2018年11月20日更新

最強の女性ヒーロー、ワンダーウーマンとは何者なのか

アメコミを代表する人気と知名度を誇る女性スーパーヒーロー、ワンダーウーマン。2017年の実写映画が大ヒットし、映画続編も決定している彼女の魅力や意外な誕生の経緯などをご紹介します。

最強の女性スーパーヒーロー ワンダーウーマンをご紹介!

アメコミ史上最強の女性スーパーヒーローといえば、やはりワンダーウーマンを真っ先に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。 アメコミの歴史のなかでも最初期から登場した彼女は、現在に渡るまで活躍し、人気を保ちつづけています。そんなワンダーウーマンはいったいどんなヒーローで、その魅力はどこにあるのでしょう。 また、近年さらに盛り上がりを見せているフェミニズムとの関わりも、ワンダーウーマンを語るには欠かせない要素です。 今回はその正体から強さの秘密、そしてその誕生の経緯を解説していきます。

ワンダーウーマンって何者?最初は粘土の人形だった!?

ワンダーウーマンことプリンセス・ダイアナは、ギリシャ神話に登場する女性だけの部族、アマゾン族の王女。彼女たちは、外界から隔絶されたパラダイス島に住んでいます。 1941年に連載が始まった当初は、子供を望んだアマゾン族の女王、ヒッポリタが粘土で赤ん坊の人形を作り、そこにオリンポスの神々が命を吹き込んでダイアナが誕生したという設定でした。これは、最初の人類アダムの誕生を連想させます。

その後、2011年に始まったシリーズではダイアナは粘土から生まれた存在ではなく、全知全能の神ゼウスとヒッポリタの実子で、半神という設定に変更されました。 また、女だけが住むパラダイス島で育ち「男を見たこともない」という設定から、多くの男性読者の妄想をかき立ててきたダイアナですが、2016年から始まった新シリーズでは、バイセクシャルという設定も追加されました。

ワンダーウーマンの能力や武器、装備

神にも等しいワンダーウーマンの能力

故郷パラダイス島で戦士として訓練を受けていたダイアナは、非常に優れた戦闘能力の持ち主です。彼女は、超人的な怪力、俊敏性、治癒力を持つ不落の戦士。 初期は飛行能力を持たない設定だったため、「インビジブル・ジェット」という透明な飛行機を使っていましたが、現在は亜光速での飛行ができるようになりました。 また、身体能力があまりにも優れているため見落としがちですが、知的な彼女は数百の言語を話すことができます。さらに動物とも話ができるうえにテレパシー能力もあるのですから、まさに人間離れした存在です。

不思議な力をもつ武器・装備

ワンダーウーマンの武器としてもっとも有名なのは「真実の投げ縄」。金色に輝くその投げ縄に捕われた者は、真実を告白してしまいます。 また、トレードマークである銀のブレスレットは防弾仕様。これには彼女の強すぎる力を制御する目的もあるとか。 実はこのブレスレットはアマゾン族全員が着用しており、彼女たちが奴隷として扱われていた時代の手錠を模したもの。その歴史と、世界に愛と平和ともたらすという使命を忘れないために身につけています。

ワンダーウーマンの恋愛遍歴は?

ワンダーウーマンの最初のロマンスの相手は、実写映画にも登場したスティーブ・トレバーです。アメリカ軍のスパイだった彼は、ダイアナが初めて見た男性。1941年の創刊から長年の恋人でしたが、破局してしまいました。 その後、バットマンやアクアマンなど何人かのスーパーヒーローや人間、ヴィランとのロマンスが描かれてきましたが、どれも長続きせず。 そして2012年、長年コミックファンが熱望していたワンダーウーマンとスーパーマンのロマンスが、ついに公式のものとなりました!

しかしこの関係も長くはつづきませんでした。2011年から始まったNew 52シリーズでとっちらかってしまった時系列を整理するため、スーパーマンはさまざまな時空を行き来し、そのなかでダイアナとのロマンスもなかったことになってしまったのです。 あまり男運の良くないダイアナですが、それが女性である可能性も含め、いつか運命の人に出会う日がくるのかもしれません。

大絶賛された実写映画『ワンダーウーマン』の魅力とは?

2017年に公開され、世界中で大ヒットした実写映画『ワンダーウーマン』。パティ・ジェンキンスがヒーロー映画初の女性監督としてメガホンを取った本作は、特に女性たちに強く支持されました。 『ワンダーウーマン』がこれほど熱狂的に受け入れられた理由は、どこにあるのでしょうか。 ひとつ、注目すべきシーンを挙げてみましょう。それは、スティーブの秘書であるエッタ・キャンディが、自分の仕事はスティーブに言われたとおりになんでもすること、と言ったときです。ダイアナはこれを聞いて驚き、「私の島では、それ“奴隷”って呼んでる」と返しました。 笑えるシーンではありますが、観客はこの一言で、社会が求める「女性らしさ」の正体は「服従」であると気づかされます。

本作でガル・ガドットが演じたダイアナ/ワンダーウーマンは、肌の露出が多い衣装を身にまとい、敵を美しくぶっ飛ばします。その姿にいやらしさは微塵もなく、誰もがほれぼれするようなかっこよさでした。 同時に彼女は、試着やアイスクリームのシーンなどで自然体でチャーミングな一面ものぞかせ、かわいらしい人という印象も与えます。 これまでハリウッド映画に登場した“強いヒロイン”の多くは、身体的・精神的な強さや内面の葛藤が強調され、美しさや優しさ、恋愛とは縁遠い存在として描かれてきました。 そこに登場したワンダーウーマンは、強く、賢く、美しく、慈愛に満ち、チャーミングで自然体で多面的な魅力を持った女性として描かれています。その姿は多くの女性にとって「リアルな女性像」であり、「理想の女性像」でもあるのです。

ワンダーウーマン誕生の意外な経緯『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』

ワンダーウーマンの原作者は、アメリカの心理学者であり作家のウィリアム・モールトン・マーストン(ペンネーム:チャールズ・モールトン)です。 ハーバード大学に入学した年、イギリスの女性解放運動の活動家エメリン・パンクハーストの講演が学内から締め出された騒動をきっかけに、マーストンはフェミニズムに興味を持ち始めました。 大学を卒業した年に、マーストンは幼なじみで同じく大学を卒業したばかりのセイディ・エリザベス・ハロウェイと結婚。しかし、タフツ大学で教鞭を取っているとき、マーストンは教え子のオリーヴ・バーンと恋に落ちます。 マーストンは妻に3人での同居を持ちかけ、キャリアウーマンだったエリザベスはオリーヴが育児をすることを条件に同意します。こうして3人の「夫婦」と、その子供たちでの生活が始まりました。

当時人気を博していたスーパーヒーローもののコミックがあまりに男性的で暴力的であることを危惧したマーストンは、女性スーパーヒーローのコミックを生み出すことに。その際、彼のふたりの「妻」がモデルになったと言われています。 この経緯は、映画『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』(2017/日本未公開)で描かれています。

『ワンダーウーマン』はポルノ!?フェミニストから批判が噴出

フェミニズム的な観点から生まれたにも関わらず、『ワンダーウーマン』のコミックは読者、おもに女性たちによって焚書される事件が起こりました。 そのもっとも大きな原因は、ワンダーウーマンのある設定のため。 ワンダーウーマンには、男性によって拘束されると力を失ってしまうという設定があり、ほぼ全てのエピソードで彼女は鎖や縄で縛られます。これらのシーンが、性倒錯的でありマゾヒスティックだと批判されました。 マーストンは、これは女性の男性社会からの解放を象徴していると説明しましたが、『ワンダーウーマン』はソフトポルノではないかとの批判が起こったのです。

強く、美しく、賢く、チャーミング!それがワンダーウーマン!

Happy woman's day to all the amazing women around the world????????????

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実写映画『ワンダーウーマン』の監督パティ・ジェンキンスは、「女性も男性と同じようになんにでもなれる」と語っています。 近年のフェミニズムは、女性性を保ったまま社会的地位を向上させようという考え方を持っています。つまり、セクシーな服を着ているからといって仕事ができないとは限らないということです。 美しくありたい、仕事もしたい、恋愛もしたい、自分らしくふるまいたいという女性たちの思いを体現しているワンダーウーマン。彼女は、ジャスティス・リーグでスーパーマンやバットマンら男性のヒーローたちとともに活躍しています。その姿に媚びる様子や遠慮する様子は一切ありません。 女性たちのロールモデルとなったワンダーウーマンは、今後もファンを増やし、彼女を目標とする仲間を増やしていくでしょう。