美しい双子の残酷な物語。世界的ベストセラー小説『悪童日記』が映画化

2017年7月6日更新
1986年に刊行されたアゴタ・クリストフの衝撃作を遂に映画化。戦時下の混乱を生きる双子の少年が、その混沌とした時代の中で真実を日記に書き記していくストーリー。 10月3日より、TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほか全国公開予定。 倫理を超えた感動作と評判のこの作品の見どころをまとめてみました。

魂を揺さぶる感動が、そこに。

物語は、第2次世界大戦末期。双子の「僕ら」は、母に連れられて、小さな町の祖母の農園に疎開する。 人々に「魔女」と呼ばれる老婆の下、過酷な日々が始まる。 双子は、生きるための労働を覚え、聖書と辞書だけで学び、様々な“練習”を自らに課すことで肉体と精神を鍛えていく。 そして、母を忘れて生きることを決意する双子。「強く」なるために、そして生き残るために。 目に映った真実だけを克明にノートに記す——。

映画化不能と言われた衝撃作、遂に映画化

ハンガリー出身の亡命作家アゴタ・クリストフによる原作は、彼らの日記という体裁をとり、殺人も躊躇しない彼らの行動がつづられたもの。
1986年にフランスで刊行されるとほぼ口コミによりベストセラーとなり、40カ国以上の国で翻訳され、全世界そして日本を熱狂の渦に巻き込んだ。

「悪童日記」の愛読者が心待ちするも、映像化不可能とされてきたこの作品。出版から30年の時を経て、遂に映画化。

その田園の美しい陽光とともに、人間たちの心の闇が見事に映像化されています。

アカデミー外国語映画賞に選出!

ハンガリーのヤーノシュ・サース監督が遂に映画化した本作は、カルロヴィ・ヴァリ映画祭でグランプリを獲得したほか、アカデミー外国語映画賞のハンガリー代表にも選ばれた。
カルロビ・バリ国際映画祭では、審査員の全会一致でグランプリを受賞。 アグニエシュカ・ホランド監督は「この映画はとりわけ映像そのものが放つ感情的なエネルギーによって人々に強い印象をもたらす。 この映画は右傾化するハンガリー情勢に対する希望の証だ」とコメントしている。
引用:eiga.com

日本でも、文部科学省選定作品に選出されました。 国際的も国内でも注目されていることがわかります。

世界的ベストセラー作家、アゴタ・クリストフとアカデミー賞スタッフがタッグ

原作者アゴタ・クリストフは1935年、ハンガリー西部のチクヴァーンド村に生まれた。 1986年、51歳の時「悪童日記」を出版。衝撃的な世界文学デビューを飾る。わずか数年の内に20ヶ国語以上に翻訳され、数々の賞を受賞。
監督ヤーノシュ・サースは、作品に『Woyzec』(94年/ヨーロッパ映画賞最優秀新人賞、シカゴ国際映画祭撮影賞受賞、アカデミー賞外国語映画賞ハンガリー代表)、『The Witman Boys ウィットマン・ボーイズ』(97年/未/カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品、モスクワ国際映画祭、テッサロニキ国際映画祭演出賞、ゲント国際映画祭最優秀賞受賞)、 『Broken Silence』(02年/スティーブン・スピルバーグ製作)などがある。また、演劇界でも演出家として活躍。
撮影クリスティアン・ベルガーは、作品に『ピアニスト』(01年)、『白いリボン』(09年)などがある。『白いリボン』でアカデミー賞撮影賞にノミネーされている。

日本でも大ブームになっていた原作

日本でも多くの著名人が同書を話題とし、ブームになった。 2006年に発売され、ファンの心に深く残っているゲーム『マザー3』は、アゴタ・クリストフの三部作と呼ばれる『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』の影響を受けていることを、監修の糸井重里が公言している。
オマージュの意味から、ゲーム内の双子の兄弟に、同書の双子と同じリュカとクラウスという名前をつけているというから、『マザー』ファンも見逃せない作品といえる。

また、浦沢直樹の漫画「MONSTER」ファンからは、「双子」「天才」「残酷」が「悪童日記」と重なり、この作品を話題にする声もあるようです。