トニー・レオンのエンド・オブ・ザ・ロード

異域2: 孤軍
台湾
rating 3.5 3.5
1 0

「トニー・レオンのエンド・オブ・ザ・ロード」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 3.5 2013年2月23日

     1993年、台湾。朱延平監督。日本ではDVD発売のみで未公開。台湾題は、『異域2 孤軍』、香港題は『異域之末路英雄』。台湾では北京語版、香港では広東語版が上映されたようだが、日本版DVDでは『異域之末路英雄』というクレジットが流れ、音声が広東語であるところからすると、香港経由のフィルムをDVD化したものだろう。  さて、タイトルから分かるように、これは昨晩レビューした『異域』の続編的性格を持つ。「続編的」と書いたのは、前作が柏楊の小説『異域』に基づいていたのに対し、こちらは制作側が勝手にストーリーを展開したものであるからで、柏楊が名誉毀損で訴えたものの認められなかった、といういわくつきのフィルムである。  前作にも香港スター・アンディ・ラウが出演していたが、本作では、台湾・香港のキャスト・スタッフの混淆がいっそう激しくなる。キャストとして、香港側からはトニー・レオン、チャウ・シンチー周星馳との共演でも知られるン・マンタ呉孟達、そして当時の人気女優・ロザムンド・クワン關之琳が出演。台湾側からは、前作に引き続き庹宗華、柯俊雄、そして新たにジミー・リン林志穎らが。スタッフとしては、台湾ニューシネマの旗手、呉念真が脚本に加わり、王童が美術指導を務めている。  このように、キャスト・スタッフから見ても前作よりも豪華であり、前作の成功を受け、より多くの資金がつぎ込まれたことが見て取れる。だが、内容的には、やや前作に劣るように思われる。まず第一に、架空のストーリーであることから失われた現実性。今回は、タイの正規軍と中国人を親玉とするゲリラ軍との争いの間に国民党軍が巻き込まれる、というストーリーなのだが、中国人の親玉(呂良偉)(およびトニー・レオン)はどうも『地獄の黙示録』のマーロン・ブランドを想わせるところがある。トニー・レオンの役柄は、国民党軍を離れ、そのゲリラ側についてしまう役どころ。そしてン・マンタのもとにはミャンマー人スパイ關之琳が近づいて、などやや荒唐無稽な度合いが高まっている(その分エンタメ度が高まっているとも言えるのだが)。  香港電影資料館のデータベースの俳優と役名の組み合わせも間違いだらけだが、日本版DVDのジャケット裏のストーリーも、庹宗華と林志穎を混同するという大きなミスをしている。前作の続編であることがわかっていれば、そのような間違いはないだろうが…。  前作の末尾では、多くの兵士が台湾へと向かう飛行機に乗り込む中、亡き息子を弔おうと、庹宗華夫婦は逆の方向へ走る。あとから考えれば、これは続編の可能性を残すものであった。庹宗華の妻役は別の女優に変わっているが、娘が発達障害を患っているのは、前作を継承している。一方、上官役の柯俊雄、台湾に帰ったはずでは、と思いきや、前作と本作では役名が異なるようである(つまり別の部隊から来た上官として出演している?)。児童の先生役も別の女優に変わっているが、名前は「小紅」で共通しており、つまり彼女は前作でアンディ・ラウと別れ、想いを寄せられた男と死に別れた後、本作の最後で庹宗華と結ばれることになるのだろう。  ただ、庹宗華の視点でストーリーが語られる前作と異なり、本作では、トニー・レオン、林志穎、あるいは呉孟達らと視点を分けあっていて、庹宗華の存在感がかなり薄いのも事実である。また、髪型も林志穎と似ていて区別しづらい瞬間もあった(ためにDVDのクレジット・ミスを生んだのだろう)。  本作には雲南は全く出てこないといってよい。だが、国境域に残された国民党軍がどのように表象されたか、という視点からは興味深いものであった。主題歌・挿入歌については、前作では王傑が羅大佑のカバーを歌っていたが、本作では羅大佑が自作自演をしている。

「トニー・レオンのエンド・オブ・ザ・ロード」に関連する作品