ディズニーにはふさわしくないと判断されたプリンセスたち

2017年7月6日更新

ディズニーの世界には、キレイで素敵なプリンセスはかかせない存在ですが、毎回同じだなと感じる人もいるかもしれません。そんなディズニーに新しい風を吹かせようと、今までにないニュータイプのプリンセスを作ったアーティストがいます。残念ながら採用には至っていませんが、彼が生み出したプリンセスたちやエピソードをfastcocreate.comよりご紹介します。

変化のないプリンセスたち

ディズニーで描かれるほとんどのプリンセスは同じで変化がないと感じるディズニーファンも少なからずいるでしょう。王子とのハッピーエンドを一切無視した、クールでカッコイイ、ディズニーの型を破る新しいタイプのプリンセスが誕生することを切に願うファンもいると思いますが、残念ながら実現には至っていません。ディズニーは80年以上の歴史を持っているため保守的にならざるをえないのかもしれません。

あるアーティストのアイデアで作られた

元ドリームワークスのエフェクトアニメーターで、現在は駆け出しのアーティストであるJason Porath(以後ジェイソン)は、「Rejected Princesses(ふさわしくないプリンセスたち)」というウェブサイトを最近立ち上げました。そのサイトには、歴史的かつ神話的な女性たちに関する、詳細に作られたおもしろいストーリーやイラストをフィーチャーしたものが紹介されています。

ジェイソん曰く、「Rejected Princesses」のアイデアは、以前の勤め先で同僚たちとランチタイム中にした何気ない会話の中で生まれたものだそうです。彼と同僚数人で、「ディズニーに最もふさわしくないプリンセスを作れるのは誰か」を話し合い、Facebookでもアイデアを求めたところ、ジェイソンがキャラクターを描くことになったそうです。

細部にまでこだわったストーリー

冒頭でお伝えしましたが、今回のキャラクターは神話的伝説を持つ女性を主に描いているため、ジェイソンは制作するにあたり、その歴史や逸話を徹底的に調べ上げました。なかでもパーシパエー(ポセイドンが使わせた白い牡牛に異常な愛情を抱いてしまい、牡牛と関係を持った結果、半獣半人のミノタウロスを身籠ったギリシア神話の女性)についてジェイソンは以下のように語っています。

それぞれのキャラクターは極力実際のストーリーのビジュアルに近づけるよう努め、既存のプリンセスとは違ったものにしたいと思っていました。例えば『パーシパエー』は牡牛座の星を持つクノッソスの宮殿を舞台とし、パーシパエーの栄冠として”角”が使用されています。

意外にも作品の評価は好評◎

キャラクター作りに徹底したリサーチを行うジェイソンですが、彼の作品はセンセーショナルでなかなか過激なため苦情が殺到するかと思いきや、意外にも好評価を得ているようです。

私は文化的、人種的多様性だけでなく、歴史、想像、神話からより多くのアイデアを引き出そうとしました。アイデアは多くのストーリーを制作する上で重要なものなので、人々がどの作品により興味を持ち、どう反応するかを見極めたかったのです。

今やその反応はジェイソンの想像を上回るものとなり、毎日多くのファンがたくさんのリクエストを送ってくるそうで、正統派プリンセスでないものを期待しているようです。

復讐の鬼と称された、ある女性の物語

「Rejected Princesses」のなかでも最強と謳われる実在した女性、マリア・オクチャブリスカヤをご紹介します。

マリアは元々ごく普通の主婦として生活していましたが、独ソ戦が始まり、ナチスドイツが侵攻してきたことから人生が急変します。夫は戦死し、子供たちや年老いた両親も激しい空爆の中、消息不明になります。彼女の幸せな家庭は、ナチスドイツにズタズタにされてしまったのです。

彼女に残っていたのは、もはやナチスドイツへの怒りのみでした。そこで、わずかな財産を全て売り払い、そのお金でソビエトの最新戦車T-34を国に寄付しただけでなく、自ら戦車兵として戦場に赴くことを志願します。

37歳と言う年齢に加え、軍事学校に行ったこともない未経験の女性と言うこともあり、当初ソビエト軍は彼女の志願を受け付けませんでした。これに対し、マリアはスターリンに「夫や子供、親たちの仇をうちたい」という内容の手紙を執筆。結局この志願はスターリンの特別命令により許可され、彼女はオムスク戦車学校に入学し、1943年独ソ戦の一番激しい時期に戦車長としてデビューしました。

身寄りも財産もない彼女には、戦車こそが我が家だったのかもしれません。女豹のごとく冷静で獰猛に闘いましたが、1944年1月17日、ドイツ軍の防衛線を突破中にドイツ軍戦車の命中弾を受け、2ヵ月後39歳という若さでそのまま帰らぬ人となりました。

マリアは「ソビエト連邦英雄」の称号を受け、主戦場だったスモンレスクに埋葬されたそうです。