『エル(原題)』2016年のカンヌ映画祭で初公開され、高評価を得た話題作
『エル(原題)』は2016年カンヌ映画祭のコンペティション部門で初上映されるやいなや、高評価を得た話題作です。
レイプの被害にあった女性が、事件を警察に報告せず自身で犯人を捜すという衝撃的なストーリーの本作について気になるあらすじやキャスト情報などご紹介します。
『エル(原題)』のあらすじは?
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主人公のミシェルは、友人のアンナとゲーム会社を共同経営している裕福な女性です。夫とは離婚し、アンナの夫であるロバートと不倫関係にあります。そして、ミシェルの家族もまた、現在妊娠中の彼女と同棲中の息子や、過去に大量殺人を起こして服役中の父親といったような問題を抱えた人物ばかりです。
そんなミシェルは、ある日自宅でスキーマスクをかぶった男性にレイプされてしまいます。事件後、警察に報告せず、護身用に斧と防犯スプレーを購入するミシェル。彼女は自分で犯人を見つけ出そうとするのです。
やがて、彼女のもとに再びレイプ犯が現れます。果たして犯人の正体は誰なのでしょうか?
『エル(原題)』のキャストは?
ミシェル/イザベル・ユペール
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主人公ミシェルを演じたのは、フランス出身の女優イザベル・ユペールです。
ユペールはパリに生まれ、ヴェルサイユの学校で演技を学びました。舞台やテレビなどで経験を積んだのち、1972年に銀幕デビューしています。
2001年の『ピアニスト』では、母親に束縛され恋愛経験がないまま育ってしまった39歳のピアノ教師役を演じ、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞しました。
2002年のミュージカル映画『8人の女たち』では、カトリーヌ・ドヌーヴ演じるギャビーと犬猿の仲のオーギュスティーヌを演じ、コメディ女優としての才能も開花させました。
カンヌ国際映画祭の審査委員長や、フランス映画祭の団長を務めるなど女優以外でも映画業界に貢献している人物です。
ロバート/クリスチャン・ベルケル
ミシェルの共同パートナーの夫で、彼女と不倫関係にあるロバートを演じたのは、ドイツ出身の俳優クリスチャン・ベルケルです。
ベルケルは、ユダヤ人の母と元軍医の父の間にベルリンで生まれました。ナチス統治時代はフランスやアルゼンチンに亡命していましたが、西ドイツに戻り、ベルリンで俳優として勉強したのち、1976年に映画デビューしています。
映画の他には舞台やテレビドラマにも出演しており、ドイツ国内ではドラマ俳優としての知名度が高いです。
映画の出演作としては、2004年の「ヒトラー 〜最期の12日間〜」や、2009年のクエンティン・タランティーノ監督作品「イングロリアス・バスターズ」が有名です。
新生バーホーベンの期待の二作目
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「エル(原題)」のメガホンをとったのは、1987年の「ロボコップ」や1997年の「スターシップ・トゥルーパーズ」といったSFアクションのヒット作を生み出した、ポール・バーホーベンです。
バーホーベンは2000年に透明人間をテーマにした作品『インビジブル』を監督してますが、スタジオが望むまま、自分の納得する作品にできなかったようで、その後活動拠点をハリウッドからオランダへ戻しています。
その後2006年に第二次世界大戦下のオランダを舞台にしたサスペンス映画「ブラックブック」を、VFXを一切使わずに撮影しました。「エル(原題)」は「ブラックブック」以降2作目となるバーホーベンの長編で、初のフランス語作品でもあります。
新生バーホーベンの二作目の作品ともあって、内容は期待できそうです。
すでに受賞歴多数!ユペールは2017年のアカデミー賞候補にも
(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINEMA – ENTRE CHIEN ET LOUP
「エル(原題)」はすでに、ゴールデングローブ賞外国映画賞に輝き、ノミネートはされなかったもののフランス大表作品としてアカデミー賞にエントリーもされました。また、第42回セザール賞では7部門にノミネートされました。
主演のユペール演技も高く評価されており、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。また、ゴールデングローブ賞主演女優賞を始めとし、合計5つの賞を受賞しています。