薔薇の葬列

薔薇の葬列

作品情報

製作年 1969年
日本劇場公開日 1969年9月13日
製作国 日本

新着感想・ネタバレ

Land_of_Mineの感想・評価
「我は傷にして刃 生贄にして刑吏」
表裏一体の存在?明度の高いモノクロで描かれる、ドイツ表現主義の流れにあると思われる作品。松本俊夫作品は初鑑賞となる。新宿のゲイバーを主な舞台とし、近年、映画で描かれることが多くなったLGBTを題材としており、時代を先取りしている。彼らにインタビューをする男はマスメディアに対するメッセージか?時系列を入れ替え、映像に対する工夫が沢山凝らされているので、眺めているだけでも楽しい。映画開幕後20分ほどで再びタイトルが表示されたり、ホワイトアウトでサイレント的な字幕演出、トイレのシーンで画面一杯に映倫マークが出るなど、ゴダールを彷彿とさせる型にはまらない演出が目立つ。テーマも含め、前衛的な邦画と言えるだろう。人は人と向き合う時、常に仮面を付けているし、その下に素顔があるとも限らない。人は別個の奇妙な存在であり、常に孤独なのだ…。「ゲイ」は仮面なのか?人は常に何かを演じているということを、入れ子構造によって端的に表しているとも取れる。劇中に淀川さんが登場するなんて、なんてメタ的なんだろうか。

度々モチーフとして現れる薔薇は何を示すのか。マリファナに犯されて行くヒッピー的若者たちを描くことで、それらの突飛な演出になんとなくリンクしていく。蜃気楼のような実体のないこの世界で、一体何を信じて生きて行けばいい?度々顔が剥がれた人間の画が差し込まれるように、人の正体は『ミスト』のような世界に生きる醜いバケモノなのだろうか。パゾリーニの『アポロンの地獄』がポスターで登場するように、本作でも重要な役割を担っている。
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