映画のサウンドエフェクトの奇妙なつくり方

2017年7月6日更新

様々なシーンを効果的に彩るサウンドエフェクトですが、実際の音を録音しても映画の効果音として使用出来ないこともあります。そんな時は意外なもので再現されているそう。今回はwhatculture.comより映画のサウンドエフェクトの奇妙なつくり方を紹介します。

1.人を殴る音=肉を殴る音!?

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ジャンルに関わらず、映画の大きな見せ場となる乱闘やケンカのシーン。何気なく見ていると気付かないかもしれませんが、打撃が当たる度に効果音が足されています。いくらリアル志向の作品だとしても、ハリウッドスターをボコボコに殴る音を効果音として使用している訳ではありません。

実際、人を殴ったとしても鈍い音が出るだけ、映画用のサウンドとして効果的ではありません。そこで、「フォリーアーティスト」たちの出番。フォーリーアーティストとは、送られてきた映像に合わせて音を再現するエキスパートのことを言います。

人を殴る音=肉を殴る音。ある意味、そのままの方法でサウンドは制作されています。肉屋で大量の肉を購入、マイクの前で肉を殴りつけます。用途に応じ、時にはバットなどの武器を使うこともあるそうです。

肉屋で変な目で見られることもあるかも。

2.硬貨が銃撃戦に効果的!?

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ありとあらゆるアクション映画に一度は登場すると言っても過言ではない銃撃戦、激しい破裂音が飛び交い映画を盛り上げます。しかし、ほとんどの銃声は人工的に再現されています。小さな金属を飛ばすことは同じですが、金属は金属でも硬貨を使用します。

その方法は硬貨をスリングショット(ぱちんこ)にセット、遠くの的に当てるというものです。実際の銃声よりも強烈に破裂音が響き渡り、効果的なサウンドエフェクトが完成します。

アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ共演『ヒート』で有名なマイケル・マンは銃に異常なこだわりがある監督、実際の銃声を録音するそうです。

それはかなりのレアケースです。

3.ティラノサウルスの鳴き声は小型犬!?

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モンスターやエイリアンのうなり声、絶滅した生物などの鳴き声など、想像上の生物のサウンドエフェクトは奇抜な方法によって再現されていそうなものです。しかし、その再現方法はとてもシンプルなものでした。

例えばスティーブン・スピルバーグ監督『ジュラシック・パーク』、恐竜たちの鳴き声のほとんどが一般的な動物によって再現されています。ガリミムスの群れは馬の蹄、ティラノサウルスのうなり声は速度を遅くしたジャック・ダニエル・テリア(小型犬)の鳴き声、ラプトルのうめき声にはカメが交尾している音が使用されています。

モンスターの鳴き声はよく複数の動物の鳴き声をミックス、スピードを調整して再現、2014年公開『GODZILLA ゴジラ』ではこの方法が採用されていました。(オリジナルゴジラの鳴き声はコントラバスの弦によって再現)

4.ホラー映画には牛乳が欠かせない!?

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ホラー映画の大きな見せ場として欠かせない残酷なシーンやグロテスクな描写、特にスラッシャーやスプラッター映画ではほぼ100%人のはらわたが飛び出します。そんな時に流れる独特の水っぽいクチャクチャといった不快な音。

はらわたが飛び出す音を録音するために人のお腹を裂く訳にはいかないので、ここでもフォーリーアーティストが重要な役割を担います。

木製の床の上で動物の内臓を潰したり、刻まれる音を録音することもあるそうですが、印象的な音が出ず、物足りないサウンドになりがちです。

そこで考え出されたのが牛乳を使った方法です。まずは口いっぱいに牛乳を含みます。その後、不快な音を立てながらゴクゴクと牛乳を飲む所を録音、するとあの独特なサウンドが生まれるそうです。

5.キッチン用品の意外な用途!?

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スポンジやたわしでは落ちないしつこい油汚れに有効なスチールウール。このキッチンアイテムはあるサウンドエフェクトを再現するために役立っています。

緊迫した雰囲気を効果的に作り出す雷鳴。映画の雷と言えば空を裂くような轟音です。しかし他のサウンド同様、実際録音した音は映画に効果的ではありません。そこで考えだされたのがスチールウールを使用した方法です。

スチールウールを押し潰したり、水の中で擦すリつけている所を録音、録音した音をスローダウンして調整、すると迫力ある雷鳴が再現出来るそうです。

シンプルながらとても効果的な方法、多くの映画で採用されています。

6.群衆の共通言語は”ワラワラ”?

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レストラン、デモ行進、街の喧騒など大量のエキストラが必要となるシーンではある呪文のような言葉が使用されているそうです。

撮影中、エキストラの人たちはメインの俳優の邪魔にならないように声を出さずに演技しています。(口を動かして話しているように見えても実際は口パク)雑踏の音は別で収録されます。

方法は至って単純、数人の人を集めて一斉に呟いてもらいます。何の意外性もない方法ですが、呟いてもらう言葉がとても不可解な言葉。国によって異なりますが、アメリカで使用されている言葉が“wara wara”(ワラワラ)。アメリカ映画を見ている時に群衆シーンが登場したら、ほぼこの意味不明な言葉が呟かれています。

ちなみに、イギリスでは“rhubarb rhubarb”(ルバーブ ルバーブ)だそうです。

7.ドラゴンは誰にでも再現できる!?

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大きな鳥が空へと飛び立つシーン、洞窟でコウモリが驚いて一斉に逃げ出すシーンなど、翼を羽ばたかせる描写には独特のサウンドエフェクトが欠かせません。鳥の羽ばたく音は比較的小さいため、そういったサウンドエフェクトは人工的に作られていることがほとんどなのです。実は、そんな羽ばたきを表現されるために、翼と形が似ているあるものが使用されています。

それが、雨の日に欠かせない傘。

再現方法はとてもシンプルです。傘を開いたり、閉じたり、用途に応じた速さに調整しながら羽音を表現します。一般的な鳥から、翼竜、ドラゴンまで、羽ばたく時に生じる音のほとんどがこの方法で再現されているそうです。

8.SF作品にはハンマーが欠かせない!?

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実在するものだけではなく、この世には存在しない音を再現することもフォーリーアーティストの重要な仕事の一つです。

レーザー光線は音を発さない訳ではありませんが、派手な映像と共に使用するサウンドとしては物足りません。もし、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で実際のレーザーの音が使用されていたら相当迫力に欠ける作品になっていたでしょう。レーザーのサウンドエフェクトは1953年バイロン・ハスキン監督『宇宙戦争』で初めて採用されたと言われています。

サウンドエフェクトの作り方はこうです。アンテナなどに使用されているワイヤーをピンと張り、ハンマーで叩く。すると独特のサウンドが生まれます。この方法は『スター・ウォーズ』の他にも『スタートレック』の光子魚雷など数えきれない程のSF作品に採用されていました。

9.T-1000の変形シーンはウェットタイプ!?

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1991年公開、ジェームズキャメロン監督『ターミネーター2』で大きなインパクトを残したキャラクターT-1000。液体金属製のターミネーターで変幻自在に変形することが出来ます。サラ・コナーに襲い掛かるシーンなど、液体に変わる時にサウンドエフェクトが使用されています。

ウエットタイプのドッグフードの缶詰を準備、(ウエットタイプであることがとても重要)缶詰を逆さまに、中身をゆっくりと床に落とします。その時に生じる水気を帯びた独特のサウンドがT-1000の変形シーンにピッタリとマッチしているのです。サウンドデザイナーのゲイリー・ライドストロムによって生み出された方法です。

10.知らない方が良いかもしれません。

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恋愛映画に関わらず、恋愛要素がない映画はほとんど無く、キスシーンが無理やりにでも挿し込まれていることが多いですよね。キスなら単に俳優同士がキスを録音すれば良いように思えますが、時に問題が発生することもあります。出演俳優の仲が悪い、フレンチはOKだけど舌を絡ませるキスはNGなんてこともあります。

そんな時はフォーリーアーティストの出番です。どう再現するかというと、なんと、彼らは実際にキスをするのです。

正確に言うと、彼らは自らの腕を少し濡らして腕にキスをし、その音を録音します。特に濃厚なものは必要以上に音を立てる必要があるので、その光景は見るに耐えないものかもしれません。

映画を見る上で、もしかしたら知らない方が良い情報かもしれません。