2018年9月19日更新

日本の喜劇王・三谷幸喜の映画8本を完全解説!

「古畑任三郎」シリーズや『王様のレストラン』など、人気コメディドラマを多数手がけてきた三谷幸喜。ドラマはもちろんのこと、映画にも素敵なコメディ作品がいっぱい!今回は、三谷幸喜がこれまでに発表してきた映画作品を一挙ご紹介します。

日本のコメディドラマ、映画をリードする喜劇王・三谷幸喜

コメディ、ドタバタ喜劇と言えば、やっぱり三谷幸喜作品です。「古畑任三郎」シリーズを始め、たくさんのドラマの脚本を手掛け、1997年ごろからは映画作品も精力的に手掛け監督も務めています。 三谷幸喜のどの作品にもユニークで個性的なキャラクターたちが登場し、ストーリー設定も斬新でユーモアあふれるものばかり。これまでの刑事ドラマの常識を覆した「古畑任三郎」シリーズや、戦国時代の会議が舞台の『清須会議』など、他の作品では味わうことのできない魅力がいっぱいです。 今回は、2019年には新作映画の『記憶にございません!』が公開予定となっている、三谷幸喜のこれまでの映画作品8本を振り返ります。

三谷幸喜のプロフィール

1961年、東京都世田谷区に生まれた三谷幸喜は、日本大学芸術学部在学中に「東京サンシャインボーイズ」を旗揚げします。劇団の活動が大学内でも注目される中、徐々にバラエティ番組の構成作家やテレビアニメの脚本なども手掛けるようになりました。 1989年に放送されたテレビドラマ『やっぱり猫が好き』の脚本でさらなる注目を集め、『振り返れば奴がいる』で連続テレビドラマにも進出。そして1994年、人気シリーズの「古畑任三郎」を生み出します。 その後も連続テレビドラマの脚本を担当し、これまでにない斬新でユニークな喜劇作品を数多く手掛けてきました。そんな三谷は、1997年ごろから映画監督としても活動し始め、オリジナリティあふれるコメディ映画を発表し続けています。

1. 東京サンシャインボーイズの名作を映画化!『ラヂオの時間』【1997年】

三谷幸喜が中心となって活動していた劇団・東京サンシャインボーイズの名作である『ラヂオの時間』が1997年、ついに映画化されました。こちらは、三谷幸喜が初めて映画監督を務めた作品です。 主婦のみや子(鈴木京香)は、自分の書いたシナリオがラジオドラマとして放送されることになり、プロデューサーの牛島(西村雅彦)と打ち合わせをしていました。しかし、さまざまなアクシデントに見舞われ、みや子のシナリオはいつしか全く別の物語のようになっていきます。 記念すべきシナリオデビュー作を勝手に書き換えられてしまったみや子は憤慨しディレクターの工藤(唐沢寿明)らに抗議しますが……。

2. 夢のマイホーム建築が思わぬ事態に?『みんなのいえ』【2001年】

マイホームを建築するという人生の一大イベントに直面した夫婦の奮闘する姿を描く『みんなのいえ』は、三谷幸喜らしさあふれるドタバタホームコメディで、2001年に劇場公開されました。 シナリオライターの飯島(田中直樹)は妻・民子(八木亜希子)と協力して新居を自分たちの手で建てることにします。友人や民子の父にもお願いして順調に進むかに見えた家づくりでしたが、デザイナーの柳沢(唐沢寿明)と大工の長一郎(田中邦衛)はお互い一歩も意見を譲りません。 思わぬところで問題点が勃発する飯島達の家づくり。果たして理想のマイホームは無事に完成するのでしょうか?

3. 日本のグランドホテル形式の名作!『THE 有頂天ホテル』【2006年】

「グランドホテル形式」とは、一つの場所に多くの人物が集まり、それぞれの人生の一コマが同時に進行していくようなストーリーの形式のことをいいます。登場人物の誰もが魅力的に輝く三谷幸喜の手掛ける世界では、この形式はベストマッチのスタイルです。 『THE 有頂天ホテル』は、大晦日に高級ホテル「アバンティ」で過ごす人々の人間模様をコミカルにテンポよく描いています。 役者の夢をあきらめた副支配人(役所広司)や、父の不倫相手と勘違いされる客室係(松たか子)、落ち目の演歌歌手(西田敏行)、汚職事件で追いつめられる政治家(佐藤浩市)など、それぞれが抱える人生ドラマが同じホテルに泊まったことで交錯していきます。 やがてホテル「アバンティ」に新年の朝が訪れようとしますが……。

4. 役者への愛、映画への愛にあふれた一作『ザ・マジックアワー』【2008年】

レトロな雰囲気漂う小さな街・守加護(すかご)。マフィアのボスから命を狙われている備後(妻夫木聡)は、ボスの女・マリ(深津絵里)に手を出してしまい、見逃してほしければ伝説の殺し屋・デラ富樫を連れてこいと言われてしまいます。 デラ富樫と知り合いだと大ウソをついた備後は役者を雇ってデラ富樫を演じさせ、ボスとマフィアたちを騙そうともくろみます。自身を映画監督だと偽り、自主製作映画への主演を依頼する形で、備後は売れない役者・村田大樹(佐藤浩一)に近づきました。 主演に抜擢され、役者としての一生一大のチャンスと張り切る村田。懇親の芝居を披露する彼に、マフィアたちやボスも巻き込まれてしまい……。 架空の街・守加護はすベて東宝のスタジオで作られて撮影されました。レトロで不思議な雰囲気が三谷作品の世界をさらに盛り上げています。 また、今作では佐藤浩市や寺島進といったシブい役者がとんでもなくコミカルな表情と演技で笑わせてくれるので、最後まで目が離せません!

5. 幽霊は証人になれるのか?『ステキな金縛り』【2011年】

殺人事件の弁護の依頼が来た落ちこぼれ弁護士のエミ(深津絵里)でしたが、その事件は彼女にとって絶対に逃すことのできない最後のチャンスでした。 容疑者の男・矢部(KAN)は、事件当日自分は「金縛り」にあっていたため犯行は不可能と容疑を否認。エミは、その「金縛り」の原因と思われる落ち武者・更科六兵衛の幽霊(西田敏行)に事情聴取するため、山中の宿に訪れます。 落ち武者の幽霊が参考人として出廷するという、前代未聞の法廷コメディ。「金縛り」と「幽霊」がもたらす不思議でステキな出会いとドラマに、笑って泣ける作品です。

6. 世界を手にするのはどっち?『清須会議』【2013年】

三谷幸喜の小説『清州会議』の実写化作品は2013年に公開されました。信長亡き後、織田家の跡継ぎ問題を解決するべく清州に集まった家臣たちの争いを描くこの映画は、三谷幸喜が初めて出かけた歴史映画です。 戦国時代を舞台にした作品なのに合戦は行われず会議で物語と歴史が動いていくという、三谷幸喜ならではの歴史映画となっています。 本能寺の変が起こり、織田信長が倒され、家臣たちは織田家の行く末を案じていました。信長の次男である信雄(妻夫木聡)と三男の信孝(坂東巳之助)のどちらが跡継ぎとなるのか、会議で決めようとする家臣たちでしたが、実際は2人の後ろで2人の武将が勢力争いを繰り広げていたのです。 信雄についている羽柴秀吉(大泉洋)と信孝を支持している柴田勝家(役所広司)は共に周りの人間たちを味方につけていき、ついに清須会議の日を迎えます。果たしてどちらの側が織田家の将来と国を手に入れるのでしょうか?

7. 三谷幸喜が手掛ける異色のSFコメディ『ギャラクシー街道』【2015年】

三谷幸喜初のSF作品となった『ギャラクシー街道』は、2015年に公開されました。なんと、登場人物全員が宇宙人という不思議でおかしなロマンチックコメディとなっています。 宇宙にあるギャラクシー街道でバーガーショップを経営している店主のノエ(香取慎吾)とその妻・ノア(綾瀬はるか)。人気のこの店には、いろいろな宇宙人がやってきては、ゆかいな騒動を巻き起こしています。 ある日、ノエのかつての恋人・レイ(優香)が訪れ、2人は再会を懐かしみます。夫と元恋人との関係を怪しんだノアでしたが、ノエもまたノアの浮気を疑っていました。バーガーショップのリフォームを頼んでいた業者のメンデス(遠藤健一)に、ノアは言い寄られていたのです。

8. 三谷幸喜がWOWOWドラマで前代未聞の挑戦?『大空港2013』

松本空港を舞台にさまざまな問題を抱える乗客たちとグランドスタッフたちのドタバタを描いた『大空港2013』は、WOWOWのスペシャルドラマとして放送されたのち、劇場でも上映されました。 社内恋愛のトラブルが原因で羽田空港から松本空港勤務となった千草(竹内結子)でしたが、ある日厄介な家族連れの乗客の対応を任せられてしまいます。葬式の帰りであった田野倉家ですが、家族のだれもがそれぞれにとんでもない秘密を抱えていたのです。 このドラマは、なんと全編ワンシーンワンカットで撮られています。元は劇作家であり、舞台役者としても活動していた三谷幸喜だけに、ワンシーンワンカットの映像作品には強いこだわりと思い入れがあるようです。 インタビューでも「舞台は究極のワンシーンワンカット」と語っている三谷幸喜。エキストラも含めると、かなりの大人数がワンシーンに収められている今作で、舞台やこれまでの映像作品を超える、驚きの演出と撮影方法に挑みました。

待望の新作『記憶にございません!』では政界に進出!?

そして、2019年にはついに三谷幸喜監督の最新作が公開されます。タイトルは『記憶にございません!』で、今回は政界が舞台。 記憶を失った内閣総理大臣を中井貴一、記憶喪失の総理を取り巻く妖しい閣僚たちにディーン・フジオカと草刈正雄、謎多き総理の妻を石田ゆり子が演じます。

笑って泣ける群像劇なら三谷幸喜

軽い気持ちでついたウソが膨れ上がり、たくさんの人を巻き込んで大騒動に発展したり、ひとつの場所に集まった人がそれぞれに奇妙な秘密を抱えていたり。三谷作品は登場人物の一人ひとりがみな生き生きとしていて、彼らの会話ややり取りがとてもコミカルでユーモラスです。 とびきり個性的な人が一人だけ活躍するのではなく、ちょっとずつ「面白おかしい」部分のある人達が悩みや秘密を抱えながら交流していく様子は、多くの人々の共感を誘います。 斬新で奇想天外な設定に、舞台仕込みのテンポの良いコミカルな会話。思いきり笑えて、そしてちょっぴり切ない、そんな群像劇は、やっぱり他作品にはないものではないでしょうか。