映画『貌斬り』あらすじ・キャストまとめ【多重構造のメタ映画】

2017年7月6日更新

細野辰興監督によって前代未聞の作品が誕生しました。芸能史上最大のスキャンダルと言われる実際に起こった事件を題材に、舞台と映画を融合させた映画『貌斬り』です。驚愕の展開と役者魂に感嘆せずにはいられない本作についてご紹介していきます。

舞台と映画の融合!映画『貌斬り』

2016年12月3日、かつてないほど画期的で斬新な映画が公開されます。細野辰興監督による映画『貌斬り』は、舞台と映画を融合した多重構造のいわゆる“メタ映画”。

実際に上演された舞台作品を軸に、虚構と現実を織り交ぜながら役者の本質に迫っていく本作は、第41回湯布院映画祭で上映され絶賛を浴びたそうです。

キャストは、劇中劇に出演している俳優のほか、あらたに個性的なメンバーを迎え多彩な顔ぶれが揃いました。細野監督の果敢な挑戦で誕生した映画『貌斬り』についてご紹介していきます。

多重構造の映画『貌斬り』のあらすじ

『貌斬り』画像

出典: sp.natalie.mu

1937年、希代の人気スター・長谷川一夫が商売道具であるその二枚目の顔を大きく傷つけられるという衝撃の事件が起こりました。背景には、長谷川の移籍問題があったと言われています。

この実在の事件を題材にした映画の脚本会議が行われ、スタッフらが事件の真相に関して話し合いますが、なかなか満足のいく仮説が生まれません。そこで、それぞれが登場人物になりきり事件を疑似体験することによって真相に迫ろうと考えます。

という内容の舞台の開演時間が迫り、楽屋はあわてふためいていました。俳優のひとりは突然姿を消し、主演女優は舞台に上がるのを怖がって話にならないため、急きょ代役を立てて幕を上げ舞台は予想外の結末を迎えることになります。

映画『貌斬り』のキャストたち

草野康太

草野康太『貌斬り』

出典: natalie.mu

草野康太(くさの・こうた)は、神奈川県出身、1975年生まれ。

『プルシアンブルーの肖像』でスクリーンデビューし、以降、ドラマや映画、CMにも数多く出演します。江戸川乱歩の没後50周年を記念して製作された映画『D坂の殺人事件』では、明智小五郎役を務めました。

山田キヌヲ

山田キヌヲ

山田キヌヲは(やまだ・キヌヲ)は、宮崎県出身、1981年生まれ。

大学時代から演劇活動をスタートさせ、『ガールフレンド』のオーディションで見事主役を掴み取り、映画デビューを果たしました。多くの作品への出演実績があり、ドラマ『ワカコ酒』では、みぃさん役を演じています。

和田光沙

和田光沙

和田光沙(わだ・みさ)は、東京都出身、1983年生まれ。

OLから芝居の世界へ入ったそうです。子供から大人まで性別も超えて幅広く演じ分けられ、体当たりのスラップスティックも持ち味だとか。『私の叔父さん』や『アイドル・イズ・デッド』などの映画にも出演しています。

金子鈴幸

金子鈴幸

金子鈴幸(かねこ・すずゆき)は、東京都出身、1992年生まれ。

早くからその才能を発揮し、高校2年時に書いた脚本『王国』がオムニバス形式の舞台『11月戦争とその後の6ヶ月』内で上演され、脚本家としてデビューしました。以降、劇団を主宰するほか映画監督も務めるなど、精力的に活動しています。

森川千有

森川千有

出典: www.jugen.jp

森川千有(もりかわ・ちあり)は、千葉県出身、1974年生まれ。

管理栄養士の肩書を持ち、セミナーや食に関する番組の監修なども行っているそうです。舞台『唇からナイフ』で初主演をしたことをきっかけに女優業も活発となり、映画『ストロベリーナイト』への出演歴もあります。

森谷勇太

森谷勇太

出典: askatze.com

森谷勇太(もりや・ゆうた)は、山形県出身、1982年生まれ。

強面で元海上自衛隊員の経歴を持つ森谷は、本作の劇中劇となった舞台で大きく成長したといわれ、劇団『天才劇団バカバッカ』の公演をはじめ、ドラマ『グッドパートナー 無敵の弁護士』などにも出演しています。

向山智成

向山智成

向山智成(むかいやま・ともなり)は、愛知県出身、1976年生まれ。

ナレーターが本業である向山は、幼少時から声の仕事に興味を持っていたそうです。多くのテレビCMのナレーションを務めるほか、サントリーのプレミアムモルツには出演もしています。

南久松真奈

南久松真奈

南久松真奈(みなみひさまつ・なな)は、神奈川県、1966年生まれ。

本の編集業から30歳を超えて芝居の世界に入ったそうです。小劇場での活動に加え近年は映像作品への参加も多く、映画『わが母の記』『クジラのいた夏』などへの出演歴があります。

日里麻美

日里麻美

日里麻美(ひさと・あさみ)は、岡山県出身。

女優と女子プロレスラーを両立し、野球漫画『グラゼニ』を応援する公式アイドルグループや、ミス東スポ2017候補生としても活動しています。プロレスでは、キュートなルックスとは反対にヒール役なのだとか。

嶋崎靖

嶋崎靖

出典: chiicomi.com

嶋崎靖(しまざき・やすし)は、東京都出身、1955年生まれ。

劇団主宰者としても活動し多くの作品を手掛ける嶋崎は、海外にも渡りイギリスでの『The Country Far Beyond The Moon』で高い評価を受けました。また、全日本チンドンコンクールで入賞した経歴を持ち、日本の大衆文化であるチンドンの普及に一役買っています。

佐藤みゆき

佐藤みゆき 画像

佐藤みゆき(さとう・みゆき)は、福島県出身、1984生まれ。

学校栄養士を経て女優になったそうです。舞台やドラマに出演しながら、復興に向けての福島を10年間記録するドキュメンタリー映画のプロジェクトに参加し、福島県出身の女優として福島の今を伝えています。

畑中葉子

畑中葉子

畑中葉子(はたなか・ようこ)は、東京都出身、1959年生まれ。

デビュー曲の平尾昌晃とのデュエット『カナダからの手紙』で一躍スターとなりました。その後、セクシー路線に転向し、日活ロマンポルノ『後から前から』に出演。映画も同名の主題歌も話題をさらい、大ヒットとなっています。

木下ほうか

木下ほうか

出典: km-n-miyu.com

木下ほうか(きのした・ほうか)は、大阪府出身、1964年1月24日生まれ。

映画『ガキ帝国』で俳優デビューし、吉本新喜劇に所属していたこともあったそうです。近年、バラエティ『痛快TV スカッとジャパン』イヤミ課長役でブレイクし、ドラマや映画にもひっぱりだことなりました。

ややこしいけどおもしろいメタ映画の構造

劇中劇となった『スタニスラフスキー探偵団』

『スタニスラフスキー探偵団』

『スタニスラフスキー探偵団』は、細野辰興主宰の創作ユニット「スタニスラフスキー探偵団」による舞台であり、長谷川一夫の顔切り事件をモチーフにコメディ要素もプラスした異色の作品です。

初演は2010年9月。そして2015年1月に『スタニスフラスキー探偵団RETURNS』として再演され、この再公演の舞台を観客も含め撮影した映像に、楽屋裏を描くシーンを織り交ぜ、映画『貌斬り』が完成しました。

草野→緒方→監督という三階建て

『貌斬り』画像2

出典: sp.natalie.mu

劇中劇の『スタニスフラスキー探偵団RETURNS』で、顔切り事件の真相に迫ろうと事件関係者になりきる映画スタッフらに割り振られた役柄は、どこか現実の自分に通ずるところがありました。

検証の芝居が進み、虚構と現実の境界線があいまいになった時、驚愕の展開に……という舞台の登場人物を狂気に満ちながら演じる役者たちを描いたのが、今回の映画『貌斬り』です。

つまり、主演の草野康太で言えば、「草野が演じる緒方役がさらに事件関係者になりきる監督役を演じる」という複雑でおもしろい構造になっているのです。

タブーに挑戦する細野辰興監督

細野辰興 画像

出典: twicopy.org

本作の監督を務めた細野辰興(ほその・たつおき)は、神奈川県出身、1952年生まれ。破天荒な作風で知られる監督です。

タイトルから衝撃的な1996年『シャブ極道』は、成人映画の指定を受けビデオ化の際にはタイトルの変更を求められたといいます。様々な物議を醸す一方で、細野ならではの挑発的で骨太のスタイルは高く評価され、多くの賞を獲得しました。

以降も細野の挑戦は続き、この新作映画『貌斬り』も大きな冒険だったそうです。映画界の闇が絡むとされる長谷川一夫の顔切り事件をテーマにすることに加え、舞台と映画を融合させた多重構造というかつてない試みで生まれた本作は、タブーに果敢に挑戦する細野にしかつくれない渾身の一本と言えるのではないでしょうか。

『貌斬り』画像3

出典: sp.natalie.mu

虚構と現実の狭間で最高の自己表現を求めようとする役者とはいったい何なのか?

数々の技巧を凝らしながら、圧倒的なエネルギーとパッションで役者の本質に迫る映画『貌斬り』は、2016年12月3日に公開されます。