2019年2月23日更新

「ハン・ソロ」悪い評価が目立つが、良さもあるぞ!冷静に映画を分析してみた

「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ第二弾『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』。実は公開前から不安視されたいた本作は、やっぱり(?)賛否両論を巻き起こす結果に。駄作という評価が目立つが、「ハン・ソロ」は本当に駄作なのか?

映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」高評価 or 低評価 あなたはどっち?

2018年夏に公開された、「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ作品である『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』。ルークと出会う前の、ハン・ソロのオリジンを描く本作は公開前から波紋を呼び、公開後も何かと酷評を受ける的となってしまいました。 しかし、本作は果たして本当に悪い点ばかりなのでしょうか。実は案外「ハン・ソロ」悪くないんじゃない?と思う筆者が、何故ここまで本作がこき下ろされたのか、目を向けるべき良い面を正直に綴りたいと思います。

映画は若き頃のハン・ソロを描く

まず、前提となる本作のストーリーラインをおさらいしましょう。時系列はこれまで映画化された作品の中では4番目。エピソード3にあたる「シスの逆襲」から9年後、そしてエピソード4「新たなる希望」(および「ローグ・ワン」)の10年前に当たります。 つまり、ルーク達と出会うもっと前のこと。ハン・ソロがパイロットから密輸業者になった過程の中で、レイアと世紀の大恋愛に落ちる前に恋心を抱いていたキーラとの過去、チューバッカやカルリジアンとの出会いが描かれるのです。

監督降板劇があり不安視されていた

そもそも、本作は制作の時点で暗雲が立ち込めていました。そこにあったのは、監督の降板劇。 最初に決定した監督は『くもりときどきミートボール』や『LEGOムービー』で知られるフィル・ロードとクリストファー・ミラーのタッグでした。しかし、映画の製作途中だった2017年に「クリエイティブビジョンの相違」を理由に彼らの降板が発表。 その後、彼らの後任となったのがロン・ハワード監督。毛色の全く違う監督の交代、さらにハワード監督による「当初本作への就任に“消極的”だった」という発言もふまえ、ファンは思わず「大丈夫か……?」と心配したのです。

興行収入的には失敗?映画「ハン・ソロ」が低評価を受けた理由を考察

①ハン・ソロはハリソン・フォード以外ありえない?

まず、評価の的となったのは今回「3000人以上の選考によって選ばれた俳優」と言われる、主演のオールデン・エアエンライク。「ハン・ソロはハリソン・フォードじゃなきゃ受け入れられない」、「ハン・ソロが綺麗すぎる」という彼に対する評価が散見しています。しかし、もうそれを言うと誰でもダメだったような気が……。 ちなみに、エアエンライク以外に有力候補に上がっていた俳優はマイルズ・テラー、アンセル・エルゴート、デイヴ・フランコ、ジャック・レイナー、スコット・イーストウッド、ローガン・ラーマン、エモリー・コーエン、ブレイク・ジェンナー、タロン・エガートン。この中から、エアエンライクとレイナー、エガートンが最終選考へ進んだといわれています。

②名前の由来とか、何でもかんでも理由づけしなくていいから……。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
©DISNEY

そして、いくら本作がハン・ソロの「オリジン」を描く映画だからといっても、流石に全てを説明しなくて良いよ、という印象を筆者も抱きました。最たる例は、彼の名前の由来です。帝国軍アカデミーにパイロットとして入隊を希望する、ハン。苗字を名乗らず、ひとりぼっちアピールをする彼に対し、それならと言わんばかりに「ふうん……じゃあハン……ソロ(独り)ね」と名付けるアカデミーのおじさん。 え、アカデミーのおじさんがそんな具合に名付けた名前なの!?と、本作で最も衝撃的なシーンでした。 そもそも「スター・ウォーズ」がこれまで人気を博した背景には、「ファンが好きに想像する余地」があったと思うのです。次回作の公開は何年も先で、キャラクターには語られていない沢山の秘密がある。それを「多分こういう設定なんだよ」と、各々がアツく思い描き語る。だから、自分の考えていた「スター・ウォーズ」じゃないと抵抗感が生まれるのです。 そういったファンの思想を垣間見るドキュメンタリー『ザ・ピープルvsジョージ・ルーカス』から考えても、本シリーズは“語りすぎた”ことが大きな敗因のように感じます。

③「最後のジェダイ」が影響?まさかの“スター・ウォーズ疲れ”

スター・ウォーズ 最後のジェダイ レイ
©︎LMK

「ハン・ソロ」が公開されたタイミングも、実は興行収入が伸び悩んだ原因として考えられます。 というのも、その半年前ほどにはメインシリーズの最新作「最後のジェダイ」が公開。この時、ライアン・ジョンソンが「スター・ウォーズ」に吹き込んだ新しい風に対し、これまた賛否両論が巻き起こりました。もちろん、肯定派もいましたが否定派の意見が目立ち、なんとなくこの時「スター・ウォーズ」全体の心象に悪影響を与えたことが考えられます。 そして何よりこれまでにない、“スター・ウォーズ疲れ”という現象を起こしたのも原因の一つ。エピソード1~6は、公開感覚が3年おきになっていましたが、新章と言えるエピソード7(2015年)以降、毎年「スター・ウォーズ」作品が公開されていたのです。 加えて、「最後のジェダイ」からわずか半年後というスパンでの公開。これまでのワクワク感や焦らしもないというのが、作品の出来以外の大きな要因として捉えられるのです。

あくまでハン・ソロという人間のドラマ、スペースウエスタンなんだ!

『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』
© Walt Disney Studios Motion Pictures

先述の通り、本作はハン・ソロがパイロットから密輸業者になった過程を描いた作品。つまり、ジェダイやフォースの話ではないというわけです。 そういった意味で、「スター・ウォーズ」らしさは他と比べて少ないかもしれません。しかし、これはあくまでハン・ソロという人間の記憶に焦点が当てられたアドベンチャードラマ。 その中でメインシリーズに登場してきたキャラクターや小話の由来を描くという意味では「スター・ウォーズ」らしさを残しているのも事実なのです。スペースオペラと捉えるのではなく、スペースウエスタンと捉えることで本作の見方を変えることはできませんか?

ケッセル・ランをミレニアム・ファルコンが駆け巡る!魅力や評価ポイントも十分あった

本作には魅力も十分にあったはず。例えば、ケッセル・ランのシーン。「新たなる希望」でルークにしていた、あの自慢話「ミレニアム・ファルコンはケッセル・ランを12パーセクで飛んだ」を目の当たりにできたのは嬉しい限りです。 これをはじめとし、アトラクションに乗っているような迫力のあるシーンも多々もあり、純粋に娯楽性が高く楽しめるものでした。 また、「ファントム・メナス」で死んだと思われた(アニメ「クローン・ウォーズ」で復活していた)ダース・モールが登場するなどのサプライズもありました。その他に、度々話題にあがる「新たなる希望」の“ブラスターどっちが先に打った問題”についても、一つの解が用意されているのが面白いです。 酒場のシーンでもともとハン・ソロが先に打っていたシーンが、「新たなる希望 特別版」ではグリードが先だったように修正されていた。それにファンが「ハン・ソロが先に違いない!」と発狂していたのですが、本作ではこれを彷彿させるようなシーンがありました。そこでは、ハン・ソロが先に相手の動きに気づいてブラスターを放つ。つまり、「ハン・ソロが早い」というファンにとっては嬉しい解があったのです。

映画「ハン・ソロ」はこれまでのメインシリーズに新解釈を与えた?

先述のブラスター問題のように、「ハン・ソロ」はエピソード4~6までの作品に新しい解釈も与えました。ミレニアム・ファルコンを“彼女”と呼ぶのも、C-3POが船と交信した時に「訛りがある」といった発言も、L3-37が船内の一部になっていたからだと言うのが今ではわかる。 「帝国の逆襲」で再会したランドとハン・ソロの微妙な距離感のわけや、ハン・ソロが「誰も信じない」心情を掲げていたこともそうです。「ハン・ソロ」を観てから改めてこれらの作品を観直すと、新しい解釈を持って作品の理解を深めることができるのです。

「スター・ウォーズ」の評価が二分化するのは、避けられないことだ

本作を監督したロン・ハワードは、数々のヒット作を手がけただけに留まらずオスカー像を手にした手腕の持ち主。そんな実力が監督をしても、本作はこけ下されました。では誰が監督すれば酷評を避けられたのか?その答えは、“誰でも”なのではないでしょうか。 シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスでさえ、公開当時は「ファントム・メナス」を旧三部作ファンからこき下ろされました。 これは最早、自分の青年・少女時代に慣れ親しんだ三部作がどれか、という問題に近い。どんな作品でも根強いファンがいればいるほど、評価が二分化されるのは避けられないのかもしれません。

映画「ハン・ソロ」の反省を生かして、今後スピンオフ製作は慎重に。

とはいえ本作の興行収入の結果を受けて、製作を手がけたルーカス・フィルムが企画進行中だった「ボバフェット」のスピンオフ製作を完全中止にさせたのも事実。(2019年1月現在) ルーカス・フィルムを買収したウォルト・ディズニー・カンパニーの会長兼CEOであるボブ・アイガーは、「映画『スター・ウォーズ』シリーズをスピンオフ含めハイペースで作り過ぎたのは間違いだった」とThe Hollywood Reporter内のインタビューで告白しています。 とはいえ、全てのスピンオフ製作が白紙に戻ったわけではないそう。今後、ルーカス・フィルムは未だかつてないほど慎重に本シリーズを扱っていくことになるでしょう。