
『フォックスキャッチャー』とは
1996年のアメリカで実際に発生した、大手財閥デュポンの御曹司ジョン・デュポンによるレスリングのフリースタイル金メダリスト射殺事件を映画化。来たるソウルオリンピックでのメダルを目標に、より良い練習環境を熱望する金メダリストと、それを用意する心に闇を抱えた大富豪の間に何が起こったのかをサスペンスフルに描いている。監督は『マネーボール』『カポーティ』のベネット・ミラー。本作の優れた演出により、2014年カンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞している。出演は、ジョン・デュポン役に『40歳の童貞男』などで知られるコメディ俳優スティーヴ・カレル。鬼気迫る演技で新境地を切り開くことに成功している。その他チャニング・テイタム、マーク・ラファロらが好演。
『フォックスキャッチャー』のあらすじ
1984年、ロサンゼルス・オリンピックにてレスリングのフリースタイル部門の金メダルを獲得したレスリング選手、マーク・シュルツ。来たるソウルオリンピックに向けて練習を開始するも、マイナー競技であるレスリングにはメダリストといえど簡単にスポンサーなど付かず、依然として質素な練習環境と生活を強いられていた。頼りの兄デイブも家族を養うのに手一杯で相談できず、生活苦に陥り、選手生活続行すら危うくなる。そんなマークに、大手財閥デュポンの御曹司であるジョン・デュポンから、ソウルでのメダルを狙う為の最新練習環境を整えたレスリングチーム「フォックスキャッチャー」への加入を打診される。願ってもないチャンスに飛びついたマークは、早速練習を開始し、触発された兄デイブも追って加入する。そして、3人の運命の歯車は大きく狂い出す。
『フォックスキャッチャー』のスタッフ・キャスト
『フォックスキャッチャー』の感想・評価・ネタバレ
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ボンボン
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タイプ! 映画的表現の美しさと言ったら!説明がうますぎます。人のドロドロ複雑な部分をよく演出、演じきっていました。 テーマは劣等感、だろうけど、個人的ここまでストレートに描ききってくれた作品と出会ったのは初めて。 なんでこんなに不穏な空気が出せるんだろうか。レスリング場に銃を持って向かうシーン怖すぎた。 コンプレックスは隠そうとするといつか破綻をきたす。実話ということもあってまざまざと考えさせられた。 ただの話し合いで死ぬほどドキドキした。 弟は一人で生きざるをえなくなったんだなぁ。前に進むしかないのだろうけど、この結末をもってしてだといたたまれない。 金持ちが出てくるところが、なんともふつうの人っぽく、すっと入ってきて、こういうやつが身近に潜んでいそうで怖い。
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レスリングの才能に秀でた男マークの元にお金持ちジョンから「自分のチームに参加しないか」と誘われる。同じく才能あるレスラーの兄デイヴも誘うが断られ、一人で行くことになる。 マークとジョンの心情を読み取ることが容易ではありません。特にジョンは演出上、わざと読み取らせないようにしていると思います。彼がなぜ兄弟とレスリングに固執するのか、映画が進むとともに徐々に明らかになりますが、明確ではなくぼんやりとする。金と権力を持ち、彼の言葉一つでレスリング人生すら終わりかねない、そんなスリリングな展開が持続します。その中でこれまた心情の読みづらい弟が絡み、映画は奥行きを持ちます。画面色も抑えられており(この色『ゴーン・ガール』ぽくないですか?)非常に異質な印象を与えます。そんな映画の題材がスポーツ。栄光と挫折、というよくあるスポーツドラマの展開ですが、演出一つで全く違う映画に見えます。スポーツの精神性に真っ向から立ち向かうという意味では『セッション』と似た映画かもしれません。『セッション』は真っ赤に燃えていましたが、対して本作は薄暗く冷えています。 チャニング・テイタムもマーク・ラファロも大変な好演ですが、スティーブ・カレルの不気味さは異常。全くフィクションの感触がない、完全な狂気に囚われた男を、コメディで名を成した俳優が演じる。この配役を思いついた人がこの映画で一番の功績です。どんな発想力を持ってしたらこの役にスティーブ・カレルに決めようと思いつくのでしょうか。
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