岩井俊二監督おすすめ映画一覧 独特な色彩と情景美で世界を魅了

タップできる目次
- 圧倒的な映像美!岩井俊二監督映画一覧
- 『ラストレター』(2020)
- 『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016)
- 『花とアリス殺人事件』(2015)
- 『ヴァンパイア』(2012)
- 『friends after 3.11 劇場版』(2012)
- 『花とアリス』(2004)
- 『リリイ・シュシュのすべて』(2001)
- 『四月物語』(1998)
- 『スワロウテイル』(1996)
- 『PiCNiC』(1996)
- 『FRIED DRAGON FISH フライドドラゴンフィッシュ』(1996)
- 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(1995)
- 『Love Letter』(1995)
- 『undo』(1994)
- 名作揃いの岩井俊二の映画は、様々な愛の形を描く
圧倒的な映像美!岩井俊二監督映画一覧
映画を始め、テレビドラマやミュージックビデオなども手掛けている岩井俊二。彼の監督作品を初めて観ると、ほとんどの人がその独特な色彩と情景美に圧倒されてしまうことでしょう。 春の桜も冬の雪も、多くの作品で用いられていますが、岩井マジックにかかると美しさがより一層増すのです。それはまるで、監督の繊細な心情がスクリーンを通して伝わってくるのではないかと思うほど。 まさに日本人ならではのきめ細やかさが生んだ芸術と言えるでしょう。例えば『花とアリス』に代表される青春ストーリーには、その情景美が見事にマッチしていました。 この記事では、そんな岩井俊二によるおすすめ監督作品を最新作から一覧形式で紹介します!
『ラストレター』(2020)
勘違いから始まる不思議な文通
最新作となる2020年1月17日公開の『ラストレター』。主演の松たか子は、初主演を務めた『四月物語』以来の岩井作品への参加となります。 岸辺野裕里(松たか子)の姉・未咲が亡くなりました。未咲は葬儀の場で、未咲の娘・鮎美から未咲宛ての同窓会の案内と鮎美へ残した手紙について知らされます。そこで祐里は未咲の死を知らせるために同窓会へ。 赴いた同窓会で、祐里は姉と勘違いされてしまいます。そのまま初恋の相手である鏡史郎と再会し、連絡先を交換。そして彼から、未咲にずっと恋をしていると明かされます。 不思議なままの文通が続き、そのうちのひとつが鮎美の元へ届いてしまいました。そこで語られる学生時代の淡い恋愛。 やがて未咲の死の真相や、過去と現在の想いを動かしていき――。
『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016)
黒木華をイメージして作られたストーリーに注目!
ヒロインを務める黒木華に当て書きされたという、2016年公開の『リップバンウインクルの花嫁』。シンガーソングライターのCoccoが出演していることでも話題となりました。 教師の皆川七海(黒木華)はSNSで知り合った男性・鶴岡鉄也(地曵豪)と結婚することになり、式の準備に追われます。友人の多い夫とは違い、式に招待する人にも苦労する七海。鉄也には席が少なすぎると格好がつかないため、招待人数をなんとか増やすように言われてしまいます。 そこで代理出席をなんでも屋の安室(綾野剛)に依頼しました。その後、結婚生活が上手くいかなくなり鉄也とは離婚。困った七海は安室に頼り、不思議なバイトをこなしていきます。やがて破天荒な里中真白(Cosso)と出会い、奇妙な日々が始まり――。 現代の東京でひとりの「普通の」女性がどのように生きていくのかを、お金や格差といった現実的なテーマを交えて描き出した作品です。
『花とアリス殺人事件』(2015)
名作『花とアリス』の前日譚をアニメ映画化!
アニメ映画『花とアリス殺人事件』では、映画『花とアリス』の中学校時代のストーリーが描かれています。主人公の花とアリスの声優を実写作品と同じく鈴木杏と蒼井優が務めました。 両親の離婚がきっかけで転校することになった徹子(アリス)。引越しもして心機一転、苗字も黒柳から有栖川に変わりました。転校先の学校では、クラスの生徒も先生も徹子によそよそしい態度で、自分はもしかしたらいじめや仲間はずれにあっているのではないかと思ってしまうほどでした。 ある日、徹子は他校の生徒から自分が転校してくる前の話を聞きます。徹子が転校してきた石ノ森中学では、生徒が犠牲となった殺人事件が起きていました。それを聞いた徹子は、クラスメイトたちも事件に関与しているのではないかという疑念を抱き始めます。
『ヴァンパイア』(2012)
監督・原作・脚本・音楽・編集・プロデュース・デザイン・ストーリーボード、全てを岩井俊二が務めた意欲作
日本で2012年に公開された『ヴァンパイア』は、アメリカ・カナダとの合作で話題となりました。女性から抜き取った血を欲するという、岩井俊二がこれまでにないヴァンパイア像を描いています。 家では認知症の母親の面倒を見ている、生物教師のサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)。孤独な生活を送る彼には誰にも言えない秘密がありました。彼は自殺サイトで知りあった女性と会ってはその血を抜き、飲み干すことで己の欲望を満たしていたのです。
『friends after 3.11 劇場版』(2012)
岩井俊二が東日本大震災に迫る
東日本大震災が原因で起きてしまった、福島第一原発の事故。本作は、宮城県仙台市出身の岩井俊二が送るドキュメンタリーです。岩井が震災以降に出会った人々や、久々に再会した友人と日本の未来を語っています。 震災後に原発問題を考えるようになったという女優の松田美由紀がナビゲーターを務めている本作。様々な立場の人々がインタビューに応じ、忘れてはならない真実を伝えます。
『花とアリス』(2004)
作品中も効果的に出てくる桜のような薄ピンク色がぴったりハマる青春ストーリー
鈴木杏と蒼井優が対照的な2人を演じる『花とアリス』。思春期の少女の驚くような言動が、切なく美しく、そして少しコミカルに描かれています。 花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)は親友同士。明るく自由奔放なアリスと内気な花は対照的な性格をしていますが、2人はいつも一緒の仲良しです。 高校の先輩・宮本に一目惚れをしてしまった花は、なんとか彼と仲良くなりたいと思い、ずっと後をつけていました。そんなある日、宮本が事故に遭ってしまいます。 花は意識を失いかけている宮本に駆け寄り、自分はかつて宮本に告白されたと嘘をついてしまいます。嘘をついてでも接近したかった花の想いは届き、2人は交際することになりました。 しばらくして、これまで撮り溜めてきた宮本の写真を本人に見つかってしまった花。とっさにアリスが送りつけてきたものだとまた嘘をついてしまいます。おまけにアリスを宮本の元彼女だという設定にして。 少女の切ない恋心がひとつ、またひとつと嘘を生み、親友まで巻き込んでいく様子が美しく丁寧に描かれています。
『リリイ・シュシュのすべて』(2001)
青春時代の淡い空気感を独特の色彩で表現!1年に1回は観たくなる名作
岩井俊二が「遺作を選べるならこの作品にしたい」と述べているほどの渾身の作品『リリイ・シュシュのすべて』は、岩井のインターネット小説を原作としています。 いじめられっ子の主人公・蓮見雄一(市原隼人)は、大好きなリリイ・シュシュの曲を聴くことでどうしょうもない毎日になんとか折り合いをつけていました。 生活の中心がリリイになっている雄一は、ファンサイトを開設し、そこでたくさんの人と出会います。ファンサイトに集う人の中に青猫というハンドルネームの人物がおり、雄一は青猫と急速に親しくなっていくのでした。しかし現実は、星野修介(忍足修吾)によって乱されていき――。
『四月物語』(1998)
松たか子初主演映画
松たか子の初主演作である『四月物語』は、大学入学を機に上京したヒロイン・卯月の日常を美しく繊細に描いています。どこにでもありそうな日常の何気ない出来事を,、岩井俊二ならではの感性と映像美で鮮やかに切り取っています。 進学のために上京し、ひとり暮らしを始めた楡野卯月(松たか子)。東京での暮らしも大学生活も、彼女にとっては新鮮な驚きと発見の連続でした。日々新しい出会いがあり、彼女の世界はどんどん広がっていきます。 卯月が通う大学は武蔵野大学。ゼミでの自己紹介の時、この大学を選んだのか聞かれても卯月は答えようとしませんでした。彼女はなぜ、北海道の旭川市から遠く離れた東京の武蔵野大学を選んだのでしょうか。
『スワロウテイル』(1996)
岩井俊二の最高傑作!架空の日本舞台にした、円盗たちの物語
劇中で日本語・英語・中国語が登場するなど無国籍な世界観が描かれており、それに合わせてロケ地も日本と海外が入り乱れていたと言われています。 円が一番強かった時代、日本の街は円都「イェン・タウン」と呼ばれ、円を求めてやってきた移民たち円盗「イェン・タウン」が住み着いていました。 孤独な少女アゲハ(伊藤歩)は、唯一の家族だった母も亡くし、身寄りがなくなってしまいます。彼女を助けてくれたのは、母と同じく娼婦のグリコ(CHARA)。彼女は円を稼ぐためにイェンタウンにやってきた移民です。イェンタウンの人々は、毎日様々な方法で円を稼いでいました。 ある日亡くなった仲間の体にテープが隠されていたことをグリコたちは発見します。そのテープには偽札を作るためのデータがインプットされており、グリコたちはそのデータを使って多額の円を稼ぎます。 富を得て、昔からの夢を叶えようとするグリコ。歌手になることが夢だったグリコは、ライブハウスで人気を得たことをきっかけに歌の世界で成功していきます。 華やかな成功とは裏腹に、グリコとイェンタウンの人々の心は離れていきます。いたたまれなくなったアゲハは、お金さえあればグリコやみんなが元通りになると信じ、必死で円を稼ごうとするのでした。
『PiCNiC』(1996)
塀の上をたどって世界の終わりまで
CHARAと浅野忠信の出会いのきっかけとしても知られる『PiCNiC』。幻想的で繊細な映像美を堪能できる、岩井俊二の魅力が詰まった作品です。 精神病院を舞台に描かれる今作でヒロインを務めるのはCHARA。心に病を抱えながらも病院の外の世界に憧れを募らせる女性・ココを演じました。 ココは同じ病院で暮らしているサトル(橋爪浩一)とツムジ(浅野忠信)と出会います。病院の外へ出てはいけないと言われたココは、3人で塀の上の探検を始めました。 ある日、教会にたどり着いた3人は神父から聖書をもらいます。聖書に没頭したツムジは、世界の終わりを悟りました。ツムジの言葉を信じたココは、世界の終わりを見届けるために、3人で旅に出ないかとツムジとサトルを誘うのでした。
『FRIED DRAGON FISH フライドドラゴンフィッシュ』(1996)
世界一愛おしくなる殺し屋を浅野忠信が熱演!
『FRIED DRAGON FISH』は1996年に公開された映画で、同じく岩井俊二が監督した『PiCNiC』と同時上映されました。 探偵事務所で働くプー(芳本美代子)は、情報バンク「デルタワークス」から期間限定で派遣されてきたオペレーター。ある日生物学者のトーマスから、「ドラゴンフィッシュ」が盗まれたため、その犯人と思わしき人物トビヤマを探して欲しいという依頼があります。 プーは「水族館」と呼ばれるアジトを探す中、部屋に閉じ込もって1匹の魚を眺めて暮らしている少年・ナツロウ(浅野忠信)と出会い――。
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(1995)
岩井俊二の独特な視点が表れている名作!
2017年に公開されたアニメ映画『打ち上げ花火、下からみるか?横から見るか?』の原作となった映画。元はテレビドラマとして作成されており、岩井俊二が映画監督として知名度を上げるきっかけとなりました。 両親の離婚がきっかけで転校することになった、なずな(奥菜恵)。彼女に想いを寄せる2人の少年・祐介(反田孝幸)と典道(山崎裕太)は彼女の事情を知りません。 なずながみんなと過ごせるのも1学期の終わりまで。寂しくなったなずなは、祐介と典道に賭けをさせ、それに勝った方と駆け落ちをしてしまおうと決意します。
『Love Letter』(1995)
岩井俊二の代表作!雪の白さがこんなにも美しく見える映画は他にない
1995年に公開された映画『Love Letter』は、岩井俊二の記念すべき初監督作品。韓国でも公開されたこの作品は大ヒットとなり、大きな社会現象を巻き起こしました。 亡くなった恋人・藤井樹のことが忘れられない渡辺博子(中山美穂)は、彼の中学時代の住所に気まぐれで手紙を送ります。不思議なことに、彼と同じ名前の人物から返事が帰ってきたのです。まさか死んだ人間から返事がくるはずはないと奇妙に思う博子ですが、その彼と同じ名前の人物としばらく文通が続きます。 藤井樹からの手紙をいつしか心の拠り所にしてしまう博子。しかしそれは、彼と同姓同名の女性が書いたものでした。彼女は藤井樹と同級生であり、彼宛に送られてきた手紙につい、興味本位で返事をしてしまいました。
『undo』(1994)
心をつなぎ止めるためにすべてのものを縛る女性を山口智子が熱演!
仕事ばかりで家庭を顧みない夫に寂しさを募らせ、徐々に心のバランスを崩していくヒロイン・萌美の姿を切なく美しく描いた『undo』。 1994年に公開されたこの作品は、ヒロインの萌美を山口智子、夫の由紀夫を豊川悦司が演じました。 自宅マンションで夫の帰りを待つだけの寂しい日々を過ごしている妻の萌美(山口智子)は、気分転換のために編み物を始めました。すでに彼女の心は蝕まれており、家中のものを毛糸で縛るのを止められません。やがてその衝動はエスカレートしていき……。
名作揃いの岩井俊二の映画は、様々な愛の形を描く
この記事では、岩井俊二の監督作品を紹介しました。どの作品も登場人物たちの心情が深く描かれており、彼の比類ないセンスを感じられます。 独特の魅力を持つ岩井俊二。傑作揃いの中で、あなたはどれがお好きですか?