史上最悪なブラック会社が舞台の『サンドラの週末』【予告、あらすじ】

2017年7月6日更新

社会と対峙する中で、自分の力だけでは乗り越えられない困難な出来事にぶち当たってしまったとき、あなたならどうしますか? 今作で取り上げられているテーマは自分にも起こりうるシチュエーションにどう対応するのか、ベストな答えは導き出すことはできるのかを考えさせられるドラマとなっています。

ボーナスを取るか、同僚を取るか天秤にかける非情

主人公のサンドラは、病気で休職をしていたが、ようやく元の会社への復帰が決まり安堵していた金曜日に突然の解雇を言い渡されてしまいます。

あまりに突然のことに動揺するサンドラ…。解雇を免れるには、16人の同僚のうち過半数がボーナスを諦めることが条件として提示されました。

サンドラはその投票が行われる月曜日までの週末の2日間で、同僚に協力を求めて訪ね歩きます。運命の瞬間まで、緊張感のある時間が流れ、観ているこちらまでその現場にいるような緊張を覚えます。彼女は仕事を続けることができるのか、人は他人のために自らを犠牲にできるのか…。

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟が描く尊厳とは?

『自転車と少年』でパルムドールをはじめ、多くの映画賞を獲得し、常に社会での問題を提起するドラマを真摯な姿勢で描き出している二人。今作でも、人間の尊厳について深く問いかける作品に仕上げています。

主人公サンドラが、お金と自分自身を天秤にかけて同僚への説得に回るシーンは胸が苦しくなるほど切なく緊迫感のあるものでした。本作で二人が表現したかったことは「サンドラ自身が、自分を選ぶ、選ばないで同僚の善悪を判断することはありません。いかに相手の気持ちを理解し、その人の立場で考えることができるのか観客に向けて問う作品になっています。」と語っています。

主人公サンドラの心情を好演

1994年にスクリーンデビューを果たし、それから着実に実力をつけてきた演技派女優、マリオン・コティヤール。2007年公開『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』ではアカデミー主演女優賞受賞し、名実ともにスターダムへ押し上げられ、同作では多くの映画賞をほしいままにしました。

本作では、今までにはない質素で心の奥底に強さを秘めた女性の役に渾身の演技で望んでいます。サンドラの、強さや迷い、複雑に絡み合う同僚との関係やそれに伴う心情を繊細に表現しました。そして、それが多くの映画賞を席巻し感動の物語の誕生へと繋がっていったのは言うまでもありません。

もうひとりの主人公は夫のマニュ

サンドラが窮地に立たされ、心がくじけそうになる度に優しく支え、妻を勇気づけたのは夫であるマニュでした。マニュの存在なくして、サンドラの行動力はおそろく生まれなかったのではないかと思います。夫マニュを演じたのは、もはやダルデンヌ監督の一部と言っても過言ではないほど重要な俳優、ファブリツィオ・ロンジォーネ。

彼の魅力を最大に引き出せるのもダルデンヌ監督であり、ダルデンヌ監督の作品を素晴らしく色づけできるのも彼だからこそ。本作では今までの作品を上回るほどの賞賛を得ることができたのも、ファブリツィオとダルデンヌ監督の信頼関係がさらに強く結ばれた証拠ではないでしょうか。