2018年6月12日更新

仏のアニメ映画『大人のためのグリム童話』8月公開【片渕須直も絶賛】

(C)Les Films Sauvages - 2016

グリム童話初版版から収録される童話『手なしむすめ』を現代むけてアニメーション化した作品が日本公開決定です。アヌシー国際映画祭で高く評価され、日本のアニメ監督からも絶賛されている本作について紹介します。

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』8月公開決定

ドイツの民話集として、昔から語り継がれてきたグリム童話。その中の一片として知られる『手なしむすめ』を元にした話題のアニメーション映画が、ついに8月日本で公開されます。 2016年アヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞と最優秀作品賞をダブル受賞した本作は、原作を独自の技法で映像化し、オリジナルと違う結末で仕上げた傑作となっています。 そんな話題のアニメーション映画について、気になる情報をまとめました。

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』のあらすじは?

大人のためのグリム童話
(C)Les Films Sauvages - 2016

本アニメーションは、グリム童話の初版版から収録されているという『手なしむすめ』という話を原作としています。

『手なしむすめ』ストーリー

大人のためのグリム童話
(C)Les Films Sauvages - 2016

あるところに貧乏な粉屋がいました。粉屋はある日悪魔と出会い、お金と引き換えに自分の娘を渡す約束をしてしまいます。悪魔が娘を迎えに来ますが、信心深い娘の涙は清らかで、悪魔は近寄ることができません。悪魔は粉屋に、涙に触れた娘の手を切るように命じ、粉屋もそれに従います。 娘は手を切られたものの、泣き続けていたため結局悪魔は連れ去ることはできませんでした。娘は「情深い人が助けてくるでしょう」と言い、家を出ます。 娘はやがて王様の庭にたどり着き、美しく信心深い娘は王様に見初められお妃となりました。やがて王様は戦に行かなければならなくなり、お城を留守にします。お妃となった娘のお腹には赤ちゃんがおり、王様は赤ちゃんとお妃を大切にするようにと戦場から母親にあてて手紙を書きます。 しかしその手紙は悪魔によってすり替えられ、「お妃と赤ちゃんを殺して、証拠に目玉と舌を取っておくように」というとんでもない内容になっていました。偽の手紙を受け取った王の母は、身代わりに牝鹿の目玉と舌を切り取り、王妃と赤ちゃんを城から逃げ出させます。戦から帰った王はことの顛末を知り、見つかるまでは飲み食いしないという誓いを立てて王妃を探しに旅立ちます。 信心深い娘は天使の家に住んでおり、手も元どおりになっていました。捜索の末、王様も王妃を見つけて連れて帰り、末長く幸せに暮らしました。

監督セバスチャン・ローデンバックについて

大人のためのグリム童話
(C)Les Films Sauvages - 2016

セバスチャン・ローデンバックはアニメーション作家兼イラストレーターです。グラフィックデザイナーとしても活躍しており、映画のポスターやクレジットも手がけています。 2018年6月現在、彼は8本の短編アニメ作品を発表していますが、本作が長編デビュー作品です。 尊敬するアニメ監督はスタジオジブリの高畑勲監督だというローデンバック。高畑監督の代表作といえば『火垂るの墓』や『平成狸合戦ぽんぽこ』が有名です。 一方で、高畑は『かぐや姫の物語』といった芸術性の高い作品も手がけています。ローデンバックは高畑の実験精神を尊敬しているそうで、独自技法で手がけた本作にも、高畑作品に通じるものを感じさせます。

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』声の出演者たち

少女/アナイス・ドゥムースティエ

ドゥムースティエは1987年生まれ、フランスを中心に活躍する女優です。 彼女の代表作といえば、2014年の『彼は秘密の女ともだち』。偶然気付いてしまった友人の夫の女装趣味を認め、彼を秘密の友人として交流していく主人公の女性クレールを演じました。

王子/ジェレミー・エルカイム

役者、そして脚本家としても活躍しているエルカイム。2011年『わたしたちの宣戦布告』に登場する悪性腫瘍を抱えた息子を持つ夫婦の父親役を演じたことで知られています。 同作品のヴァレリー・ドンゼッリ監督はエルカイムの元パートナー。映画自体も彼らの実体験に基づいていることが話題となった作品です。

国際的にも高評価!日本を代表する作家たちも絶賛

大人のためのグリム童話
(C)Les Films Sauvages - 2016

本作はカンヌ映画祭の実験映画部門で上演されたほか、アヌシー国際アニメーション映画祭でも2部門で受賞するなど、国際的に高い評価を経ています。 また、『この世界の片隅に』の片渕須直や、2003年『頭山』がアヌシー国際アニメーション映画祭グランプリに輝いた山本浩二といった日本のアニメ監督も絶賛の作品となっています。

実は日本にも似たようなお話が

大人のためのグリム童話
(C)Les Films Sauvages - 2016

原作はグリム童話ですが、実は日本にも似たような民話が存在します。日本版は手を切るように指示するのは悪魔ではなく継母ですが、娘はお地蔵さんによって助けられるというストーリー。このように『手なしむすめ』は国境を超えて、信心深いことの大切さを訴えるお話なのかもしれません。 きっと現代の日本の観客の心にも響く作品となることでしょう。