映画『ザ・フラッシュ』完全ガイド!新旧世界線の比較から、タイムループの謎までモヤッとポイントを解説
2023年6月16日(金)にDCEU最新作にして最終作『ザ・フラッシュ』が公開されました!前評判から「史上最高のヒーロー映画」と注目を集めていた本作は、タイムループによって歴史が改変され、旧シリーズのバットマンが登場するなど、ファンにはうれしい仕掛けが満載です。 前情報がなくても充分楽しめる作品だったと思うのですが、細かいポイントをおさえておくと、さらに楽しさが倍増します! そこでこの記事では、『ザ・フラッシュ』の時系列や改変ポイントを図解や表でわかりやすく整理していきます。またイースターエッグなどをまとめて紹介! これを読めばモヤッとポイントが解消されて、もう1度劇場に足を運びたくなること間違いなし! ※記事はネタバレを含みます。映画『ザ・フラッシュ』鑑賞後に読むことをおすすめします。
物語の時系列をまるっと整理!過去に戻って、戻って、結局どう繋がったの?
まず、より作品世界を理解するために、物語の時系列を整理してみましょう。
DCユニバースから消えたヒーローたち?タイムループの改変ポイントを比較解説
幼い頃に亡くなった母を救うため、過去を変えてしまったバリー。しかしその影響で、世界には思ってもみなかった変化が起きてしまいました。 ここでは、その変化をまとめておきましょう。
キャラ名 | 改変前 | 改変後 |
---|---|---|
フラッシュ | 陰キャ | 陽キャ |
バットマン | ◯ (ベン・アフレック) |
◯ (マイケル・キートン) |
スーパーマン | ◯ | ? (スーパーガール?) |
ワンダーウーマン | ◯ | ✗ |
アクアマン | ◯ | ✗ |
サイボーグ | ◯ | ✗ |
バリー母 | 死亡 | 生存 |
バリー父 | 服役中 | 幸せに生活 |
過去のフラッシュは少し陽キャ?
未来に戻る途中で、何者かによってある時空にはじき出されたフラッシュは、18歳の自分と出会います。彼はフラッシュよりも陽気で、ふざけることが好きな、少し子供っぽい性格の青年でした。 もとの世界のバリーは、同僚から友達がいないことをからかわれるなど、あまり人付き合いが得意ではない様子。しかし、改変後の世界のバリーは陽気に踊りながら実家に帰ってきたり、超個性的な友人とルームシェアをしていたりと、かなりの陽キャ。 これは、彼の両親が健在であることが影響したのかもしれません。改変後の世界のバリーは、母の死や父の逮捕といった悲劇を味わっていません。平和な環境でのびのび育ったため、子供っぽい部分も多く残っているのではないでしょうか。
往年のファンが歓喜!伝説のマイケル・キートン版バットマン
『ザ・フラッシュ』には、2人のバットマンが登場します。1人はバリーが過去に行く前に会ったバットマン。彼はこれまでのDCEU同様、ベン・アフレックが演じています。 ベン・アフレックのバットマンは、ジャスティス・リーグのリーダー的な存在です。しかし、つらい過去やヒーローとしての活動の矛盾を感じ、暗い雰囲気が漂っていました。『ジャスティス・リーグ』(2017年)などに登場してきましたが、単独映画の計画は頓挫し、もうDCEU作品には出演しないと思われていたので、まさかの登場に歓喜したファンも多いでしょう。
また、過去に戻ったバリーが出会ったのは、マイケル・キートンが演じるバットマン。彼はすでにヒーローを引退し、隠遁生活を送っていました。 マイケル・キートンは1989年に公開された『バットマン』および1992年の『バットマン リターンズ』でバットマンを演じています。これまで多くの俳優が演じたバットマンのなかでも1、2を争う人気を誇るキートン版バットマン。暗い夜のヒーローというイメージを強く押し出した彼のバットマンは、威厳と狂気の間で揺れ動く孤独な男です。「不殺の誓い」を持つバットマンにしては、暴力性が高いのも特徴です。 プロデューサーのバルバラ・ムスキエティが語ったところによると、『ザ・フラッシュ』製作の条件は、キートンのバットマン再演だったとのこと。それほど多くの人の記憶に残るバットマン像だったといえます。
スーパーマンが選ばれしヒーローではない世界線
バリーが改変してしまった世界ではスーパーマンは存在せず、彼のいとこであるスーパーガールことカーラ・ゾー=エルが活躍します。 赤ん坊だったスーパーマンことカル・エルは、クリプトン星から脱出ポッドに入れられて地球を目指していました。彼のいとこであるカーラは、カル・エルの世話をするために同じく地球に送られたのですが、改変前の世界では、カル・エルのポッドのほうが先に地球に到着したと思われます。 改変後の世界では、カル・エルは地球に辿り着く前にゾッド将軍に捕まってしまったようです。ゾッド将軍はカル・エルから最強の戦士のDNAを手に入れることができると考えていましたが、実際に最強の戦士のDNAを持っていたのはカーラだったのです。 ゾッド将軍の言葉によれば、カル・エルは「生き延びられなかった」とのことなので、すでに命を落とした可能性があります。
アクアマン、ワンダーウーマン、サイボーグは存在しない?
改変後の世界で、バリーはバットマン以外のスーパーヒーローを見つけられませんでした。 スーパーマンは地球に辿り着く前にゾッド将軍に殺されてしまいました。また、海底国アトランティスの王アクアマンことアーサー・カーリーは、父トムが、アトランティスの女王アトランナではない別の女性と結婚しており、誕生していません。 半神半人のワンダーウーマンは存在しないのか、あるいは故郷の島であるセミッシラから人間の世界にやってきていないのかは不明ですが、ヒーローとしては知られていません。 バリーがもといた世界では、事故で重傷を負ったことで身体のほどんどを機械化されたヒーロー、サイボーグことビクター・ストーンは存在しますが、ヒーローになるきっかけとなった事故に遭っていないようで、大学でアメフトのスター選手として活躍しています。
復活したゾッド将軍!地球に来た目的は……。
『マン・オブ・スティール』(2013年)に登場したゾッド将軍は、クリプトン星崩壊後、人類を滅亡させ、地球を第2のクリプトン星にしようとしていました。 本作でのゾッド将軍は、カル・エルからが「選ばれしヒーロー」のDNAを採取しようとしていましたが、実際は、カーラが本当の「選ばれしヒーロー」だったことが判明し、彼女からDNAを採取するために、地球にやってきました。 また、カーラの力を手に入れた後は、『マン・オブ・スティール』のときと同じように、地球を植民地化しようと考えています。
初見で把握しきれなくて当たり前!情報量爆発のタイムループシーンの謎を紐解く
本作でもっとも複雑でわかりづらいのが、タイムループのシーン。フラッシュはいったいどのような仕組みでタイムトラベルを可能にし、そこではなにが起きているのでしょうか。 できるだけ簡単に説明していきます。
フラッシュはどうやって時間を遡っているの?
フラッシュはスピードフォースと呼ばれる、未知の運動エネルギーに満ちた別次元にアクセスすることで、高速移動ができるようになります。スピードフォースのエネルギーを使えば光より速く移動することが可能。 そもそも現実の世界でタイムトラベルが難しいのは、質量を持った物質が光より速く、あるいは光速に近い速度で移動することができないからです。これは正確に言えば、「超光速移動をするためのエネルギー源がない」ということ。 フラッシュは、このスピードフォースからの運動エネルギーを使い、時空エネルギーに変換することで時空間のトンネルを開き、過去や未来へタイムトラベルできるのです。
フラッシュを囲む背景の意味とは?
フラッシュがタイムループしているときの背景には、彼が飛び越えている時間に起こった出来事が流れていきます。 最初にタイムトラベルしたときには、その日の朝の病院での光景が映し出されていました。次に母を救うために過去へ戻るときには、幼いころに体験した悲劇の景色が通り過ぎていきます。 母が亡くなるきっかけを回避したあと未来へ戻ろうとしたときには、自分が経験していない過去、つまり11歳以降の自分の人生に母がいる光景を見ているのです。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ファンならあの場面に気づいてる?イースターエッグやオマージュまとめ
『ザ・フラッシュ』には、タイムトラベル映画の代表格である『バック・トゥ・ザ・フューチャー』関連のネタや、過去のDCヒーローにまつわる楽しいイースターエッグがふんだんに散りばめられています。 ここではその一部を紹介しましょう。
ペニーワイズ人形やあの名作ポスターがバリーの部屋に!?知ると楽しい小ネタ集
『スクービー・ドゥー2 モンスター パニック』
子どもの頃のバリーの部屋には、『スクービー・ドゥー2 モンスター パニック』(2004年)のポスターが貼ってあります。 「スクービー・ドゥー」は、大型犬のスクービー・ドゥーとその飼主、そして彼らの友人4人が「ミステリー社」として各地で遭遇するモンスター絡みの怪奇事件を解決していく、ホラーコメディ。1969年に最初にテレビアニメが放送され、以降、子どもたちの間では定番のキャラクターとなっています。 バリーの部屋に貼ってあったのは、その実写映画版のポスター。この作品の脚本を担当したのは、ジェームズ・ガンです。今後DCUを統括していく彼にちなんだイースターエッグですね。
『ルーニー・テューンズ』
超スピードの能力を手に入れた改変後のバリーは、調子に乗って「ルーニー・テューンズ」のスピーディー・ゴンザレスの真似をします。スピーディーは、すばしっこいネズミのキャラクター。また、子どもの頃のバリーの部屋にも「ルーニー・テューンズ」のポスターが貼ってありました。 日本でもバッグス・バニーやトゥイーティーなどのキャラクターが有名なルーニー・テューンズ。改変前のバリーも能力を手に入れた当初は真似していたといいますから、日本よりもさらに作品やキャラクターが浸透しているアメリカでは,「足が速い」といえばスピーディーを思い浮かべる人が多いのかもしれませんね。
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
バリーの部屋でもう1つ注目したいのは、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)の殺人ピエロ、ペニーワイズの人形が置いてあります。 これは、「IT/イット」が本作の監督を務めたアンディ・ムスキエティ監督の代表作だから。こうしたスタッフにまつわるイースターエッグを探してみるのも楽しいでしょう。
『アイ・アム・レジェンド』
改変後のバリーの実家の部屋にはウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』(2007年)のポスターも。実は同作は、DCEUとつながりの深い映画なのです。 同作には、制作発表前の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)の広告が写っているシーンがあります。 制作発表前の作品のロゴが入っているということは、関係者の中に「バットマン vs スーパーマン」の企画にも携わっている人がいたということかもしれません。
『マーズ・アタック!』
大学近くで友人とルームシェアしているバリーの部屋には『マーズ・アタック!』(1996年)のポスターが。 これは宇宙人であるゾッド将軍の来襲を示しているのかもしれませんし、監督がマイケル・キートン版のバットマンと同じ、ティム・バートンだからかもしれません。
エリック・ストルツって誰?実は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と深い関連がある人物だった
改変後の世界のバリーは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主演俳優はエリック・ストルツだと言います。あまり聞きなじみのない名前かもしれませんが、実はストルツは同作の主演がマイケル・J・フォックスに決定する前に主演を務める予定だった俳優。 もともと同作では、マイケル・J・フォックスが主演の第1候補となっていましたが、彼はほかの仕事とのスケジュールの都合が合わずに断念。その代わりにストルツが撮影に入りました。 しかしドク役のクリストファー・ロイドとの掛け合いがうまくいかず、彼は降板させられてしまいます。その後、マイケル・J・フォックスのスケジュールを調整し、映画は無事に完成したのです。 また改変後世界では、80年代の名作映画の主演俳優がごちゃごちゃになっています。マイケル・J・フォックスは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ではなく『フットルース』に出演したことになっていますし、実際の世界で『フットルース』の主演を務めたケヴィン・ベーコンは『トップガン』で主演を務めたことになっています。
幻の有名俳優バージョンのスーパーマンも!タイムループシーンに登場したDCヒーローたちを解説
世界が崩壊しかけたとき、さまざまな世界線で活躍したヒーローたちの姿が見えます。ここでは誰が登場したのか、おさらいしておきましょう。 幻の作品となった、あの俳優のスーパーマン姿も映し出されています!
ジョージ・リーブス版スーパーマン
1951年から1958年まで放送されたテレビシリーズ『スーパーマンの冒険』でスーパーマンを演じたジョージ・リーヴス。1951年には映画『スーパーマンと地底人間』も公開されました。 彼はスーパーマン役で大ブレイクしましたが、その後スーパーマンのイメージが強すぎてほかの役が得られず、スランプに陥ってしまったことでも知られています。
クリストファー・リーヴ版スーパーマン
1978年の映画『スーパーマン』から、1987年の『スーパーマンIV/最強の敵』の4作に渡ってスーパーマンを演じたのは、クリストファー・リーヴです。 彼が演じたスーパーマンのイメージはすっかり定着し、のちのスーパーマン俳優のキャスティングにも影響を与えるほどでした。
ヘレン・スレイター版スーパーガール
崩壊していく世界でクリストファー・リーヴ演じるスーパーマンと一緒に登場したのは、ヘレン・スレイター演じるスーパーガール。1984年に公開された映画『スーパーガール』の主人公です。 実写映画でスーパーガールが登場するのは、スレイターが演じた同作以来、『ザ・フラッシュ』が2度目となります。
ニコラス・ケイジのスーパーマン
ほかとは一線を画す長髪のスーパーマンとして登場したのは、ニコラス・ケイジ。ハリウッドきってのアメコミオタクとして知られる彼は、ティム・バートンが監督を務めるスーパーマン映画に主演する予定でしたが、1998年に計画は頓挫してしまいました。 同作のタイトルは『Superman Lives(原題)』。しかし、当時いくつかのヒーロー映画の興行が芳しくなかったため、この計画は白紙に戻ってしまいました。
ジョン・ウェズリー・シップ版フラッシュ
さまざまなバージョンのスーパーマンが登場するなか、本作以外のバージョンのフラッシュも姿を見せています。別バージョンのフラッシュは、頭に銀色のヘルメットを被っているのが特徴。 これは、崩壊直前の世界で登場したジョン・ウェズリー・シップが演じるフラッシュです。彼は1990年から1991年に放送されたテレビシリーズ『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ』でバリー・アレン/フラッシュを演じました。
これに気づいたら相当のアメコミ通!往年のDC映画・DCコミックへのオマージュ・イースターエッグ
7種類のバットスーツ、全部わかる?
『ザ・フラッシュ』では、ブルース・ウェインが隠し部屋にこれまで着用してきたバットスーツを保管している様子が描かれています。本作で着用したものを含めて7つありますが、これらはどの作品で使用されたスーツなのでしょうか。 いちばん左に置いてある、脇に銃の入ったホルスターがついているのは、コミックの『バットマン:イヤーワン』のもの。これは映像化されていません。
その隣は1987年の映画のものですが、初期のコミックと同じブルーとグレーのカラーリングになっています。さらにその右隣も、同じく1987年の映画版。胸のエンブレムに傷がついているのがわかります。 中央のスーツは本作で着用しているもの。ほかのものと違ってベルトが黄色ではなく黒になっています。
さらに右へ行くと、今度は1992年の『バットマン リターンズ』のもので、エンブレムのデザインが変わっています。 その隣はコミックに登場する「スキューバ・バットスーツ」と呼ばれるもの。水中用のスーツで、口の両側からホースのようなものが出ているのがわかりますね。 最後にいちばん右側に置いてあるのは、『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』に登場した砂漠用のバットスーツ。マスクの上にさらにゴーグルがついています。 歴代のスーツが並んでいるだけでもアツいですが、このスーツコレクションはキートン版バットマンのもの。ベン・アフレックが演じた「ジャスティス・リーグ」版のスーツに似たものもあるのが、ファンにはたまらないですね!
改変後のバリーの服の色はもしかして……
バリーが改変後の世界で出会った18歳のバリーは、黄色の服を着ていました。フラッシュ関連で黄色といえば、リバース・フラッシュを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。リバース・フラッシュは、未来からやってきたフラッシュの宿敵で、本名はイオバード・ソーン。フラッシュにとって重要なものをすべて破壊すると誓った男です。 あるいは、フラッシュのサイドキックとなるキッド・フラッシュを連想する人もいるかもしれません。初代のキッド・フラッシュは、のちにフラッシュと結婚するアイリス・ウェストの甥で、若いヒーローを集めたチーム、ティーン・タイタンズのメンバーとしても活躍しています。 本作の改変後のバリーは、どちらかというとキッド・フラッシュのような立ち位置に近いかもしれませんね。
映画『ザ・フラッシュ』は何度も劇場で楽しめるDC最高傑作
フラッシュがタイムループすることで、ストーリーが若干複雑になっている『ザ・フラッシュ』ですが、マルチバース作品のため、ファンにはたまらないイースターエッグもたくさん隠されています。 この記事で解説したポイントや設定を知れば、本作をすみずみまで楽しめること間違いなしです!時系列や改変前と改変後の相関関係などを整理して、ぜひもう1度、劇場に足を運んでみてください。
■映画『ザ・フラッシュ』大ヒット上映中 吹替版同時上映 4D/Dolby Cinema®/IMAX® (一部劇場を除く) オフィシャルサイト https://wwws.warnerbros.co.jp/flash DC公式Twitter https://twitter.com/dc_jp DC公式Instagram https://www.instagram.com/dcjapan DC公式TikTok https://www.tiktok.com/@dcuniversejp
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