芸術の秋だからこそ見るべし!芸術家の生き様を描いた映画15選

2018年9月19日更新

美味しいものがいっぱい食べたくなる「食欲の秋」!しかし、秋は「読書の秋」、そして「芸術の秋」でもあります。普段はあまり芸術に縁がない人も芸術に触れる絶好のチャンスです。今回はそんな「芸術の秋」にぴったりの芸術家が主人公の映画を紹介します!

「芸術の秋」に鑑賞してみたくなる!芸術家の人生を描いた映画

普段はあまり芸術に縁がない人も、なんとなく秋は芸術に浸りたくなる気分になるものです。 そんなときには美術館などに足を運んでみるのも良いですが、芸術家の人生を描いた映画を鑑賞することで芸術の秋を堪能してみてはいかがでしょうか? 芸術家を描いた映画は有名な美術品の誕生秘話からその芸術家自身の壮絶な人生を描いたものまで様々で、今まで芸術にあまり興味がなかった人もアーティスト気分になれること間違いありません。 今回は、芸術の秋に鑑賞すべき芸術家の人生を描いた15本の映画を、美術史の流れに沿ってご紹介していきます。

1. ロシアの偉大なイコン画家アンドレイ・ルブリョフの生涯を詩的な映像で綴った『アンドレイ・ルブリョフ』

アンドレイ・ルブリョフ (1360?-1430? ロシア)

15世紀のロシアの修道士であり、イコン画家(聖像画家)であるアンドレイ・ルブリョフ。ロシア正教会では聖人とされ、最も重要なイコン画家と言われています。 そのアンドレイ・ルブリョフの生涯をソ連の巨匠・アンドレイ・タルコフスキーが映像化したのが、『アンドレイ・ルドリュフ』です。 当時のソ連は映画に対する国家検閲が厳しく、本作も1966年に完成しながらもソビエトでの一般公開は5年後の1971年となっています。しかしながら本国での公開前の1969年にカンヌ国際映画祭に出品され、見事国際映画批評家連盟賞を受賞しました。 本作の舞台は15世紀のモスクワ。内乱が続く時代に生きたアンドレイ・ルブリュフの苦悩を、当時の歴史を織り交ぜながら描いた2部構成の作品です。構成の複雑さもあり、批評家からの評価は様々でしたが、各国の映画賞にノミネート及び受賞を果たしました。

2. 西洋美術史に残る天才ミケランジェロ・ブオナローティの半生『華麗なる激情』

ミケランジェロ・ブオナローティ (1475-1564 イタリア)

イタリアが生んだ偉大なる彫刻家であり、画家、建築家、そして詩人でもあるミケランジェロ・ブオナローティ。ルネサンス期に活躍し、誰もがその名を耳にしたことがある西洋美術史上で多大なる影響を与えた芸術家の一人です。 そんなミケランジェロを描いた1965年のアメリカ映画『華麗なる激情』は、『ベン・ハー』(1959)でアカデミー賞受賞を果たした名優チャールトン・ヘストンがミケランジェロを演じ、アカデミー賞5部門にノミネートされました。 本作ではミケランジェロ・ブオナローティの生い立ちや彼がシスティーナ礼拝堂の壁画を描く様子が描かれています。 またチャールトン・ヘストンのほか、『マイ・フェア・レディ』で知られるレックス・ハリソンやショーン・コネリー夫人であるダイアン・シレントなど豪華俳優陣の共演も見どころの一つとなっています。

3. 17世紀オランダを舞台にした名作誕生の秘話『真珠の耳飾りの少女』

ヨハネス・フェルメール (1632-1675 オランダ)

バロック時代に活躍したオランダの画家ヨハネス・フェルメールは、写真のような写実性と綿密な空間構成が印象的な絵画を生み出しました。 そのヨハネス・フェルメールの代表作の一つである『真珠の耳飾りの少女』を題材とした2003年公開の映画『真珠の耳飾りの少女』。この絵画のモデルとなる女性グリートをスカーレット・ヨハンソン、そしてヨハネス・フェルメールをコリン・ファースが演じ、有名な絵画の創作を背景にした男女の複雑な感情のもつれを見事に映し出しました。 本作の華麗な映像美は高く評価され、アカデミー賞の美術賞など3部門にノミネートされ、またスカーレット・ヨハンソンがゴールデングローブ賞の主演女優賞へのノミネートを果たしています。

4. ティモシー・スポールがイギリスを代表する風景画家を好演!『ターナー、光に愛を求めて』

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー (1775-1851 イギリス)

18世紀末から19世紀初頭にかけて活躍したイギリスのロマン主義画家ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー。 『トラファルガーの戦い』や『解体されるために最後の停泊地に曳かれて行く戦艦テメレール号』、『雨、蒸気、速度―グレート・ウェスタン鉄道』などに代表される壮麗な風景画を得意とした画家です。 そんなジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナーを描いた2014年公開の映画『ターナー、光に愛を求めて』では、「ハリー・ポッター」シリーズのピーター・ペティグリュー役で知られるティモシー・スポールがターナーを演じ、イギリスを代表する監督マイク・リーがメガホンを取りました。 本作ではターナーの後半生に焦点が当てられ、ロンドンでその生涯を終えるまでが描かれています。ティモシー・スポールはその見事な演技により、カンヌ国際映画祭男優賞を受賞。また、作品自体も大変評価が高く、ロッテン・トマトにおいて支持率97パーセントという高い数字を叩き出しました。

5. 葛飾北斎の三女・応為を描いたアニメ映画『百日紅~Miss HOKUSAI~』

葛飾応為 (生没年不詳 日本)

江戸時代後期に活躍した浮世絵師であり、あの葛飾北斎の三女でもある葛飾応為。美人画を得意としており、父・北斎の肉筆美人画を代作したとも言われる人物です。 その葛飾応為を描いた2015年のアニメ映画『百日紅~Miss HOKUSAI~』は、日本のみならずアメリカでも公開されました。 本作は漫画家でありエッセイストでもある杉浦日向子の漫画を原作としており、主人公応為(本作では愛称であるお栄)の声を、女優の杏が担当しています。 応為、そして周りの人々が巻き込まれる事件を背景に、江戸時代の庶民の生活が小気味よく描かれた本作は、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞をはじめ数多くの映画賞を受賞しています。

6. 狂気の天才フィンセント・ファン・ゴッホの生き様『炎の人ゴッホ』

フィンセント・ファン・ゴッホ (1853-1890 オランダ)

『ひまわり』を始めとした数多くの作品を残すも、生前は認められず、死後作品が高く評価されるようになったオランダ出身の画家フィンセント・ファン・ゴッホ。 自身の耳を切り落とすなどその波乱万丈な生涯から狂気の天才とも言われ、その生涯は現在でも多くの人々の関心が集まるところとなっています。 そんなゴッホを描いた1956年公開の映画『炎の人ゴッホ』は、「狂気の天才」というゴッホの印象を世界中の人に定着させた映画と言われています。 本作でゴッホを演じたのは、マイケル・ダグラスの父で『スパルタカス』などで知られる名優カーク・ダグラス。またゴッホのライバル的存在である画家ポール・ゴーギャンを『アラビアのロレンス』などで知られるアンソニー・クインが演じ、見事アカデミー賞助演男優賞を受賞しました。 本作ではゴッホが司祭として出発するところから、画家になり、37歳で生涯を終えるまでが忠実に描かれており、数あるゴッホを描いた映画の中でも最も有名なものと言われています。

7. 官能的な作品を多く残したグスタフ・クリムトを描いた異色作『クリムト』

グスタフ・クリムト (1862-1918 オーストリア)

世紀末ウィーンの時代に活躍した画家グスタフ・クリムト。女性の裸体や妊婦などを描いた官能的な作品を多く残した画家であり、生涯結婚しなかったものの、彼の作品のモデルを務めた多くの女性たちと愛人関係にあったと言われています。 そのグスタフ・クリムトの人生を、女性関係に主軸を置いて描いたのが、2006年公開の映画『クリムト』。死の床にあるクリムトが自身の人生を回顧していく形で、クリムトの生涯を幻想的に描いた作品です。 クリムトを『マルコヴィッチの穴』などで知られる個性派俳優ジョン・マルコヴィッチが務め、また当時のウィーンの豪華絢爛な雰囲気を存分に味わうことのできる作品となっています。

8. フランスの女性彫刻家カミーユ・クローデルの狂気『カミーユ・クローデル』

カミーユ・クローデル (1864-1943 フランス)

19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの女性彫刻家カミーユ・クローデル。19世紀を代表する彫刻家ロダンの愛人としても知られる彼女は、ロダンとの関係破綻後、心を病み、精神病院に入ります。数多くの自身の作品を破壊して家族に看取られることなく寂しくその生涯を終えた悲劇の女性でもあります。 そんなカミーユ・クローデルの生涯を描いた1988年公開の『カミーユ・クローデル』では、イザベル・アジャーニがクローデルを、ジェラール・ドパルデューがロダンを演じ、アカデミー賞を始め、数多くの映画賞にノミネートしました。 師弟の関係であったロダンと恋愛関係になるカミーユ・クローデル。妊娠し結婚を希望するも、ロダンは妻の元へ。徐々にカミーユは精神を病んでいき、さらにロダンへの憎しみを増してゆく。本作はそんなカミーユの悲しい生涯を描いた作品です。

9. ピカソをアンソニー・ホプキンスが演じる!?『サバイビング・ピカソ』

パブロ・ピカソ (1881-1973 スペイン)

スペインに生まれ、フランスで活動した画家であり彫刻家でもあるパブロ・ピカソ。キュビズムの創始者としても知られ、生涯に1万点を超える油絵、10万点もの版画、300点もの彫刻を制作し、最も多作な美術家としてギネスブックに記録されています。 そんなパブロ・ピカソの恋愛遍歴に焦点を当てて描かれたのが、1996年公開の映画『サバイビング・ピカソ』です。『モーリス』や『眺めのいい部屋』、『日の名残り』で知られ、『君の名前で僕を呼んで』の脚本を手がけたジェームズ・アイヴォリーがメガホンを取り、ピカソを『羊たちの沈黙』で知られる名優アンソニー・ホプキンスが演じました。 本作は、生涯多くの愛人を抱えたパブロ・ピカソが60歳を超えた年齢で出会った40歳近くも歳の離れた愛人の視点から描かれており、偉大な芸術家の隠れた一面を垣間見ることのできる作品に仕上がっています。

10. ジェラール・フィリップがアメデオ・モディリアーニを好演!『モンパルナスの灯』

アメデオ・モディリアーニ (1884-1920 イタリア)

イタリア出身で主にフランスで制作活動を行った、画家で彫刻家のアメデオ・モディリアーニ。首と顔が長く、目に瞳が描かれていない人物画を得意としており、その独特の画風は一見してモディリアーニの絵画と誰もがわかることでしょう。 そんなアメデオ・モディリアーニの晩年の退廃的な生活と愛を描いた『モンパルナスの灯』は、「フランスのジェームズ・ディーン」とも称されたフランス映画界の貴公子・ジェラール・フィリップが主役のモディリアーニを好演。 また、モディリアーニと恋に落ち、彼のミューズとなるジャンヌ・エビュテルヌを『男と女』で知られるアヌーク・エーメが演じ、フランス映画界を代表する俳優陣の共演が本作に花を添えています。

11. オダギリ・ジョーが藤田嗣治に?小栗康平監督10年ぶりの映画『FOUJITA』

藤田嗣治 (1886-1968 日本・フランス)

1920年代に27歳という若さで単身パリに渡り、創作活動を行った画家・藤田嗣治。前見出しのモディリアーニと同じ「エコール・ド・パリ」と呼ばれる芸術家たちの一人として、時代の寵児となります。その後帰国し戦争協力画を描くも、晩年はフランスに帰化し、スイスでその生涯を終えました。 その藤田嗣治の半生を描いた2015年公開の映画『FOUJITA』は、『泥の河』や『死の棘』で知られる名匠・小栗康平監督が10年ぶりに発表した作品です。 オダギリ・ジョーが藤田嗣治を演じ、高崎映画祭の最優秀男優賞を受賞しています。 世界中が戦争に巻き込まれる中、日本とフランスという2つの国で画家としての人生を全うした藤田嗣治の生き様を描いた本作は、フランス人スタッフ、キャストも多く参加。まるで絵画のような画面で展開される、静かな映画に仕上がっています。

12. 28歳の若さで亡くなった画家エゴン・シーレを描いた『エゴン・シーレ 死と乙女』

エゴン・シーレ (1890-1918 オーストリア)

20世紀初頭にオーストリア・ウィーンで活躍した画家エゴン・シーレ。あからさまな死とエロスを題材に、独自の絵画を追求し、強烈な個性を持った画風は見る人に衝撃を与えつつも、28歳という若さで亡くなった画家です。 そんな夭折の画家・エゴン・シーレの半生を扱ったのが、2016年の映画『エゴン・シーレ 死と乙女』。画家仲間たちと「新芸術集団」を結成してから、スペイン風邪で亡くなるまでの8年間を、絵画のモデルとなった女性たちとの関係を中心に描いた作品です。 本記事で7番目に紹介したグスタフ・クリムトも、友人として登場しています。 エゴン・シーレはデヴィッド・ボウイが影響を受けた画家とも言われており、そのスキャンダラスな人生を本作品で垣間見ることができるでしょう。

13. 20世紀を代表する彫刻家アルベルト・ジャコメッティを題材にした『ジャコメッティ 最後の肖像』

アルベルト・ジャコメッティ (1901-1966 スイス)

スイスの旧100フラン紙幣にその肖像が描かれていた彫刻家アルベルト・ジャコメッティ。針金のように極限まで長く引き伸ばされた人物彫刻を数多く残し、また彫刻以外にも数多くの絵画や版画も制作した、スイスを代表する芸術家です。 そんなアルベルト・ジャコメッティが最後の肖像画に挑む様子を、俳優のスタンリー・トゥッチが監督して描いたのが、『ジャコメッティ 最後の肖像』です。 ジャコメッティを演じたのは、アカデミー賞を受賞した『シャイン』や『英国王のスピーチ』などで知られるオーストラリア出身の個性派俳優ジェフリー・ラッシュ。本作でも肖像画の制作に苦悩する芸術家を見事に演じ、批評家からもその演技は高く評価されました。

14. 波乱に満ちた人生を生きたフリーダ・カーロの伝記映画『フリーダ』

フリーダ・カーロ (1907-1954 メキシコ)

メキシコを代表する画家フリーダ・カーロは、18歳のときに巻き込まれたバス事故により下半身に障害を負うも、懸命に生き続け、独創的な絵画を描き続けた女性画家です。 波乱に満ちた人生を歩み続けたフリーダ・カーロの生涯を、21歳も歳が離れた国民的画家である夫・ディエゴ・リベラとの複雑な夫婦関係を背景に描いたのが、2002年の映画『フリーダ』です。 本作では、同じくメキシコ出身のサルマ・ハエックがフリーダ・カーロを熱演。彼女は主演だけでなくプロデュースも務め、実に8年の歳月もかけて映画化したと言われています。そしてその年のアカデミー賞では自身の主演女優賞ノミネートを始め、6部門へのノミネートを果たしました。 アルフレッド・モリーナやジェフリー・ラッシュ、アントニオ・バンデラス、エドワード・ノートンと豪華なキャストも話題になった本作の監督をしたのは、ブロードウェイ・ミュージカル版『ライオン・キング』の演出を手がけたジュリー・テイモア。全編を通してフリーダ・カーロの鮮やかな色彩感覚を味わうことのできる本作は、観る人をフリーダ・カーロの世界観に導くことでしょう。

15. 30年間ほとんど家を出なかった画家・熊谷守一の世界『モリのいる場所』

熊谷守一 (1880-1977 日本)

明治時代から活躍し、1977年に97歳で亡くなるまで現役で活躍を続けた日本を代表する画家・熊谷守一。富裕層の出身であるにもかかわらず、貧乏人気質で派手なことを嫌い、芸術家にとっての登竜門でもある「二科展」への出品を続けます。晩年の30年間は家から一歩も出ずに自宅の庭の生き物を描き続け、文化勲章の辞退をしたという、芸術家らしい芸術家でした。 そんな熊谷守一の晩年のとある1日をフィクションとして描いた2018年公開の映画『モリのいる場所』。 本作は「モリ」こと熊谷守一を山崎務、そしてその妻を樹木希林が演じています。日本を代表する名優二人の演技により心温まる作品に仕上がっており、深まる秋にぜひ鑑賞をおすすめしたい一本です。

芸術に秋には芸術家の映画を!

芸術の秋に鑑賞したくなる映画15選を紹介しました。 ご紹介した中には、誰もが一度は耳にしたことのある芸術家もいるのではないでしょうか?こういった映画を鑑賞することにより、芸術家の新たな一面やまた歴史的芸術作品の誕生秘話など、隠された事実を知ることができます。 普段は芸術とは縁遠い人も、ぜひ今回ご紹介したような映画を鑑賞して、「芸術の秋」を堪能してみてください!