2017年7月6日更新

『フェンス(原題)』あらすじ・キャスト【2017年アカデミー賞ノミネート作品】

2017年第89回アカデミー賞に、作品賞・主演男優賞・助演女優賞・脚色賞の4部門でノミネートされた映画『フェンス(原題)』。主演のデンゼル・ワシントン自ら製作・監督も兼任した今作のあらすじ・キャストに加えてみどころもご紹介します。

『フェンス(原題)』はデンゼル・ワシントン製作・監督・主演作品

2017年アカデミー賞4部門ノミネートの注目映画!

2010年にブロードウェイで上演された舞台『Fences』でトニー賞を獲得したデンゼル・ワシントン。彼が製作・監督・主演の3役兼ねた映画『フェンス(原題)』が公開されます。舞台で共演したヴィオラ・デイヴィスとの映画での再共演もみどころです。アメリカでは2016年12月25日のクリスマスに全米公開されました。

戯曲『フェンス』を書いた劇作家オーガスト・ウィルソンは、2017年アカデミー賞に脚色賞でノミネートされています。また、デンゼル・ワシントンは主演男優賞、ヴィオラ・デイヴィスは助演女優賞に、作品が作品賞にノミネートされており、最優秀賞の行方が気になるところでもあります。

映画『フェンス(原題)』のあらすじ

トロイ・マクソンはごみ収集業を生業として、ピッツバーグで妻のローズ、息子のコリーを養っていました。トロイの大切な人は他にも、一緒にゴミ収集で働く親友のジム・ボノと、トロイの兄ゲイブがいます。ゲイブは第二次世界大戦で頭を負傷し、心に傷を負って戦場から帰還し、今はトロイの家の近所に住んでいますが、近所の子どもたちにいじめられていました。

一度はプロ野球選手として活躍することを夢見ていたトロイですが、メジャーリーグが黒人選手を認め始めたころには、彼はすっかり選手年齢を過ぎていました。しかしトロイはそれを人種差別のせいでチャンスを逃したと思い込んでいたのです。

あるときローズからコリーが大学フットボールチームにスカウトされていることを聞かされます。トロイは夢をつかむ機会を逃した苦い経験と、夢を叶えられるかもしれない息子に対する嫉妬という複雑な感情から、スカウトマンが家に来ても大学入学を許可する書類にサインするつもりありませんでした。

ローズはトロイに家の周りにフェンスを建ててほしいと頼みます。トロイは日常の仕事をせずにフットボールの練習をしていたコリーに、罰としてフェンス作りを手伝うよう伝えます。こうしてトロイは大学でフットボールをするという息子の夢を完全につぶしてしまいました。

トロイとコリーの確執、疎遠になっていた息子ライオンズ、そしてトロイの愛人問題で揺れるローズ。トロイの偏執的な言動は徐々に家庭を壊し、家族は修復できないところまで絆を切り裂かれていくのでした。トロイが作った「フェンス」はローズにとっては大切な家族を守るものでも、トロイには自分を世界から、そして家庭から切り離してしまうものだったのでしょうか。

映画『フェンス(原題)』のキャスト紹介

トロイ・マクソン役/デンゼル・ワシントン

デンゼル・ワシントンはこれまでに3度のゴールデングローブ賞、1度のトニー賞、そして2度のアカデミー賞を受賞しています。アカデミー賞では、アメリカの南北戦争を描いた1989年の『グローリー』で最優秀助演男優賞、2001年のクライム・スリラー作品『トレーニング デイ』で最優秀主演男優賞に輝きました。

『フェンス(原題)』を含む3作を監督し、ブロードウェイの舞台「Fences」ではトニー賞主演男優賞を獲得しました。『ザ・ハリケーン』でのルービン・“ハリケーン”・カーター、『マルコムX』でのマルコムX、『タイタンズを忘れない』でのハーマン・ブーンなど、よく実在の人物を演じて、高い評価を得ています。

ローズ・マクソン役/ヴィオラ・デイヴィス

サウスカロライナ州で生まれ、ロードアイランド州で育ったヴィオラ・デイヴィスはロードアイランド大学とニューヨークのジュリアード学院の両方で演技を学びました。初期のキャリアは舞台で積み、2001年に『King Hedley Ⅱ』、2010年に『Fences』でトニー賞を2度受賞しています。この2作はともにオーガスト・ウィルソンが書いたものです。

スティーブン・ソダーバーグ監督の作品には『トラフィック』『ソラリス』『シリアナ』と3度出演しており、デンゼル・ワシントンの監督デビュー作『きみの帰る場所 アントワン・フィッシャー』にも出演しています。2011年に主演した『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』では、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。

コリー・マクソン役/ジョヴァン・アデポ

ジョヴァン・アデポはイギリスのオックスフォードシャーで、アメリカ人の父とイギリス人の母の間に生まれ、アメリカのメリーランド州で育ちました。俳優としてのキャリアは2012年からで、『フェンス(原題)』が映画デビューとなりました。

2011年に作家になるためにロサンゼルスへ移りましたが、演技の勉強をするうちに俳優になることに興味を持ち始めます。メリーランドの教会を通じてヴィオラ・デイヴィスの姉と会い、ヴィオラとも会えるように協力してもらったようです。正しい演技方法を学び、演劇を見て、できるだけたくさんの戯曲を読むようにアデポに教えたのが、ヴィオラでした。

ジム・ボノ役/スティーヴン・マッキンレー・ヘンダーソン

スティーヴン・マッキンレー・ヘンダーソンはアメリカのミズーリ州カンザスシティ生まれの俳優で、キャリアの初期は主に舞台でした。その後は映画やテレビの仕事もするようになり、テレビシリーズ『ロー&オーダー』や『ニュースルーム』に出演しています。

特にブロードウェイ舞台ではオーガスト・ウィルソンの全作品を演じたベテラン俳優として知られ、舞台『Fences』ではトニー賞の助演男優賞にノミネートされています。

ガブリエル(ゲイブ)役/ミケルティ・ウィリアムソン

アメリカのミズーリ州セントルイスに生まれたミケルティ・ウィリアムソンは、本名マイケル・T・ウィリアムソンで、俳優キャリアをテレビシリーズの出演でスタートさせました。映画デビューは1984年の『ストリート・オブ・ファイアー』で、その後も映画とテレビ両方で順調にキャリアを積んできました。

日本語ではミケルティと書かれることが多いのですが、実は発音は本名のマイケル・ティーを縮めて発音するのが正しいようです。また、ミケルティの最も印象深く残っている役柄といえば、1995年の『フォレスト・ガンプ/一期一会』でガンプの軍隊時代の親友バッバ・ブルー役を思い出します。

ライオンズ役/ラッセル・ホーンズビー

カリフォルニア州オークランドで生まれたラッセル・ホーンズビーは、ボストン大学で舞台演劇を学び、卒業後もイギリスのブリティッシュ・アメリカン・ドラマ・アカデミーで勉強を続けました。その後はニューヨークへ移り、オフ・ブロードウェイで活動しました。

1990年代後半には、テレビ・映画俳優へ転身するためにロサンゼルスへ移りました。その後はテレビシリーズ『ロー&オーダー』や2011年にスタートした『GRIMM/グリム』でのハンク・グリフィン役で注目を集めています。

映画の見どころはデンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィスの重厚な演技!

この作品の見どころは、なんといっても舞台版でも共演し完全に息の合った演技で魅せるデンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィスでしょう。また彼らを支える周りのキャストたちもすばらしい演技を見せています。

デンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィスはこの作品で、アカデミー賞の他にもゴールデングローブ賞でもノミネートされました。第23回全米俳優組合(SAG)賞では主演男優賞と助演女優賞を受賞しています。

ピューリッツァー賞を受賞した戯曲『フェンス』には、作者オーガスト・ウィルソンが生まれ育ったピッツバーグの街並みが生き生きと描写されていて、映画版でも1950年代のピッツバーグに生きた人々がリアリティをもって活写されています。

すばらしい脚色、普遍的作品と絶賛の声!映画『フェンス(原題)』の感想・評価【ネタバレ】

デンゼル・ワシントンによる2016年ベスト・フィルムの1本

これはアフリカ系アメリカ人のキャストで演じられた物語ではあるけれど、普遍的なものに感じられた。肌の色や民族性にかかわらず、どんな家族にも起こりうる物語だ。

デンゼル・ワシントンとオーガスト・ウィルソン(2005年に死去したため、『フェンス』の映画化作品を観ることはできなかった)は、決して荒っぽいやり方ではなく、このことをはっきりとわからせてくれた。会話シーンは長くても単調にはならず、アーサー・ミラーの名作舞台「セールスマンの死」と比較しても良いほど十分見応えがある。

引用:imdb.com

力強い映画作品!

『フェンス』は重要な戯曲で、普遍的なテーマを取り上げた一作だ。良い点も悪い点も臆さずに見せている。お互いに信用を失った夫婦となっても、それでも家庭を続けていかなければならない。この映画化作品は力強く、観た後で語り合いたくなりそうだ。
引用:imdb.com

見事な脚色

すばらしい作品。脚本や演技、演出などすべてにおいて一級だった。もちろん、アメリカ随一の劇作家であるオーガスト・ウィルソンの戯曲を元に映画を作るのは難しいとは思ったが、心配はいらなかった。ワシントンはこの物語を見事に動かし、すばらしい演出を成し遂げた。
引用:imdb.com

比喩としてのフェンス

素晴らしい演技。デンゼル・ワシントンはもちろん、ミケルティ・ウィリアムソンのガブリエルにはかなり驚かされ、説得力のある演技だった。この物語は家族が直面するであろうすべての「フェンス」に対してどう向き合っていき、家庭を守っていくかというテーマを扱っている。ごく普通の人々を描いたものであり、問題の多くが自分にも関係することであり、それが実に心動かされた。家族の問題は本当にさまざまで、その多くが関係を引き裂いてしまうものなのだ。
引用:imdb.com