皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇

Narco Cultura
2013年 アメリカ・メキシコ 103分
rating 3.9 3.9
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「皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇」のスタッフ・キャスト

「皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇」の感想・評価・ネタバレ

  • ____RiN____
    ____RiN____ 3.5 2015年4月1日

    救いようのない映画は幾つもありますが、あくまでフィクションです。もしくは現実を誇張し、プロの俳優とプロの演出家とプロの脚本家により効果的に脚色された「ノンフィクション風」です。これらは、作り物だから見られる、といったところがあると思います。現実には俳優たちは傷ついていないし、ましてや死んでもいないわけですから。しかし、ドキュメンタリーは違います。 わたしは、若くそれなりに情熱的であり、好奇心も旺盛で、タフであると自負しています。ですが、よくできたドキュメンタリーというのには、しばしば精魂を根こそぎ持っていかれます。今回も、なかなかしんどい鑑賞体験でした。先に言っておきますが、観ない方が良かった、と思っています。 これは偏見なので眉をひそめていただいて大いに結構なのですが、日本人にとって、もっとも得体の知れない(感情の見えない)人種と言うのは銃を持った南米の黒人たちのような気がします。人に銃を突きつけ、大して面白くもないジョークで笑い転げ、次の瞬間には撃ち殺す。そして、ほんの一瞬前まで人間であったそれを指差してけたたましく笑い、ビールを煽る。訳がわかりません。そんな、訳が分からずどこまでも凶暴で狂気に満ちたシーンが続きます。 そんな恒久的に続く狂気に麻痺させられた大衆は、他より強い暴力と強者を讃える底抜けに明るいラテン音楽に酔っていきます。一種の防衛本能なのでしょうか、ギャングたちは強くスマートで最高にクールな英雄として扱われます。 あまりにも絶望的なシーンの連続に、段々とその音楽をバックにした暴力に酔っていく感覚が自分自身で恐ろしかったです。テンポの早いシーン回しと、音楽と、サイレンと銃声がそうさせるのでしょうか。魅力的と言ってはいけないのでしょうが、おそらく、メキシコのこの街では多くのひとがこんな風に魅せられているのでしょう。 救いようのない映画です。でも、救いようのないのは映画ではなく、この現実を生きる現実のメキシコのある街だということが、観客を大いに苦しめるでしょう。