2017年7月6日更新

『もののけ姫』の謎を徹底考察・解説

『もののけ姫』

ジブリ作品の中でも物語が複雑で謎が多いとされる『もののけ姫』は、シリアスでテーマがとても壮大なものとなっています。しかし、何度も見るうちにその魅力にどんどんハマっていくほども多いというのも本当のところ。今回は、『もののけ姫』の謎を考察し、解き明かしていきたいと思います。

物語の時代背景とは?

アシタカの属していたエミシ(蝦夷)一族は日本に実在し、大和の戦いに敗れ北の地の果てに隠れ住むと言われています。これによって、おおよその時代背景は16世紀の室町時代ですが、鉄砲が急激に普及していることを考えると、室町時代に戦国時代が混ざったものだとも考えられます。

時代背景と一致しているタタラ場での生活

時代背景をさらにはっきりとさせる要因のひとつとして、タタラ場で働く人たちの様子があげられます。包帯を巻いて床に伏せる人は、ハンセン病を患っているのではないかとも言われています。

ハンセン病は病気の特徴や表面に表れる症状などから、差別的な扱いと受けてしまいとても辛い病でした。そういった事情から、普通に生活することが困難となり苦労した方も多くいたとのこと。そこでエボシ御前は病気であっても働くことができ、無理なく生活できる場所としてタタラ場を作ったと考えられます。

タタラ場ではなぜ女性が強いのか?

まず、この時代背景から考えると男尊女卑であってもおかしくはありません。しかし、このタタラ場を作ったエボシ御前然り、ここでは女性がしっかりと働き、そして発言権を持ち、男性に負けない立場を確立しています。これはタタラ場でもっとも力を持つ者がエボシ御前であることも影響していると思われますが、彼女が女性たちをとても大切にしている点にあります。

タタラ場では鉄をつくり、それを侍たちが鉄砲作りのために買い求めにやってきます。その鉄砲を使い、侍たちは戦をし命を落とす者も少なくはありません。戦に負けた側にいる女性というのは奴隷として売られていく運命にありました。それを哀れに思ったエボシ御前が、その女性を買い取りタタラ場で働かせているということなのです。いわば、罪滅ぼしとも言える行動でしょうか。

正確に時代考証をしようとすると、タタラ場で女性が働いているというのは間違いですが、それを承知で宮崎駿は、理想的な女性像を描こうとしたと考えられます。実際、鈴木敏夫は、歴史の改ざんにならないかと考え、架空の国にすることを提案しています。結果的には、直前になって、プロモーション上の理由から日本に変更しました。

エボシ御前はなぜ、大規模なタタラ場を作ることができたのか?

エボシ御前は、10代のころに奴隷として倭寇の親分のところに売られてしまいました。そこで、親分の妻となるもその男を殺して、財産を奪って戻って来たという話です。これにより、多大な財産を手に入れ1代であのタタラ場を作り上げたのです。エボシ御前自身が奴隷として幼く売られていったことが前提としてあるので、女性を買い取りタタラ場で大切に扱うことも納得ができます。

サンの出生の秘密

サンは人間でありながら、モロという山犬に育てられています。モロを恐れた人間が生贄として捧げた少女がサンであったということは、劇中にモロがアシタカに語っており、サンとモロはとても強い絆で結ばれていました。そしてモロはエボシ御前を森を切り開こうとする人間として、強く憎んでいます。

これは確かな情報ではありませんが、憎悪はそこから生まれただけではなく、エボシ御前がサンの生みの親であるということも原因しているとも言われています。

宮崎駿は明らかに意図的に謎をそのままにして物語を閉じています。ゆえに、解釈に正解はないですが、ファンのために考察の余地を残したのではないでしょうか。