雪の轍
雪の轍
Kis Uykusu / Winter Sleep
2014年製作 トルコ・フランス・ドイツ 196分 2015年6月27日上映
rating 3.3 3.3
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『雪の轍』の感想・評価・ネタバレ

  • Kozai Szatosi
    Kozai Szatosi 3 2018年5月31日

    いつの時代のどこの国にもある普遍的な世代間のギャップや老い、貧富の差など、色々な要素が散見されながらも、必ずしも「社会派」を気取っておらず、一個人の周囲の取り留めのない噺とたわいのない情景の積み重ねで語る姿勢には好感が持てる。 映画的な軽やかさには欠けるし、単調な切り返しで長々と続く同じ室内場面にはうんざりさせられるが、文学作品としての豊潤な薫り漂う情景と台詞の応酬には目を見張るものがある。映画というより、文学作品。 窓から差し込む光や暖炉や灯の暖色の光など、画はかなりしっかりしている。しかし、何度も流れるシューベルトの「ピアノソナタ第20番」の使い方があまりにも浅はかだと思う。さすがに3時間は長い。

  • 翔

    「日本的」な流れならば男は鼻先で笑って余裕ぶり、女は愚痴って見下して。で終わる内容かもしれない。ガキじゃないんだし、と片付けず本音と本音をぶつかり合わせて相手より一枚でも上を取ろうと美辞麗句に罵詈雑言で畳みかける。“沈黙は金”とされる日本では余りに見かけない『無駄』な舌鋒争いにシビれる映画。 だけどあえて言うならば内容は全くもって立派でもなんでもない。自分が正しく相手が間違っていることをひたむきに信じて互いを罵り合う、知性でコーティングされたクソガキの喧嘩といっても良いとさえ思う。 人によってその目にどう映るかは確かに変わるだろうが、圧倒はされるはず。迷わぬ口撃が素晴らしいとか、無駄だとかいった文化的な比較はするべきではない。ただどこかで心に引っかかる、もしくは心当たりがある感覚にはなるはず。 申し訳程度に映画的なレビューを一つするなら同じ人物の連続したセリフとセリフとを繋ぐ間、聴き手の反応や表情をあえて写さずそのまま同一のシーンとして語り手を撮り続ける。この手法は本作にこれ以上なくマッチしていると強く感じた。

  • s_p_n_minaco
    s_p_n_minaco 0 2016年8月5日

    カッパドキアが舞台のトルコ映画。観光客向けホテルの管理人を中心に、3時間余の殆ど会話劇だった。そこから見えるのは、この小さな村社会にもある格差。元俳優で今は細々物書きしてるインテリ主人もそれほど贅沢な暮らしではないんだが、家賃を滞納して立ち退きを迫られる別の家族が窮状を訴えても無頓着な態度。欺瞞や矛盾、傲慢さと卑屈さがお互いの対等なコミュニケイションを阻んでる。「悪に抗わない」ことの議論や、妹から兄への批判、妻との不毛な対話、徐々に刺々しくぶつかる会話が生々しく、次第に身につまされてしまう。それぞれの隔たりと話の通じなさ……作風は違うけどちょっとイランのアスガー・ファルハディを思い出すような、個人像を通してグローバルに現代社会が繋がってる感触。巣みたいな家々を行き来する人々の、マメなおもてなしぶりが印象的だった。

  • えりこ
    えりこ 3 2016年2月14日

    世界遺産カッパドキアを舞台にした人間ドラマ。 3時間以上の長い映画ですが、特に退屈させられることもなく最後まで観ることができました。特別大きな事件が起きたり話に起伏がある訳ではないのですが、淡々と語られる戯曲のようなストーリーがそっと心に沁みました。

  • yukakurobe
    yukakurobe 3 2015年8月17日

    『雪の轍』鑑賞。世界遺産カッパドキアを舞台に繰り広げられるトルコ映画。どこを切り抜いても映像が美しい。誰が善人で誰が悪人なのか分からない。どんな人でも誰かにとっては善人であり悪人なんだけども、それをこんなにリアルに映してるのがすごい。

  • フルーツグラノーラ
    フルーツグラノーラ 2 2015年8月7日

    娯楽として楽しめるかと言われれば、僕は楽しめないと思う。(そもそもそういう作品ではないとは思うが) 三時間以上ある長尺だし、重い雰囲気で、ストーリーは特にない。 三時間のうち半分くらいは口喧嘩の描写だった(笑)。 一回の議論や口喧嘩が二十分くらい続くのだが、カメラの切り返しはあるものの、もしかしたら長回しでずっととっているのではないかと感じ、もしそうならば役者は大変だっただろうなぁと思った。 様々なテーマを問うたり、登場人物たちが使う表現から、難しい本を読んでるような感覚を得た。 途中、主人公のかまってちゃんっぷりだったり、言動にいちいちイライラして胸くそだなぁとは思う。(笑) 雪が降ったあの風景はとても素晴らしかったし、この感覚(本を読んでるような感覚)はほかの映画ではなかなかできない体験だったので観る価値はやはりあった。 あと、酒のシーンはガチで酒飲んでるんじゃないかな。(笑)

  • Masahiro.
    Masahiro. 3 2015年7月26日

    とにかく重い映画だった。この映画のテンションで、三時間超えはほんとに重かった。観てるときの楽しさよりも、終わってからあれこれ考えてるときの方が楽しいかもしれない作品。映像はとても綺麗だった。

  • RiN

    戯曲のような話でした。舞台は地味、それどころか暗くて寒そう、とにかく重苦しい物語進行。これ撮るの大変だったんだろうな…という撮影班の苦労が滲み出るような映像美、現代主流のBGMとスピード感押しのエンターテイメントを鼻で笑うかのような静けさと重厚感、観客の集中力を要求してくる193分という長尺、まさに典型的な巨匠。 とは言うものの、物語にさしたる目新しさはありません。前述した通り戯曲的で、チェーホフやドストエフスキーなんかの古典のようです。「2014年のパルムドール」と言うのには些か懐古趣味的すぎるのではないかなあと感じました。(揺り戻しなのか、2015年のパルムドールは難民ものとめちゃめちゃホットな話題ぶっこんできたし、反省したのかしら。) まあ多分ここ最近ホットな話題っぽい映画ばかりだったので、「巨匠」連中がうるさくなってきたんでしょう。 なんか「これを評価しない奴がアホ」みたいな無言の圧力かけてくる作品ぽくて、わたしはあまり好きにはなれませんでした。 それにしてもトルコ映画ってなかなか観る機会がなかったので、そこはとても興味深かったです。