SF映画『2001年宇宙の旅』が「2001年の社会」を正確に予言してた

2017年7月6日更新

1968年に公開され、故スタンリー・キューブリック監督が生み出した傑作中の傑作であるSF映画『2001年宇宙の旅』。観たことがある人ならお気づきかもしれませんが、この映画、2001年の本当の世界を見事予言していることでも有名なんです。今回はその奇妙な予言に関する情報をwired.comよりご紹介します。

スタンリー・キューブリック監督最高傑作『2001年宇宙の旅』

故スタンリー・キューブリック監督の最高傑作である『2001年宇宙の旅』のメイキングでは、本作がどのようにして作られたのかや、今日私たちが当たり前に利用しているテクノロジーがいかに予言されているのかが描かれています。

サイエンスライターであり宇宙歴史家であるピアース・ビゾニーは、本作の現存する数少ない当時の一次資料を発掘し、誰もが知り得なかったその製作過程を解きあかすことに成功しました。

それにはキューブリック監督がアーサー・C・クラークと共に脚本を書き上げたことや、未来のセットデザインをどのように作ったのかなど、貴重な製作過程を知ることができます。最初は1500部しか出版されず、当時1000ドルで販売されていました(現在は事前注文で再版が70ドルで購入できます)。

その著書には、未使用カットを含む豊富なスチル写真、撮影風景、ポスター、イラスト、絵コンテなどがぎっしり詰まっており、キューブリック監督や撮影監督のジェフリー・アンスワース、アートディレクターのジョン・ホーゼルといったスタッフが、架空の未来宇宙空間を製作した様子が語られています。

入念なリサーチが未来の予言を可能にした

本作でのセットや小道具は高品質なSFX技術を駆使して製作しなければならなかったため、キューブリックチームは念入りにリサーチを行いました。ビゾニー曰く、「この入念なリサーチによって、映画でのセットデザインが今日私たちが一般的に使用している科学技術を詳細に予言することができた」と述べています。

無線の小型電話が付いたブリーフケースは、今日我々が使用しているパソコンやスマートフォンの原点であり、50年先の出来事を見事予言しているのです。ほかにも、クラークがウィリアム・S・バロウズやアレン・ギンズバーグと共にチェルシーホテルで脚本を執筆したことなどが記されています。

本作から50年が経った現在でもSF映画全てに影響を与えている撮影技術や詳細なデザイン画等を知ることができるのは驚くべきことです。

各スペシャリストを集結して製作した

キューブリック監督には、本作のセットをよりリアルに作りたいという強い思いがあり、映画業界で働くアーティストだけで製作することを考えていませんでした。

そのため、キューブリックは天文学アーティストや航空スペシャリスト、美術監督といった一流の専門家を集めました。宇宙船エンジニアがスイッチパネル、表示システム、コミュニケーション装置といった宇宙船の内部にあたるデザインを担当するなど、細部にまで徹底してこだわりました。

そのほかにも、太陽の光と影がどのように宇宙に反映されるかを考慮し、視覚システムを製作したり、陸海軍車からヒントを得てムーンバスのコックピット内部を作りました。

IBMは時代遅れだった?

キューブリック監督とクラークは、本作に登場するディスカバリー号に内蔵されたコンピュータを考えなければなりませんでした。そこで彼らは世界で最も有名なコンピュータ会社、IBMへ向かい、現在私たちが当たり前のように目にするコンピュータのデザイン等を提供してほしいと要請しました。

しかし、IBMのデザインコンサルタントであるエリオット・ノイズは、キューブリックらが求める小さいものではなく、大きなコンピュータデザインを提案してきました。

ビゾニーはこれに関して、「IBMの想定は時代遅れといえるものでした。当時モトローラやレイセオンのようなライバル会社は、NASAが新型宇宙カプセルに内蔵できる小さいコンピュータの開発を緊急に要請した際に対応していました」と語っています。

結局、キューブリック監督は後付けした他のキャラクターやストーリーにIBMのデザインを取り入れることにしたそうです。

「単なる宇宙への旅」ではない

本作は1966年に公開される予定でしたが、1年4か月遅れ、アポロ11号が月面着陸を果たす前年の1968年に公開されました。しかし、映画批評家やファンの間では「待った甲斐があるほど素晴らしい作品」であると語られています。

もしアポロ11号の月面着陸と同時期に公開され、NASAとの宇宙レースが繰り広げられていたならば、きっとキューブリック監督が勝利していたと思います。ビゾニーの著書によると、本作は「単なる宇宙への旅」ではなく、「長期間に渡って研究してきた、未来を詳細に描いた傑作」であると述べています。