僕/私の愛したあの悪役・ニーガン『ウォーキング・デッド』【GW連載第5回】

2018年5月3日更新

悪役。ヒーローとは違いスポットライトが当たりにくい存在に光を当てます。ciatrのライターや編集部が激選した7人の悪役達をGWの1週間の間連載していこうと思います。

【GW悪役特集 第5回】誰もがいつか憧れた「悪」を毎日紹介!

さて、GWをどのようにお過ごしでしょうか?ストリーミング廃人となり、隣にポテトチップスの袋を従えて映画やドラマばかり観ていませんか?最高のGWの過ごし方ですね。 GWをゆっくり過ごすあなたに、ciatr編集者/ライターが責任を持っておすすめする深みのある悪役達を連載形式で紹介していきたいと思います。連載第5回目は、大人気海外ドラマ『ウォーキング・デッド』からあの悪役を紹介!

第一印象最悪、TVドラマ史上最高の悪役ニーガン

※『ウォーキング・デッド』のシーズン6最終話をご覧になっていない方、そしてそもそも『ウォーキング・デッド』という海外ドラマをご覧になっていない方にとって、こちらの記事はドラマのあらすじには極力触れない内容ではございますが、ネタバレと捉えられる要素も含んでいます。読んだうえでもドラマは楽しんでいただけると思いますが、絶対的にネタバレを避けたい方は先を読むのを控えてください。 これから私が綴るのは本作のシーズン6の最終話でその姿を現したニーガンという男への愛です。なので、今後私とデートする男性がこれを読む事も勧めません。というか、やめてください。

はい、ニーガンです。第一印象といえば、従来のドラマファンの愛する2人ものキャラクターを有刺鉄線を巻いたバットで叩き潰し殺すという、非常に残虐なヴィランでした。そのゴアシーンはドラマの中で最もトラウマとなるシーンと言っても過言ではないほど。そんなわけで出だしから早速ファンの恨みを買った彼でしたが、中には私のように彼の虜になる者も続出。本日はそんな彼の魅力を徹底的にご紹介させてください。

根っからのリーダー気質を持つセクシーなイケメン

もうハッキリ先に述べます。彼は非常にイケメンです。ジェフリー・ディーン・モーガンというイケメン俳優が演じているので、それは当たり前かもしれません。そして身長188センチ・筋肉質、レザージャケットに白Tを合わせ、ルシールという有刺鉄線を巻いたバットを肩に置く立ち姿は控えめに言ってもスタイルが良い。色気が半端ない。あと、アポカリプス中みんなが汗まみれの汚いTシャツを着ているにも関わらず彼は毎日しっかりシャワーを浴びているといっても良いほど清潔感溢れています。 さらに何より、彼がTVシリーズ史上最も優れたヴィランと言われているのは、彼の表情にあります。彼はどんな時でも基本的に口角をあげ、時には大声で笑います。「バットマン」シリーズのジョーカーをはじめ、カリスマ性ある歴史的ヴィランたちの共通点は怖い顔をしているのではなく、にこやかな顔をしている点にあると思うのですが、ニーガンもまた常に“オープンマインド”であるように、ニコニコしているのです。

その笑顔の素晴らしさたるや。お気に入りのキャラクターを惨殺し、主人公の精神を卑劣にかき乱すような行動をとっているにも関わらず、笑顔でいる彼の醸し出す雰囲気やチャーミングさのせいで何故か憎めないのです。 加えて、彼はアポカリプスが起きる前は学校の体育の先生をしていました。専門が卓球というのが少し意外ではありますが、やはり前に立って人を牽引していく側であったため、彼が「救世主」というグループのリーダーである事も納得ができますね。

顔だけじゃない!合理的で頭脳派な一面も

One week until #thewalkingdead is back in your life. Who’s excited?? #twd #skybound

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凄い男の人って本当に凄くて、顔やスタイルが良いだけではなくて頭も良かったりするんですよね。ニーガンはドラマの主人公であるリックと比べて、非常に合理的で冷静に物事を捉えるタイプです。そのため、危険因子と判断したグループの事を事前に緻密な計画をたてた上で袋小路にする事を得意とします。それはまるで、道を閉ざしていくことで実験中のネズミが向かう先を操作しているかのよう。 そもそも、彼の殺人は感情論や一切理由のない無差別的なものではありません。実は彼は殺人を好まないのです。しかし、“殺しておくべき人間”、つまり自分自身やグループに所属する部下、女子供に危害を加えそうな危険人物をしかるべきタイミングで殺す事は好きだと語るシーンがあります。更に言えば、最初に登場した際に主人公の仲間を殺したのも無意味なものではなく、見せしめとして一人殺す事で彼らが今後自分らの危険因子にならず、無駄な闘いを避けるためにお灸を据えたというわけなのです。ニーガンは常にその行為に伴うリスクや犠牲を見据える事ができました。そのため、リックらが仕掛けた戦争も無駄だと考えていました。

下半身ギャグを3分に一回は口に出さないと死ぬ

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何故彼のファンが続出するのか。それは先述の通り、頭が良いセクシーなイケメンである以上に、“面白い男”だからかもしれません。彼は常日頃ジョークを言うのですが、それがまた下品なものがほとんど。自分の身柄が拘束され、命の危機にさらされているという状況下においてもディック・ジョークを口走ってしまう。 もうね、憎めないんですよこれがまた。コミック版から口が悪いというのがこのキャラクターの特徴ではあるのですが、実写ではそれ以上にウィットに富んで下半身ギャグをかましています。

子供が大好き!情深い!約束は守る!……性格良いじゃん

さて、そんなニーガンですが実は子供が大好き。もともと先生という立場でしたので、子供の扱いは自然でうまく、特にリックの息子カールを気に入っていました。そしてカールの妹であるジュディスにもデレデレな一面を見せることも。 更に、彼はとにかく約束を守る男です。他のグループに対して物資を半分渡す代わりに彼らを守る、という約束を交わしていますが、実際に守っていました。しかし、だからこそ約束を破る人間を嫌います。「人間は資源だ」というモットーを掲げる彼は、無駄な殺生をするなと部下に伝えています。しかしこれを破り、とあるグループをほぼ皆殺しにした部下がいました。普通であれば、この部下は即殺されてもおかしくないのですが、ニーガンは彼にチャンスを与えます。それは、その部下に対する思い入れが強かった事もありますが、「人間誰しも一度は過ちを犯す」という事を誰よりも理解している人物だからなのではないでしょうか。

最終的に、その部下が自分をリーダーの座から引きずり降ろそうと反乱を企てている事を知ったときも、「それなら正々堂々と拳で戦って勝ち負けを決めよう」と言って戦うなど、日本のヤクザ並みに義理と人情に溢れる男です。だからこそ、ニーガンが勝ち、本当は望まなかったのに自分の手で部下を殺さなければいけない状況になった時、未だかつてないほど感情を露にして、冷静さを失い、精神的に壊れてしまったのです。……なんか普通に性格良く思えてきませんか?

それぞれの正義。“誤解をされている男”

実はニーガンが「救世主」になる前、アポカリプスが起きた直後、彼は妻を救えずに失ったばかりの病院で一人の少年と出会います。彼の事を救おうとしましたが、少年はウォーカーに襲われ死んでしまう。これが彼にとって2度目の“守れなかった命”でした。これらの出来事をきっかけに、彼は自分の背中の後ろに立つ者達の命を「守る」という強い責任感を抱くのです。 先立ってしまった妻“ルシール”に対しても、生前浮気を繰り返してしまった事を酷く後悔し、愛し続けていました。だから、アポカリプス前に自分を支えてくれた彼女の名をとって、アポカリプス後に自分を支えてくれる武器をルシールと名付けるのです。そこからも、彼が本当は非常に愛情深い人間なのではないかと思えますよね。最初は小さなグループでしたが、そんなニーガンが人を見つける度に“救っていった”おかげで「救世主」という巨大グループにまで成長しました。

我々はシーズン1からリックという主人公と、その仲間達を追って来ています。今まで彼らに何が起きたかを知っているから、ニーガンが仲間を殺した事を許せません。しかし、物の味方を変えてみるとしましょう。そもそも、最初に「救世主」の人間を大量に殺したのはリック側でした。ニーガンからすれば、突然知らないグループが現れ、理由もなく自分の部下の寝込みを襲って虐殺をしたヤバい奴らがいると思うわけです。すると、そんなサイコ野郎たちから自分の民を守らなければならないという使命感が強くなりますよね。だからこそ、「一人を見せしめで殺して、戒める必要がある」と判断してとった行動だったのです(まあ、結果的に二人殺しちゃったけど)。 もし、我々がシーズン1からニーガンという主人公と、その仲間達を追っていたとしたら、リックは良い人と言えたでしょうか?つまりリックにはリックの、ニーガンにはニーガンの守るべき者と、正義が存在するだけなのです。

もはや、ニーガンは“ヴィラン”なのだろうか

そうすると、ニーガンはヴィランと言い切れるのでしょうか。そもそも、この連載第一回目で紹介された『ブラックパンサー』のキルモンガーのように、全てのヴィランには彼らなりの正義があって、それが時には完全に悪と言えない場合がある。そしてそれこそが、その人物を素晴らしいヴィランにする要素でもあるのです。シーズンの話数が進むにつれて、リックのモラル崩壊していく中、ニーガンの思いやりなどが顕著に見えてくるという構図もまた、我々に改めて“善と悪”について考えさせられます。 是非、今度『ウォーキング・デッド』をご覧になる際はニーガンの見方を少しだけ変えてみてはいかがでしょう。