
『おとうと(1960)』のスタッフ・キャスト
『おとうと(1960)』の感想・評価・ネタバレ
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すれ違う雨傘、黒の映える撮影。これもまた市川崑らしいスタイリッシュな映像美。面倒ばかり起こす弟と、頼りない親に代わって世話をする姉。「やんなっちゃうなァ」「何さ」なんて掛け合いや、激しい取っ組み合いにそこはかとなく密接な関係が漂う。岸恵子のプンスカふくれ面がいい。しかし、場面に似合わないホラーみたいな音楽がやたらと流れるのは何故。田中絹代の継母も怖いし、おかげで妙に不気味ムード。やがて後半ますます不穏な陰影を強めて、あの幕切れ。うわあ何だかぞっとする…。それにしても、岸恵子のズバズバ歯切れ良い台詞ときりりとした所作ときたら惚れ惚れしちゃう。そして常に何かと戦ってるような気丈さが切ない。