ダニエル・クレイグのボンドは終わりに近い?007を卒業すべき5の理由

2017年7月6日更新

冷酷かつ魅力的なボンドを演じるダニエル・クレイグ。2015年12月4日に自身4作目の『007 スペクター』が公開予定です。当初は金髪はボンドらしくないとバッシングも浴びましたが、名演技で21世紀の007を担ってきました。ダニエルが007を卒業すべき理由はなんでしょう?whatculture.comよりご紹介します。

1.ジェームズ・ボンドが違うスタジオへ移る

ダニエル・クレイグのボンドは終わりに近い?007を卒業すべき5の理由

著作権が複雑なのはスーパーヒーローものだけではありません。ボンド映画もです。『ジェームス・ボンド』フランチャイズはMGMとEONプロダクションによって占有され、2000年代にはソニー・ピクチャーズと4つのボンド映画を製作・配給する契約も結ばれています。

その契約は『007スペクター』で切れる予定で、MGMは25作目のボンド映画は他のスタジオと共同制作する旨を明らかにしています。つまり権利の入札合戦が予想されます。

黄金時代のハリウッドのように、ひとつの会社に所属した俳優たちが決められた数の映画に出演しなければならない厳格なスタジオシステムの時代は終わりました。しかし、新たなスタジオがジェームス・ボンドの権利を手にし、007フランチャイズを一新したいと考えるのは想像に難くありません。(『007 スペクター』のヒットを考えると、サム・メンデス監督の後を引き継ぐのは荷が重すぎます。)ダニエル・クレイグ自身もそうした混乱や不安定な状況に関わる前に身を退いたほうが賢いでしょう。

2.大衆は新しいボンドを受け入れる用意ができている

ダニエル・クレイグのボンドは終わりに近い?007を卒業すべき5の理由

新しいボンド映画はいつも不朽のお約束に満ちています。クラシックなテーマソングに激しいマーケティングによるグッズ、そして人々が次のボンド役を予想するといったものです。次にロレックス・・・ではなくてオメガの時計を身に着けるのは誰になるのだろうと推測することに意義があるのです。

しかし『007 スカイフォール』から、次のボンド役予想のうわさが絶えません。毎週のように、次のボンド予想リストは変化し、噂をかきたてるようにイギリス人俳優の誰かが「演じる気がある」と発言するという現象が起きている気がします。それで、次は誰なのでしょう?

結局は、重要なのは誰が次のボンドかではなく、人々がダニエル・クレイグの後継者について話し合っているということは、ダニエルが007を卒業する準備が整いつつあるということを示しているという事実です。ダニエルが卒業するのを観客は喜ばないでしょうが、ボンド役になってもう10年も経っていますしいつまでも若々しく活発なボンドを演じるのは難しいのではないのでしょうか。

3.長く居座って嫌われたくないはず

ダニエル・クレイグ

年齢は007では難しい問題です。ジェームス・ボンドは少なくとも原作では30代半ばの設定ですが、ボンドを演じた俳優たちの年齢は29歳(ジョージ・レーゼンビー)から57歳(ロジャー・ムーア)で卒業の平均年齢は40代後半となっています。ダニエル・クレイグは2015年現在47歳ですがそれでも役に合って見えますしボンドを演じる力量はあると思いますが、肉体的な面でボンド役に合っているかは考えてみなくてはなりません。

ボンド映画における年齢の問題というのは、年数の経過自体よりも俳優がボンド役に長くいすぎるということが論点なのです。めいめいの年齢は無視して、ショーン・コネリー、ロジャー・ムーア、ピアース・ブロスナンは最後のマティーニを飲み干すころにはもう適齢を超えていました。

ムーアとブロスナンはもっと長く居座ろうとしておりコネリーは異色作『ネバーセイ・ネバーアゲイン』で一時復帰を果たしもしました。伝説を汚すような行為です。ジョージ・レーゼンビーとティモシー・ダルトンの評価が近年高まってきているのには彼らがピエロのような特殊メイクやCGIに頼る前にいさぎよく卒業したという理由があります。

観客に飽きられる前、高評価のうちに卒業したほうが良いのです。『007 スペクター』が『007 スカイフォール』よりもいい作品になるかはわかりませんが『007 美しき獲物たち』レベルの大失敗に終わったとしてもダニエル・クレイグは彼の演じきった作品について平均以上の高評価を受けるでしょう。

4.史上最高のボンド映画監督も007シリーズを退任する

ジェームス・ボンド

ジェームス・ボンドは戻ってきてもサム・メンデス監督はもう戻ってきません。『007 スカイフォール』のリリースの頃、メンデス監督は次のボンドの製作指揮をとるか自分に疑念を抱いていました。そのわりに『007 スペクター』に関しては固い決意をもって話しています。

オスカー賞受賞者のメンデス監督は今や2つの巨額の映画製作を骨の折れるスケジュールで手がけているので、監督の、ボンドの25作目は指揮しないという発言をつい真に受けてしまいますよね。(それに製作スタジオがかわる問題が関わってくればありえます。)

ダニエル・クレイグがメンデス監督と共に卒業すべき理由はそう明白なものではないかもしれません。そもそもダニエルはメンデス監督より先に007へ来てマーティン・キャンベル監督の『007 ゴールデンアイ』に参加していました。それでも、ダニエル・クレイグは007をメンデス監督と共に去るべきです。

それは『アメリカン・ビューティ』のサム・メンデス監督がシリーズに持ち込んだサブテキストのためです。これまでもダークなボンドの過去と女性を口説いてきたことを責めるような奇妙な試みについて触れられたことはありましたが、メンデス監督が加えたものに比べると驚くほど単純に見えます。

すなわち、「ボンド映画の解体」という試みにメンデス監督が投じたものです。『007 黄金銃を持つ男』と『007 スカイフォール』は男性性についての再考とアナログ時代の関連性を示す役割を果たしています。(ですからベストなボンド映画なのです。)他に誰がこのような充実した内容の映画をつくれるでしょう?

5.ダニエルはボンドシリーズを演じ切った

ジェームス・ボンド

メンデス監督はダニエル・クレイグに内向的でいる機会を与えたのではありません。『007 スカイフォール』でジェームス・ボンドとしての絶頂期を与えたのです。

初めての21世紀の007ではボンドはコードネームを得て最初のミッションに送り出され、前任者ならば辛らつな言葉で片づけたような状況で大きなトラウマを背負っていました。

ボンドは若く、未経験で上手く対処できませんでした。『007 慰めの報酬』ではボンドが背くところから冒険が始まり、M16から逃走することでボンドのトラウマを表現しています。しかしそんなことに誰が興味を持つでしょう。大事なのは『007 スカイフォール』でボンドは保守派―廃れていく制度の中で全盛期を過ぎたトップレベルのエージェントだということです。

『007 スペクター』が大変な次回作になっただろうというのはそのためです。全盛期のあと、どうするのでしょう?正解はおそらく古き良きボンド映画の要素の再構築であり、『007 スカイフォール』の最後で高められたものを進めていくということです。それはまるで素晴らしい伏線のようですがそれが終わればあとは繰り返すのみです。コネリーでさえS.P.E.C.T.R.E.の大暴露の後ではうまく対処できないでしょう。

ダニエル・クレイグはボンド役の任期の間にボンドという役柄の全ての要素をカバーしてしまいました。更なる冒険やスタントが待ち受けていようとも、それらはキャラクターを引き伸ばしているようなもので、ボンドの人物像を浮き彫りにするものにはなりません。つまり、もうなされるべきことは無いのです。