傑作アニメ映画『聲の形』、その5つの魅力を徹底解説!【あらすじ】

2017年10月23日更新

週刊少年マガジンで連載された大今良時の原作漫画を京都アニメーションが映像化し、多くの観客を感動させた傑作映画『聲の形』。今回は本作の魅力を語るうえで外せない5つのポイントを改めて振り返ります。

映画『聲の形』、『君の名は。』と並んで2016年アニメ映画を盛り上げた傑作

2016年9月に公開された『聲の形』は、アニメ映画ながらいじめ問題に深く踏み込んだストーリーと美麗なアニメーションが多くの観客に支持され、『君の名は。』や『この世界の片隅に』と並んで2016年のアニメ映画を盛り上げ、大きな話題を呼びました。第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞など各方面からも評価されている作品です。 原作は大今良時が週刊少年マガジンで連載した同名の漫画で、少年誌とは思えない尖った作風が読み切り時代から話題になっていました。満を持してのアニメ化は日本のアニメーションを牽引する会社のひとつ、京都アニメーションが手掛けています。 今回はそんな『聲の形』がなぜ傑作と呼ばれているのか、本作の5つの魅力を振り返ります。

映画『聲の形』のあらすじ

小学6年生の石田将也(いしだしょうや)はクラスの中心で男女問わず友人の多い活発な少年。ある日彼のクラスに転校してきたのは、聴覚障害を持つ女の子・西宮硝子(にしみやしょうこ)でした。筆談用ノートを使ってクラスメイトと交流を図ろうとする硝子でしたが、周りのサポートが必要な硝子は徐々に孤立し、将也たちによるいじめに発展していきます。 その後、いじめによる補聴器の紛失がクラスの問題として取り上げられると、将也は友達に裏切られ責任を押し付けられます。いつの間にかいじめの標的も将也へとシフトし、硝子もそのまま学校を去っていきました。 それから孤独な学生生活を過ごした将也は高校3年生になり、自殺を考えるほど追い込まれていました。そして、最後の心残りであった硝子への謝罪を果たすため、彼女のもとを訪ねます。

1:聴覚障害やいじめを扱った衝撃的なストーリー

小学生時代はいじめの加害者と被害者の関係であった将也と硝子の人間関係を軸にストーリーは進んでいきます。障害やいじめといったセンセーショナルな題材を扱いながら、エンターテイメントとして成立させるのは難しいですが、それだけにこの『聲の形』は多くの観客の心を動かす作品になっています。 本作がテーマに掲げているのはディスコミュニケーション。文字や手話を通さなければ意思の疎通ができない硝子、実は人一倍コミュニケーションを求めていた将也、ほかにも将也に思いを告げられない植野直花、表面上の付き合いしかできない川井みきなど、それぞれのディスコミュニケーションが描かれています。 硝子という異分子の登場でいとも簡単に崩壊してしまった友人関係。果たして彼らがどんな答えに辿り着くのか、それぞれのキャラクターに注目して観るのも面白いですね。

2:映画『聲の形』の作画を担当した山田尚子監督の映像表現

本作を手掛けるのはアニメーションの完成度の高さに定評のある制作会社京都アニメーション、そして劇場版『けいおん!』、『たまこラブストーリー』に続き、アニメ映画3作目となる監督・山田尚子です。 京アニならではの見ごたえのある作画はもちろん、山田尚子らしい演出の数々も存分に満喫できます。彼女が得意とする手振れや光、被写界深度など、実写のような映像を意識したカメラワークは、キャラクターの心情を細かく拾っていく『聲の形』と相性が良く、絶妙な「生っぽさ」を生み出しています。監督自身も「ちゃんと綺麗なものとして描こう」と意識したという美しい風景にも注目したいところです。 『けいおん』から続くキャラの細かい仕草へのこだわりも相変わらずで、ちょっとした動きにもキャラの魅力が詰まっており、ひと場面たりとも見逃せません。

3:映画『聲の形』の劇中に散りばめられた花のカット

冒頭に流れるイギリスのロックバンド・The Whoの「My Generation」や波打つ水のカットなど、映画版『聲の形』ならではの演出も多く散りばめられています。中でもいろいろな場面で差し込まれる花のカットが印象的です。 例えば、硝子の筆談ノートが池に投げ込まれるシーンでは「絶望、悲嘆」といったネガティブな花言葉を持つマリーゴールドが植えられています。また、硝子と一緒のカットには「純潔、無邪気さ」を意味する白いデイジーが繰り返し映り込んでいます。 あまり深読みしすぎるのは野暮ですが、花言葉以外でもそれぞれのカットに込められた意図に注目してみるのもいいかもしれません。

4:映画『聲の形』はキャストも豪華! 小学生時代の将也役は松岡茉優

アニメ映画『聲の形』を支える各キャストの演技に驚かされた人も多いのではないでしょうか。主役となる石田将也役には入野自由、西宮硝子役には早見沙織、そして小学生時代の将也役として女優・松岡茉優が起用されています。 特に硝子を演じた早見沙織の演技は圧巻で、言葉での表現は難しい硝子の息遣いひとつからも気持ちが伝わってきます。漫画では体験できなかったキャラクターの声が聞けるのは映画ならではの楽しみです。

5:映画とは描き方の違う原作漫画『聲の形』を読むと二度おいしい!

映画版『聲の形』は大今良時の原作漫画より全体的にマイルドな表現となっています。山田尚子監督のインタビューによれば、上述した花のカットや彼らを包み込む美しい背景には、尖った作風を緩和する意図もあったと語っています。 映画では各キャラに対するポジティブな要素が描かれますが、原作では言い訳しようがない描写やキャラクターの行動も登場し、最後まで読み切れない人も出てくるほど心がえぐられる内容になっています。ですが映画と比較することでより楽しめる部分もあるので、本作を存分に味わうために原作に手を伸ばしてみるのも良いのではないでしょうか。 さらに2018年には『響け!ユーフォニアム』の新作、山田尚子監督の『リズと青い鳥』と新作映画が控えています。新規アニメーションが追加されたパッケージ版で改めてアニメ映画『聲の形』を振り返るのもいいですね!