新海誠に迫る!今最もアツいアニメクリエイターについての8つのこと

2017年7月27日更新

『秒速5センチメートル』や『君の名は。』で知られる、アニメクリエイターの新海誠。抒情的な美しいその作風で、国内外に多くのファンを持っています。今回は、そんな新海誠についてアニメクリエイターとしての歩みやルーツなどを追ってみます。

1.名作・アニメ映画『君の名は。』を生み出した新海誠

アニメファンから絶大な支持を受ける新海誠(しんかい・まこと)は、数々の名作を生み出しているアニメクリエイターです。中でも、映画『君の名は。』は空前の大ヒットとなり、新海の名はさらに知られるようになりました。

本名は新津誠(にいつ・まこと)といい、長野県出身、1973年生まれ。子どもの頃から宇宙関係の本に親しみ、当時まだ珍しかったパソコンにも触れていたそうです。

小学生になるとスピードスケート、中学時代はバレーボール、高校では弓道部と積極的にスポーツに取り組み、大学時代は児童文学研究会に所属し絵本をつくっていたとか。

ここでは、そんな深海のアニメクリエイターとしての歩みを、プライベートな話題も交えながら追っていきたいと思います。

2.老舗ゼネコンの実家を継がず日本ファルコムへ

会社員を続けながら自主制作した『彼女と彼女の猫』

新海の実家は地元で100年以上も建設業を営む新津組であり、跡継ぎとして期待されていました。しかし、大学在学中からゲーム会社の日本ファルコムでアルバイトをしていた新海は、卒業後そのまま就職します。

会社ではゲームのパッケージ制作に携わり、帰宅してからは自主制作のアニメーションづくり。その間、『彼女と彼女の猫』などの完全個人の作品で複数の賞を受賞しました。

その後、日本ファルコムを退社することになりますが、会社員時代に顧客の立場になって制作することを徹底的に学んだそうで、現在の作品制作にその経験が大きく生かされているそうです。

3.新海誠が手掛けた作品たち

究極の遠距離恋愛『ほしのこえ』【2002】

2002年に発表した『ほしのこえ』は、新海の初の劇場公開作品です。

近未来、地球を守るメンバーとして宇宙に旅立った美加子と、地球に残された昇。携帯電話で連絡を取り合う様子が描かれますが、美加子が地球から離れるにつれメールのやりとりにも時間がかかるようになり、昇の心配は募ります。

25分の物語を、監督から脚本、作画、編集などのほとんどをひとりでこなし、多くの賞を受賞しました。宇宙を舞台にした物語は、子どもの頃からSF好きという新海監督らしいです。

切ないストーリーと映像美が印象的『秒速5センチメートル』【2007】

舞い落ちる桜の花びらの速度がタイトルとなった2007年公開の『秒速5センチメートル』。主人公の少年を軸に初恋の少女を絡め、中学時代を描いた「桜花抄」、高校生の「コスモナウト」、社会人になった「秒速5センチメートル」の3編で構成された物語です。

それまでのSFをモチーフとした作品から一転して、舞台はリアルな世界。ロケハンを充分に重ねた末、実在の街並みや風景を描き起こしたそうで、日常を切り取ったような美しい映像の作品に仕上がりました。切ないラストも印象的です。

アニメ史上類を見ない美しい雨『言の葉の庭』【2013】

2013年の『言の葉の庭』は、靴職人を目指す男子高校生・タカオと、年上の女性・ユキノの雨の日の逢瀬を描いた恋物語で、息をのむほど美しい様々な趣の雨が再現されています。新海監督は以下のように語っています。

「“雨の中で歳の離れた男女が出会う”という着想から始まった企画ですが、雨は3人目のキャラクターといっていいくらいウエイトがありますね。実際に雨宿りをしているお話であることと、人生の途中で立ち止まっている象徴としての雨宿りを描いているからです」

土砂降りと小雨では、地面の様子も違いますし、水たまりの波紋の大きさも変わります。そうした繊細な情景を一切の妥協なく描き尽くし、物語の進行に沿って降り方の変わる雨にも注目の作品です。

緻密な作画が圧倒的に光る『君の名は。』【2016】

2016年8月に公開され、80日間で興行収入が184億円を突破したという驚異的なヒット作『君の名は。』は、東京で暮らす少年と飛騨の山奥の少女が夢の中で入れ替わるという物語。

出会うはずのない遠く離れた少年少女の繋がりを描いたストーリーに心打たれるのはもちろん、作画の美しさも際立っています。

緻密な風景描写に定評のある新海ですが、本作ではさらに極められ、どこまでも広がる晴天の空や煌めく木漏れ日、リアルな東京の街並み、光と影のコントラストなど、極上の映像美に目を奪われます。

4.映画作品において音楽も重要な要素

前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV

大ヒット映画『君の名は。』で採用されている曲は、主題歌の『前前前世』も含めすべて「RADWIMPS」が担当しました。以前から「RADWIMPS」のファンという新海の願いが叶ったのだそうです。

本作では音楽の存在も大きく、音楽が場を統べるシーンも多々あると新海は言います。

脚本のイメージからRADWIMPSが作った曲があり、その曲を聴きながら僕は絵コンテを描きビデオコンテを作り、それを見た洋次郎さんがまた曲を書き、それを受けてまた演出を変える、そういうことを重ねてきました。

こうした音楽へのこだわりも新海作品の魅力のひとつかもしれません。

5.CMでも「新海ワールド」全開!

Z会 「クロスロード」 120秒Ver.

2014年に手掛けた「Z会」のCM「クロスロード」です。離れた地に住み、お互いを知らない受験生が「Z会」を通じて交差していく様子を、テレビCMのアニメーションの域を超えた映像美で描き受験生を応援しています。

また、大阪府出身のシンガーソングライター・やなぎなぎが歌う主題歌『クロスロード』の作詞も新海が担当しました。

6.空や背景の描き方など、新海誠の作風

新海の作品を語る上で、映像は欠かせません。主に風景を担当する新海が描く街並みや空、雲、光の表現などの美しさには心から驚かされます。

「写実的」と評されることもあるようですが、新海としては必ずしもそうではなく記憶の中の風景を再現しているのだとか。思春期の辛い時期に美しい風景に救われた経験があるため、そうした感覚を作品に込めたいのだそうです。

また、内容に関しては少年少女の淡い恋がテーマになることが多く、「時間」や「距離」や「速度」を用いて、ふたりの心が物理的にも精神的にも近づいたり離れたりする切ない様子を巧みに描いています。

7.妻の名は。三坂知絵子、娘の名は。新津ちせ

妻・三坂知絵子

新海の家族構成について調べてみると、妻は女優の三坂知絵子と分かりました。早稲田から東大大学院へ進んだ才女であり、女優と並行して「成宮観音」の名でライターをしていたこともあるそうです。

女優活動の代表作として挙げられるのは、舞台『花と蛇』。非常に過激な作品ですが、自ら名乗りを上げ文字通りの体当たり演技で主人公を務め上げました。近年は、夫の作品の裏方を務めることに徹しているようです。

娘・新津ちせ

そして、娘は「劇団ひまわり」に所属する子役の新津ちせ。

ブランド卵「きよら」のテレビCMに登場するケチャップライス猫をご存知でしょうか。その「寝冷えネコのきよニャ」の声を担当しているのが新津ちせです。

TVCM │ au「秋のトビラ・もうひとつの鬼退治」篇でも声優担当

また、「au」のCMでは、ひとりで鬼退治に行こうとする金太郎に語り掛ける子熊の声を務めています。

そして、2017年公開の実写版『3月のライオン』では、川本家の三女・モモを演じることが決定。新津ちせが新海の娘ということは業界でも知る人は少なく、『3月のライオン』と『君の名は。』の両方で主演の神木隆之介も作品の打ち上げで初めて聞いたのだとか。

実力で数々の役を勝ち取っている新津ちせ。今後の成長が楽しみな子役です。

8.新海誠作品の評価は?

2002年のデビュー作『ほしのこえ』で、新世紀東京国際アニメフェアの優秀賞を受賞。以降も、『雲のむこう、約束の場所『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』と、作品を発表する度にファンを増やし、さらに多くの賞を獲得してきました。

「時間」や「距離」を主人公の心と重ねた切ないストーリーや音楽へのこだわり。そして、特筆すべきは、やはりその作画であり、緻密で美しい映像表現は、まさに新海ならではの「新海ワールド」です。

2016年の春には、アメリカのエンターテイメント雑誌「Variety」が選ぶその年に注目すべきアニメーター10人のうちのひとりに選抜。同年8月に発表した『君の名は。』は空前の大ヒットとなっています。参考までに『君の名は。』に関してのciatrユーザーの感想を挙げてみます。

matzsara とってもよかった! 楽しさと切実さがない交ぜになったストーリー。監督独特の映像美。よかった!海外のアニメーションはスナック的な感じで、終始軽快なものが多いけど。こういう要がしっかりあるストーリーは馴染み深くて、せつなくて、心を持ってかれる!近年みたアニメーションで群を抜いてた!
EllyMimy アニメは滅多に観ない私がどうしても観たかった作品。 しかも新海誠監督が我が県出身だということも知らなかった無知っぷり。

観てから数日経ったのですが、未だに余韻に浸っています。 久しぶりにこんなに心が澄んで、知らないうちに涙を流すような映画に出逢えました。

映像、キャラクター、音楽、どれもこれも素晴らしい。 恋をしたくなるような、胸が甘酸っぱくなるような、そんなステキな映画です。 普段アニメを観ない方にも強力にオススメしたいです! RADWIMPSのサントラを購入して、またしばらく浸ろうと思っています。

toshibakuon 景色、光加減、紅葉、雨などどれをとってもうっとりしてしまう。欠点が見つからないくらいトータルバランスが素晴らしい映画。ジブリ、細田守と並んで日本のアニメを牽引する立ち位置いると思う新海誠。作画だけなら一番好きだ。前評判から良く観て納得の内容。男女の入れ替わりで「転校生」的な展開なのかな?と思ったけど全然違った。瀧が胸をひたすら揉んでいるのがクスっとくる。コミカルからのシリアス展開。こういう時間を忘れさせてくれる映画って良いな。

平均して好意的な高い評価を受ける新海ですが、その土台は故郷にあり、クリエイターとしての名「新海」の「海」も故郷の町「小海」からではないかと新海の父は語ります。

何がきっかけでアニメだったのか。女房は県の美術展で入選するような絵を描いていましたから、母親似なんでしょうね。そういえば小学校4〜5年の頃、出始めたばかりのパソコンをねだったことがありました。「これ欲しい」と持ってきた広告に掲載されていたパソコンは70万円。いまでこそ、年商70億円の新津組ですが、そんな高額なもの! でも頭ごなしに否定もできない。テストでクラス1位になったらと言うと、本当に1位になってしまった。結局、半額位で買ったのかな。まだ会社にもパソコンなどないから、誠は問い合わせたり、マニュアルを見て立ち上げていた。あれが転機だったのかもしれませんね。

初めはアニメの道に進んだ息子に戸惑いもあったようですが、2016年現在は新津組のHPで新海の作品が紹介されており、新海にとって心強い応援なのではないでしょうか。今後もますますの活躍が期待される新海誠監督です。