歌を感じられるのは耳だけなのか?歌手を目指す少女と、耳の聴こえない家族の物語

2017年7月6日更新

フランス映画祭2015で最高賞を受賞した映画『エール!』。耳の聴こえない家族に歌を届ける主人公の姿は、フランス中に感動をもたらしました。 2015年10月31日に日本での公開が決まっている本作について、その魅力を紹介します。

聴こえない家族のために歌う。『エール!』あらすじ

フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家は、高校生のポーラ(ルアンヌ・エメラ)以外、両親も弟も耳が聴こえない。互いに支え合うベリエ家は、「家族はひとつ」を合い言葉に仲良く暮らしていた。ある日、ポーラは音楽教師に歌の才能を見出され、パリの音楽学校への入学を勧める。期待に胸が高鳴るポーラだが、彼女無しに満足に生活できる自信のない家族は大反対。

夢を叶えたくも家族を放っておくことはできない少女と、娘の才能を“聴く”ことが出来ないことを嘆く家族。葛藤し悩む彼女たちは、とうとうある決断を下す。

各映画賞で絶賛!大本命のフランス映画

エール! 2

『ビッグ・ピクチャー 顔のない逃亡者』などのエリック・ラルティゴ監督が手がける本作は、フランスで4週連続1位、観客動員数750万人という驚異的な記録を打ち立てました。

フランス映画祭2015では最高賞である観客賞を受賞しました。また、主演のルアンヌ・エメラは2015年セザール賞と2015年リュミエール賞で最優秀新人女優賞を、ポーラの母を演じたカリン・ヴィアールは最優秀主演女優賞をそれぞれ受賞し、演技面でも高評価を得ています。

奇跡の歌姫ルアンヌ・エメラは本作で女優デビュー

ルアンヌ・エメラ

主人公ポーラを演じたルアンヌ・エメラは1996年にフランスで生まれました。世界的な知名度を誇る歌のオーディション番組『The Voice』で絶賛され歌手デビューします。セザール賞とリュミエール賞でそれぞれ最優秀主演女優賞を受賞したエメラはなんと本作が女優デビュー。演技に加え、4ヶ月にわたり手話のレッスンを受けたといいます。

歌手業も順調で、2015年3月に発表したデビューアルバム『Chambre 12』が初登場1位に輝いており、フランスで大きな注目の的となっています。本作ではそんな彼女の歌声がスクリーンに響き渡ります!

手話はすばらしいコミュニケーション手段。俳優たちの完璧な手話にも賞賛の声

エール! 3

2015年6月に有楽町朝日ホールで行われたフランス映画祭2015のトークイベントでは、ルアンヌ・エメラが「フランスの手話は理解できましたか?」と質問する場面も見られました。そして、

エメラの質問に答えた日本人男性は「全て理解できました」と手話で返しました。これに対しラルティゴ監督とエメラもまた手話で返答し、会場は温かい拍手を送りました。

この一連の会話は、手話は各国で若干形式が異なるけれど、手話が共通言語として人々を繋いでくれるとても素晴らしい手段だと教えてくれます。ラルティゴ監督は手話について、次のようにコメントしました。

フランスの聴覚障害者コミュニティの皆さんに、本作を日本で上映してもある程度の意味は日本人聴覚障害者も理解できるだろうと言われた。たとえば健常者である私たちが日本語を覚えようとすると15年くらいかかってしまうのに比べ、聴覚障害者は手話という言語があるために、外国へ行ってもすぐにコミュニケーションをとることができる。これは本当に素晴らしいことだと思います
引用:unifrance.jp

そんな製作者の愛の詰まった本作が、世界をつなぐ一つのきっかけになることを期待しましょう。

2015年10月31日(土)、ポーラの歌声が日本に響く

エール! 4

フランス中を笑いと涙の渦に巻き込み、各誌が賞賛を送った感動作『エール!』。ポーラが届ける奇跡の歌声と、いつでもひとつであるベリエ家の心温まる絆の物語は2015年10月31日(土)、新宿バルト9ほか全国で放映されます。

完璧なシナリオ、俳優たちの熱演、エメラの歌……最高のシーンに満ちた本作は、日本全国に歓喜の歌を響かせることでしょう。