『ブルース・リィの『刑事物語』』の感想・評価・ネタバレ
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2009年に発売された日本版DVDで鑑賞、1978年、香港・協利。原題は『猛男大賊胭脂虎』。音声は国語(北京語)だが、香港電影資料館のサイトでは広東語となっている。台湾で上映された吹き替えバージョンが元になっているのかもしれない(また、タイトルが表示される箇所だけ、後から挿入されたような印象を受ける。台湾上映版はタイトルが異なっていたのを、香港のタイトルに戻すためにそうなったのかもしれない)。 主役を演じるのは、ブルース・リーではなくブルース・リィ。黎小龍という芸名を名乗ったこともある、ブルース・リーのそっくりさん俳優・何宗道その人だ。監督は、広東語映画界出身で、のちにショウ・ブラザーズなどでも監督を務める楊権。警察と偽札作りグループの対決を描いたこの映画、チープな作りだが意外と楽しめる。悪役に、『燃えよドラゴン』のムキムキマン楊斯、『ドラゴン危機一発』のラスボス韓英傑と、ブルース・リーゆかりの面々が。そういえば何宗道・楊斯・韓英傑の三者は『Gメン75』の香港カラテ編にもしばしば出演していた(本作でも『Gメン75』のメロディが…)。それに加えてセクシースターの丹娜、ジャッキー・チェン映画などにも出演する張午郎も脇を固める。 正義が勝つという結末はわかっているのだが、途中コミカルな要素もあり、また最後にどんでん返しもあり、アクションも見応えがあり、掘り出し物といえよう。何宗道は、はじめ黄色のトラックスーツで登場し、途中丹娜は「あなたプルース・リーに似てるわね」と話すなど、ある程度ブルース・リーを意識した作りになっているものの、完全なパロディにはなっていないのもよい。アクション・シーンは、協利ならではの見応えのあるものだったが、韓英傑はやや衰えを感じなくもなかった。