真似したくなる!流行を作り出した映画の中のファッション

2017年7月11日更新

映画の中には思わず真似したくなる、取り入れたくなるファッションのお手本がいっぱいです。ここでは女性のファッションにしぼり、記憶に残る映画と印象的なルックをいくつかご紹介します!

いつだって映画はファッションのお手本だった!

これまで様々な流行やブームを生んできたファッションですが、その一翼を担ってきたのが数々の映画作品や憧れの大スターたちであることは間違いありません。 中にはオードリー・ヘプバーンやジーン・セバーグらのように、存在そのものがファッション・アイコンとなった女優たちや、ジェーン・バーキンやグレイス・ケリーのようにその名が有名なバッグの名称となり世界中に広まったケースまで、様々な形があります。 私たちは彼女たちのスタイルや映画の中のファッションに憧れ、真似たり取り入れたりすることで自身のお手本にしてきました。ここではそんな代表的な映画とファッションアイテムの幾つかをご紹介します。まずは日本で一大ブームを巻き起こしたあの作品からです。

『君の名は』:日本女性がこぞって真似た「真知子巻き」

菊田一夫が手掛けたラジオドラマをもとに、1953年から翌年にかけて3部作の大作として映画化され、空前の大ヒットを記録したのが『君の名は』です。東京大空襲の戦火にみまわれた銀座の数寄屋橋で偶然出会った一組の男女、真知子と春樹の波乱の悲恋を描きます。 岸惠子が演じたヒロイン・真知子が、頭から首に被るように巻き付けたストールの使い方は「真知子巻き」と名づけられ、女性の間で大ブームとなりました。なんでも撮影中に岸が私物のストールで単に防寒したのがきっかけだったとも言われています。 今や句点を付け足して『君の名は。』と言えば、新海誠監督の大ヒットアニメ映画を思い出す人がほとんどでしょうが、そんな若い世代でも真知子巻きを知る人は多く、50年以上前の当時いかに爆発的な流行だったか、想像に難くありません。

『麗しのサブリナ』:オードリー・ヘプバーン人気から大流行したサブリナパンツ

名作『ローマの休日』の翌1954年に公開され、オードリー・ヘプバーンの世界的人気を決定づけたのが『麗しのサブリナ』です。ハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデン扮する大富豪の兄弟と雇われ運転手の一人娘が繰り広げる恋の三角関係を描いたロマンチック・コメディです。 まだ野暮だった娘がパリで洗練されて帰ってくる展開を軸に進み、サブリナが着こなす数々のファッションとキュートな魅力が人気をよびました。 そんな中、女性たちに爆発的な流行をもたらしたのが、ふくらはぎ丈のぴっちりした細身のパンツです。一般にはカプリパンツとも呼ばれていますが、本作でオードリーが黒いトップスに合わせて着用したのが大人気となり、以後「サブリナパンツ」の名で広く知られるようになりました。単なる一時の流行に終わらず、今や女性たちの定番アイテムのひとつとなっています。

『ティファニーで朝食を』:ジバンシィが手掛けた究極のリトルブラックドレス

数々の出演作を通し、世界的人気女優であるばかりか、またたく間に世の女性憧れのファッションリーダーとなったオードリー・ヘプバーンが主演した1960年の作品が『ティファニーで朝食を』です。ニューヨークを舞台に、自由奔放で小悪魔的なヒロインのホリーが真実の愛を見つけるまでを描きます。 映画の冒頭、誰もいない早朝の五番街で、ティファニーのウィンドウの前に佇むホリーが着用していたのがシンプルな黒いドレスです。数々の作品でオードリーに衣装を提供してきたジバンシーのデザインであり、映画史上最も有名なドレスの一つとなりました。 「ムーンリバー」を歌うホリー役はオードリーの当たり役となり、究極のエレガンスの代名詞となったリトルブラックドレスは、今も女性にとって永遠の憧れであり続けています。

『シェルブールの雨傘』:洋服に組み合わせる様々な色のヘアーリボン

フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーブの出世作が1964年に公開され世界的に大ヒットしたミュージカル映画『シェルブールの雨傘』です。ミシェル・ルグランが手掛けた音楽も話題になり、カンヌ国際映画祭ではグランプリを受賞しました。 自動車修理工の青年ギイと傘屋の娘ジュヌヴィエーヴの純愛が、戦争によって引き裂かれ、運命に翻弄されていく哀しみを描きます。ドヌーブ扮するジュヌヴィエーヴが着るパステルカラーの洋服やチャーミングなヘアスタイルも話題になりました。 とりわけ美しい金髪を清楚にまとめたヘアールボンが、女性たちの間で注目されました。洋服の色に合わせて様々なバリエーションがあり、特にバーバリーのトレンチコートと黒いリボンの組合せは強い印象を残しました。洋服やリボンは、ジュヌヴィエーヴが女性として成長していく姿を象徴していたのです。

『ラ・ラ・ランド』:ヒロインが纏って踊ったビビッドなイエロードレス

世界的大ヒットが記憶に新しい『ラ・ラ・ランド』は、女優志望のミアとジャズピアニストのセブが奏でる恋の行方を、切ないほどロマンチックに描いたミュージカル映画です。デイミアン・チャゼルがメガホンをとり、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが主人公の2人を魅惑的に演じました。 ミュージカルのシーンを中心に、鮮やかな原色の洋服や小道具が画面いっぱいに拡がりますが、特に注目されたのがビビッドなイエローのドレスでした。様々なタイプのイエロードレスが登場する中、なんといっても目を引いたのは、ミアがセブとロスアンゼルスの夜景を背に歌い踊るシーンで着用していたものです。 クラシックなデザインながら背中が大きく開いたコケティシュなスタイルは、はっとするような美しさで強い印象を残しました。本作の人気も手伝って、イエローは世界的なトレンドカラーにもなりました。

『勝手にしやがれ』:ジーン・セバーグがキュートに着こなしたロゴTシャツ

1960年に公開され、フランス・ヌーベルバーグの記念碑的作品となったのが『勝手にしやがれ』です。殺人を犯し警察から追われる青年ミシェルとアメリカ人の恋人パトリシアの型破りな逃避行を描きます。ゴダールの長編初監督作であり、ジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグのみずみずしい魅力が世界的なヒットに導きました。 とりわけ、先立つ1957年の『悲しみよこんにちは』でヒロインを演じ、ベリーショットの髪型を「セシルカット」として大流行させていたジーン・セバーグは、本作でもファッション・アイコンぶりをいかんなく発揮しています。 代表的なのが、「New York Herald Tribune」のロゴを胸にプリントしたTシャツです。ジェームズ・ディーンやマーロン・ブランドが着用し世界的に広がりつつあったアメリカ産Tシャツを取り入れ、しかも大胆にロゴをあしらったデザインは当時実に斬新なスタイルであり、その後のファッションに大きな影響を与えました。今も復刻版がしばしば発売されています。

『アニー・ホール』:画期的だったダイアン・キートンのマニッシュルック

アカデミー賞最優秀作品賞など名だたる賞を席巻し、ウディ・アレンの代表作となったのが1977年の『アニー・ホール』です。ニューヨークを舞台に、神経質なコメディアンと歌手志望の女性の込み入った恋愛を、悲喜劇織り交ぜて描いた傑作です。 主演も兼ねたウディ・アレン独特のペーソス溢れる世界感が綴られる中、ヒロインのアニーを演じたダイアン・キートン自身が生み出した独特のスタイルが、画期的とも呼べるほどの衝撃を巻き起こました。 ベストから飛び出したラルフ・ローレンのネクタイ、太いチノパンやメンズライクなブレザーといったこれまでにない斬新なマニッシュルックは、大都会に生きるアニーの人間性を象徴したばかりか、「アニー・ホール・ルック」とも呼ばれて70年代のファッション史に刻まれる流行を作り出しました。

『フラッシュダンス』:汗に濡れるルーズ・スウェット、そしてレオタード!

1983年に公開されるや、低予算にも関わらず世界的大ヒットを記録した『フラッシュダンス』は、成功を夢見る女性ダンサーの熱い日々を描いた青春ストーリーです。当時すでに人気沸騰していたジャズダンスに、新しくブレイクダンスも取り入れ、爆発的ブームの一翼を担いました。 生活のために昼は溶接工、夜はバーで働くヒロインのアレックスを演じたジェニファー・ビールスは本作がデビューであったにも関わらず、一作にして大スターの地位を築き上げます。アレックスが着用していた黒いレオタードとルーズソックスの組み合わせ、さらにルーズなグレーのスウェットは大流行しました。 首回りを大きくカットオフし、肩を露出してあたかもワンショルダーのようにラフに着崩すスタイルを真似た女性が、世界中に出現しました。

『トップガン』:フライトジャケットなどハードなミリタリールック

主演したトム・クルーズを一躍世界的大スターに押し上げた1986年のメガヒット映画『トップガン』は、米海軍パイロット養成学校のエリート、マーベリックの苦悩と成長を描いたアクション映画です。ケリー・マクギリスが演じた女性教官チャーリーとの恋も盛り込まれました。 本作公開をきっかけに、トム・クルーズらがクールに着こなしたミリタリーウエアが男性を中心に世界的ブームを巻き起こします。同時に、マクギリスがかっこよく着こなしてみせた女性のミリタリーも注目を集めました。 さらに2010年代に入ると、80年代のリバイバルブームに乗って、女性向けMA-1やフライトジャケットが流行します。その元祖は間違いなく本作ですが、現在は単にかっこよく着こなすのではなく、ハードなミリタリーと女性らしいアイテムを組み合わせるギャップコーデが可愛いと評判です。 映画は2019年に33年ぶりの続編が公開されることが決定し、再びミリタリールックにも熱い注目が集まりそうです。

映画の中のファッションに生き方を学ぶ!

戦後まもない頃の邦画から最新の話題作まで、代表的な9作品をご紹介しました。2作品で取り上げたオードリー・ヘプバーンのスタイルに対する憧れは、日本においてとりわけ強いものがあるかもしれません。 これら以外にも、例えばキャサリン・ヘプバーンのクールなパンツルック、最近では『セックス・アンド・ザ・シティ』でヒロインのキャリーが着こなしたハイブランドと古着の組み合わせがブームを巻き起こしたことも記憶に新しいでしょう。 こうして私たちは、映画で活躍するヒロインのスタイルを、自身のファッションのお手本にしてきました。彼女たちの姿は単に流行を生んだだけでなく、新しい女性像を表現していたのかもしれません。その意味で、単なるおしゃれの問題ではなく、新しい生き方のお手本だったとも言えるでしょう。