『ティファニーで朝食を』の他にも、ヘンリー・マンシーニはアカデミー賞、グラミー賞などの栄誉に輝いています。

名優ジャック・レモン主演でアルコール依存症の問題を描く【1962】

『酒とバラの日々』は、酒を通して出会った男女が恋に落ち、結婚。その後、夫婦ともにアルコール依存症となり、家庭崩壊するまでの悲劇的な物語です。

映画と同名の主題歌「酒とバラの日々」は、アカデミー賞歌曲賞を受賞し、グラミー賞では最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀編曲賞を受賞しました。その後、ジャズのスタンダードナンバーとして定着し、多くのアーティストによってカバーされています。

第一次世界大戦中のロマンス『暁の出撃』【1970】

イギリス人女優として活躍するリリー・スミス(ジュリー・アンドリュース)は実はドイツのスパイであり、アメリカ人パイロット、ウィリアム・ララビー少佐(ロック・ハドソン)に近づきます。しかし、彼女は本気で彼を愛してしまいました。

この作品でマンシーニは、第43回アカデミー賞歌曲賞、音楽賞にノミネート。第28回ゴールデングローブ賞では「暗闇にさようなら」で主題歌賞を受賞しました。

異性装が巻き起こす珍騒動『ビクター/ビクトリア』【1982】

ジュリー・アンドリュース演じる売れないソプラノ歌手ビクトリアは、初老のゲイの芸人トディ(ロバート・プレストン)の勧めで、ポーランドの伯爵ビクター・グラ人スキーというゲイの歌手としてナイトクラブで働き始めますが、そのことで様々な騒動が巻き起こります。

この作品で音楽を担当したマンシーニは、アカデミー賞編曲・歌曲賞を受賞しました。

テレビ・映画へのカメオ出演も!

映画『ガン(原題)』(1964)

『ピーター・ガン』

出典: www.npr.org

自身が音楽を担当したテレビシリーズ『ピーター・ガン』の映画版に、マンシーニはピアニスト役でカメオ出演しています。

短編アニメ『ピンク・パンサー』(1993)

テーマ曲を作曲した『ピンク・パンサー』のテレビアニメーションシリーズのあるエピソードに、マンシーニはカメオ出演しました。

ピンク・パンサーがオーケストラに忍び込み、テーマ曲を演奏するエピソードで、最後に実写の客席が映し出され、そこにはマンシーニがたった一人で座っているというものです。

テレビシリーズ『そりゃないぜ!?フレイジャー』(1994)

『そりゃないぜ!?フレイジャー』

出典: parade.com

精神科医で人気ラジオパーソナリティのフレイジャー・クレインを主人公とした人気テレビシリーズ。

マンシーニはフレイジャーのラジオ番組に電話をかけてくるアルというキャラクターの声を担当しました。

ヘンリー・マンシーニに影響を受けた作曲家

『スーパーマン』『スターウォーズ』の作曲家ジョン・ウィリアムズ

ジョン・ウィリアムズ

『ジョーズ』(1975)や『スターウォーズ』シリーズ(1977〜)、『E.T.』(1982)、『シンドラーのリスト』(1993)、『ハリー・ポッター』シリーズ(2001〜2011)など、数多くの映画音楽で知られるジョン・ウィリアムズは、ヘンリー・マンシーニのジャズバンドにピアニスト”リトル・ジョニー・ラブ・ウィリアムズ”として参加していました。

マンシーニの代表作である『ピーター・ガン』のテーマ曲も、ウィリアムズがピアノを弾いています。

ティム・バートン監督作品に欠かせない作曲家、ダニー・エルフマン

ダニー・エルフマン

『バットマン』(1989)や『シザーハンズ』(1990)、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(1993)など、ティム・バートン監督の作品への音楽を数多く担当していることで知られる作曲家、ダニー・エルフマンもマンシーニから多大な影響を受けています。

『ロード・オブ・ザ・リングス』シリーズなどで有名なハワード・ショア

ハワード・ショア

2001年に公開された映画『ロード・オブ・ザ・リングス』でアカデミー賞作曲賞を受賞したハワード・ショアも、マンシーニの影響を受けていると言われています。

『羊たちの沈黙』(1990)や『セブン』(1995)、『ホビット』シリーズ(2012〜2014)などでも知られるショアは、2004年にアメリカ作曲者・作詞者・出版社協会ヘンリー・マンシーニ賞を受賞しました。

ヘンリー・マンシーニの華やかな交友録!

ヘンリー・マンシーニとオードリー・ヘプバーン

出典: www.bbc.com

出演作の多くに音楽担当として携わったオードリー・ヘプバーンをはじめ、マンシーニは多くのハリウッドスターや監督との交流がありました。

ヘンリー・マンシーニとアルフレッド・ヒッチコック

マンシーニは、同じく作曲家であるクィンシー・ジョーンズやジェリー・ゴールドスミスとも親しい友人だったそうです。また、フランスのモーリス・ジャール(『アラビアのロレンス』、『ゴースト/ニューヨークの幻』など)、ミシェル・ルグラン(『シェルブールの雨傘』、『レ・ミゼラブル』(1995)など)やアルゼンチンのラロ・シフリン(『燃えよドラゴン』、『スパイ大作戦』など)などの外国人作曲家たちにも親身に関わっていました。