ノクターナル・アニマルズ

Nocturnal Animals
2016年 アメリカ 116分
rating 3.9 3.9
10 12

「ノクターナル・アニマルズ」のスタッフ・キャスト

「ノクターナル・アニマルズ」の感想・評価・ネタバレ

  • s_p_n_minaco
    s_p_n_minaco 0 27日前

    revengeというより徹底的にblameの話だったと思う。元夫の書いた劇中小説の物語が入れ子構造で、「弱い」「相対的」「母と似た娘」「哀しい眼」と鍵となるフレーズがそれぞれの世界に反映する。とはいえ、小説自体はタイトル以外文章による描写は出てこないので(一人称か三人称かすら不明)、あくまで元妻が「読んだ」ものに過ぎない。彼女が自分というノクターナル・アニマルズを投影して没入した視点であり、更に挟まれる回想も含め、すべて彼女の内面の物語にすら思える。そして、小説内でも過去でも誰かが誰かを責める。彼女の家族は兄を責め、母は娘の結婚を責め、彼女と元夫はお互いを責め合い、小説の主人公は犯人以上に自分を責め…この「責められる」恐怖が執拗に迫ってくる。 つまり常に直視できない内なる呵責に取り憑かれていて(不思議と現在の夫との間にそれはない)、殆ど1人相撲のパラノイアホラーだ。リッチな現実と陰惨な虚構はどちらも荒涼として毒々しい。方やジョージア・オキーフ、方やアンドリュー・ワイエスを思わせるイメージ。トム・フォードは『シングルマン』ほどの完成された美術ではなくて、むしろ映画的な意匠を凝らしてた(試してた?)感じ。オープニングは音楽とミスマッチのインパクト。 それから、赤毛を如何に美しく見せるかの赤毛だらけ映画でもあった。漆黒や緑に赤毛は映える。敢えてエイミー・アダムズのそっくりさんアイラ・フィッシャーを起用したのだと思うけど、ほんとに最初は区別つかなかったよ。あと、恐らく小説内で兄を反映したのがマイケル・シャノンだったと思う。

  • southpumpkin
    southpumpkin 4 2017年12月31日

    美術商の女の元に元旦那から小説が届く。三人の家族が遭遇する衝撃的な出来事を描く物語の不穏さに女はどんどん取り込まれていく。 映画の多くを占める劇中劇が純粋に面白い。『ヒッチャー』的展開から始まる復讐劇です。犯罪の薫り漂う悪役と主人公一家との会話はヒリヒリと焦がれるような厭らしさ。その後の展開は『ファーゴ』『最後の追跡』、そして『マッドマックス』っぽさもあります。そんな面白い映画のエッセンスを抽出したような小説ですが、そのストーリーに映画独自の裏の意味を付与させているのが本作。女が本を読む現在、女が元旦那と出会い別れる過去、そして小説として描かれる劇中劇を巧みに接続しています。本を描く元旦那と小説の主人公が同じくジェイク・ギレンホールが演じていたりするのは、奇作『ドニー・ダーゴ』と主演を同じくするという徹底ぶり(深読みしすぎ?)。現在、過去で提示される様々な事物が意味ありげに配置されているんですよねえ。 そしてラスト。複数の解釈を持たせる謎めいたエンディングです。とっても難しい。「なぜ元旦那はあの小説を送ったのか」というメインの謎をブン投げてしまうのだから大胆そのものなのですが、これを理解するラストの瞬間に、小説の真意も見え隠れするんです。すげえ。 2017年鑑賞ラストです。300本ちょうどでした。来年もたくさん映画を観ます!

  • shochan0627
    shochan0627 4.5 2017年11月8日

    2017年105本目の劇場鑑賞。 20年前に別れた夫から突然小説が送られてきたことに戸惑いながらも、 その衝撃的な内容に惹きつけられていくヒロインの不安と葛藤を、 過去と現在に加え劇中小説の物語も巧みに織り交ぜ、 美しくかつスリリングに描き出す。 開始早々度肝を抜かれるオープニングで、 グイグイ引き込まれて行くこの感じ。 芸術とは人の心に衝撃を与えて奥に潜っていくもなんですね。 小説の中の物語と現実のストーリーを平行して映し出し、 曖昧になっていく現実と小説の世界。 全く先の読めないストーリー展開でした。 豪華で演技力のある俳優たちの出演、 印象的だったのは刑事役を演じたマイケル・シャノンです。 とにかく顔が怖すぎでした。 美しいほどの完璧な復讐劇は見応えありました。

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