映画『見上げてごらん』制作秘話!森田剛を“普通のおじさん”役に起用した理由とは?【森本晶一×佐藤快磨監督に聞く】
タップできる目次
- 映画『見上げてごらん』作品概要
- 森本晶一監督・佐藤快磨監督のプロフィール
- 【企画の原点】YouTubeの「40代からマンガ家になれますか?」から生まれた物語
- 【ダブル監督の舞台裏】「一心同体でやろう」綿密な打ち合わせで作り上げた撮影現場
- 【ダブル監督の珍事件】「よーいスタート」の声が出ない!? 前作で起きたハプニング
- 【脚本作りの舞台裏】「このセリフは書けない」互いの才能を認め合う2人の創作
- 【森田剛の起用理由】狂気をはらんだ役から一転、“普通のおじさん”を演じたら?
- 【主人公・土屋のモデル】森本監督自身の助監督経験を投影、それでも「美化しない」理由
- 【森川葵の起用理由】「いい意味ですごく普通」素顔に感じた潮田役との共通点
- 【森川葵の役作り】「かっこつけてるけど、かっこつかない」ダサくて愛おしい編集者像
- 【武田鉄矢の起用秘話】「覚悟を決めてやろうぜ」巨匠役への抜擢と忘れられない言葉
- 【藤子・F・不二雄の影響】“すこし・ふしぎ”な世界観と、二転三転した神様の表現
- 【是枝裕和監督の反応】「俳優が全員すごく良かった」恩師からの言葉に喜び
- 【監督が選ぶオールタイムマンガ2選】森本監督の『奈良へ』と佐藤監督の『将太の寿司』
映画『見上げてごらん』作品概要
| 公開 | 2026年10月30日(金) |
|---|---|
| 監督 | 森本晶一、佐藤快磨 |
| 原案・脚本 | 森本晶一 |
| 出演 | 土屋輝一/森田剛 , 潮田ユキ/森川葵 , 山田ぽてと/川上友里 , 馬場明/阿部寛 , 土屋莉花/松本まりか , 吉住はるを/武田鉄矢 , 土屋ひかり/早瀬憩 |
| 配給 | ギャガ |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
42歳の土屋輝一(森田剛)は、巨匠マンガ家・吉住はるを(武田鉄矢)のもとでアシスタントを長年続けてきた男。かつては自分もマンガ家を目指していましたが、後輩たちは次々とデビューし、別居中の妻・莉花(松本まりか)は人気声優として活躍。高校受験を控えた娘・ひかり(早瀬憩)とも、どこか噛み合わない日々を送っています。 そんなある日、土屋のもとにマンガの企画が持ち込まれます。熱量不足の中堅編集者・潮田ユキ(森川葵)、猪突猛進な40歳の新人アシスタント・山田ぽてと(川上友里)らとともに作品づくりに取り組むことになった土屋は、こじらせていた人生を少しずつ動かしはじめます。
森本晶一監督・佐藤快磨監督のプロフィール

| 名前 | 森本晶一 |
|---|---|
| 出身地 | 京都府 |
| 所属 | 分福 |
| 経歴 | 小泉堯史、降旗康男、是枝裕和の各監督に師事。是枝監督の『万引き家族』(2018)、『怪物』(2023)などで助監督を務める |
| 主な監督作品 | ドラマ『あの夜をすくいに』(2025・佐藤快磨と共同監督) , 『見上げてごらん』(2026・長編映画監督デビュー作) |
| 名前 | 佐藤快磨 |
|---|---|
| 生年 | 1989年 |
| 出身地 | 秋田県 |
| 所属 | 分福 |
| 主な監督作品 | 『ガンバレとかうるせぇ』(2014) , 『泣く子はいねぇが』(2020・長編映画監督デビュー作) , ドラマ『あの夜をすくいに』(2025・森本晶一と共同監督) , 『見上げてごらん』(2026) |
| 主な受賞歴 | PFFアワード2014 映画ファン賞・観客賞(『ガンバレとかうるせぇ』) 第68回サンセバスチャン国際映画祭 コンペティション部門最優秀撮影賞(『泣く子はいねぇが』) |
森本晶一は、映像制作者集団「分福」に所属する映画監督です。小泉堯史、降旗康男、是枝裕和の各監督に師事し、是枝監督の『万引き家族』(2018)や『怪物』(2023)などで助監督を務めてきました。2025年には佐藤快磨とともにABCテレビのスペシャルドラマ『あの夜をすくいに』を監督。自身の経験から着想した原案・脚本による『見上げてごらん』で、長編映画監督デビューを果たします。 佐藤快磨は、1989年生まれ、秋田県出身の映画監督です。『ガンバレとかうるせぇ』(2014)でPFFアワード2014の映画ファン賞と観客賞を受賞し、第19回釜山国際映画祭のコンペティション部門にも出品されました。仲野太賀主演の『泣く子はいねぇが』(2020)で長編映画監督デビューを果たし、第68回サンセバスチャン国際映画祭コンペティション部門で最優秀撮影賞を受賞。『見上げてごらん』は長編映画監督2作目となります。
【企画の原点】YouTubeの「40代からマンガ家になれますか?」から生まれた物語

Q. 本作の企画が立ち上がった経緯についてお聞かせください。 森本 佐藤君とはもう10年くらい一緒に仕事をしている仲なんですが、江守プロデューサーから突然「ダブル監督で映画を撮らないか」と言われたのが始まりです。 佐藤君はこの話を先に聞いていたんじゃないかと勘ぐったりもしたんですけど(笑)、佐藤君とだったら面白い映画作りができそうだなと思って、すごくワクワクしました。 佐藤 事前に聞いていたかどうかは、最近ちょっと自信がなくなってきたんですけど(笑)。 もともと森本さんの企画だったので、森本さんが一緒にやろうと言ってくださるなら、ぜひご一緒したいなと。森本さんと一緒に作ったらどんな映画になるんだろうと、すごく楽しみでした。 森本 そもそも企画を思いついたきっかけは、YouTubeで悩み相談の番組を見たことでした。 40代のフリーターの男性が「今からでもマンガ家になれますか?」と相談していて。それに対する答えが、「今からものすごく新しい世界観のマンガを描くのは難しいかもしれないけれど、自分の身の回りで起きたことをマンガにするんだったら描けるんじゃない?」というものだったんです。 それを見て、その人はその後マンガを描いたのかなと考えているうちに、なんだか自分にも少し似ているかもしれないなと思って。 それなら自分も、半径何メートルかの身近な話を書いてみようかなと思ったのが始まりですね。 佐藤君はよく僕の家に来るんですけど、ベランダでタバコを吸いながら、そんな話をしたんだよね。 佐藤 そうですね。そのときは、企画の話に加えて、森本さんご自身が感じている実感のようなものもすごく面白くて。 自分の知らない映画になりそうだなと思って、「面白いですね」と言ったのを覚えています。
【ダブル監督の舞台裏】「一心同体でやろう」綿密な打ち合わせで作り上げた撮影現場
Q. ダブル監督という体制ですが、撮影現場ではどのように役割を分担しながら制作を進めていったのでしょうか? 森本 どうしても僕の方が前に出る性格というか、先に足が動いて、声が出るタイプなので、「こうだよね」と言ってから「佐藤君はどう?」と聞くことが多かったと思うんです。 ただ、実は2人でものすごく綿密に打ち合わせをしていたんです。 どう撮るか、俳優さんにどう動いてもらうか。リハーサルも重ねましたし、かなり入念に準備をして、撮影もほぼその通りに進めていきました。 映画を観た方からは、「アドリブが多いんじゃないか」「現場で思いついたことがたくさん盛り込まれているんじゃないか」と言われるんですけど、実はそうでもないんです。 もちろん、そういう場面もありましたけど、基本的には事前にすごく話し合っていましたね。 最初は佐藤君と「役割を棲み分けずにやっていこう」と話していたんです。まるで一心同体のように、ロケバスでもずっと隣同士に座ってみたいな。それぐらいの気概でいこうと。 森本 その気概はあったけどね(笑)。 佐藤 結果的には、ロケバスもバラバラに乗ることになりました(笑)。 森本 途中でタバコをやめたんですけど、僕も「タバコをやめます」「ずっと横にいます」と言っていたのに、佐藤君がリハーサルでいきなり俳優さんとタバコを吸いに行っちゃって。「全然違うじゃん」って(笑)。でも、何かを決めるときは、全部2人で相談して決めたよね。 佐藤 そうですね。本当にたくさん話し合いながら作っていったと思います。
【撮影現場の裏側】「意見は分かれなかった」俳優・スタッフと輪になって作る映画
Q. お互いの意見が合わなかったときは、どのように決めていたのでしょうか? 森本 基本的に、意見は分かれなかったですね。 佐藤 そうですね。激しくぶつかって埒が明かない、みたいなことはなかったです。 森本 現場でいうと、俳優さんのお芝居を見て何か思うことがあったら、佐藤君に「こう思うんだけど、言ってきていい?」と聞いて、2人で行って俳優さんと3人で話して「こうしよう」と決める感じでした。お芝居のことは俳優さんと僕らと助監督も含めて話し、カメラのことはカメラマンと話したりしていたので、2人だけで話すことは意外となかったのかもしれないですね。 佐藤 確かにそうですね。2人で話していると、カメラマンの月永(雄太)さんが来て輪ができて、なんとなく「こう撮るんだな」という道筋ができていった気がします。 森本 あと、2人で話すときも小声で話さないように意識していました。みんなに聞こえて、何が起こっているかわかってもらえるように。そこはすごく心がけました。
【ダブル監督の珍事件】「よーいスタート」の声が出ない!? 前作で起きたハプニング
Q. 以前、ドラマ『あの夜をすくいに』で経験されたダブル演出は、本作にどのように生かされましたか? 佐藤 作り方が大きく変わったかというと、そうでもないと思うんですけど、ダブル監督としては初めての経験だったので……。 笑い話なんですけど、撮影現場での「よーい、スタート」の掛け声は森本さんが担当していました。今回の『見上げてごらん』でも、2人で一緒に言うのではなく、森本さんが声をかけると決めていたんですけど、『あの夜をすくいに』のときは、撮影2日目から森本さんの声が出なくなってしまって。本当にまったく出ませんでしたよね。 森本 そう、まったく出なくなっちゃって。息のような声でコソコソ話して、佐藤君が通訳するという。「めっちゃコソコソしてるじゃん」みたいな(笑)。 佐藤 あれは今回、改善できたかなと思いますね。でも、映画の作り方自体は大きく変わらなかったと思います。映画『泣く子はいねぇが』のときも、森本さんにはずっと相談していましたし、現場でもたくさん話し合っていたんです。 今回も撮影の月永さんをはじめ、『泣く子はいねぇが』でご一緒したスタッフさんが多かったので、当時からのチームワークもあって。『見上げてごらん』も、本当に同じような空気感で作れたと思います。
【脚本作りの舞台裏】「このセリフは書けない」互いの才能を認め合う2人の創作

Q. ダブル監督だからこそ生まれたアイデアや設定はありましたか? 森本 2人でずっとこの話ばかりしていたので、佐藤君なしにはありえなかったというか。細かいセリフも一つひとつ「これ面白い?」と佐藤君に全部聞いていたし、「面白いです」と言ってくれると安心して。 横並びで書いていたこともあるし、「ここ何て言うんだろう?」と聞くといいセリフを考えてくれて、「天才」とか言って(笑)。そんなふうに書いていたので、僕としては全部一緒にやったという感覚なんです。 佐藤 森本さんはそう言ってくれますが、構成の段階では一緒に付箋をペタペタ貼りながら作って、それを森本さんがセリフに起こして持ってきてくれるんです。そこには自分では思いつかないすごく面白いセリフがあって、毎回楽しみでした。「このセリフは書けないな」というのが毎回の印象でしたね。 森本 佐藤君が思いついたセリフでいうと、ダイエットしているモンちゃんというキャラがいるんですけど、コンビニのナポリタンを食べながら言う「プラス10回噛むと痩せるらしいですよ」が、佐藤君の思いついた一番いいセリフだと思っています。 佐藤 僕が好きなのは、『クッキングパパ』を買ってきて「これ経費落ちますよね?」というセリフ。すごく意地悪なんですけど、愛があるというか、憎めないというか。 僕だとどうしても、キャラクター同士が対峙して相手にグッとぶつけるようなセリフになってしまうところを、森本さんは肩を組むような、誰かと関わり続けていくようなセリフが多くて。そこが毎回すごいなと、自分には書けないなと思います。ちょっとユーモアもあって、憎たらしさもあって。
【森田剛の起用理由】狂気をはらんだ役から一転、“普通のおじさん”を演じたら?

Q. 主人公・土屋輝一役に森田剛さんを起用した背景をお聞かせください。 森本 森田さんってこういう役をやっていたなといろいろ考えていると、普通のおじさんの役はやっていないなと思って、それが面白いなと。 佐藤 狂気をはらんだ役が多いイメージがあったので、そういう森田さんが今回の土屋を演じたらどうなるんだろうと。森田さんが演じる土屋輝一を明確にイメージできていたわけではないんですけど、まずはすごくワクワクしました。 森本 森田さんは不器用な人が好きなんだなと思ったんですけど、佐藤君や、カメラマン役の四宮(義斗)さんのことをすごくイジっていて。お茶目な人なんだな、愛のある人なんだなとすごく思いました。佐藤君、撮影中に誕生日だったんですけど、誕生日プレゼントをもらってたもんね。 佐藤 Tシャツと靴下をもらいました。森田さんはすごく優しかったです。僕は新宿出発が嫌で横浜に宿を取ったんですけど、その宿が眠れないくらいの環境で、次の日に顔がボロボロだったらしいんです。 それを森田さんがすぐに「大丈夫?」とイジってくださって。撮影2日目くらいだったので、森田さんと一緒に作っていくのがすごく楽しかったです。
【主人公・土屋のモデル】森本監督自身の助監督経験を投影、それでも「美化しない」理由
Q. 森田剛さん演じる土屋輝一を立ち上げるうえで、大切にしたことをお聞かせください 森本 土屋は、もともと自分に似たキャラクターとして発想したんです。僕は助監督をやっていたので、巨匠のアシスタントを長年続けている土屋の設定は自分と重なるところがあった。だからこそ、脚本づくりでも、佐藤君と一緒に作ることでも、なるべく自分から離れよう、離れようと。美化せず、客観的に土屋を見る。 脚本もそうですし、撮影の仕方も、あまり土屋の気持ちに寄り添って撮らないように心がけました。
【森川葵の起用理由】「いい意味ですごく普通」素顔に感じた潮田役との共通点

Q. 潮田ユキ役・森川葵さんを起用した背景を教えてください。 佐藤 潮田役は誰がいいだろうという話を森本さんや江守プロデューサーとしていて、森川さんの名前が挙がりました。実際に会いに行ったら、いつも俳優として見ている森川さんよりも、すごくオフのような状態に見えて。力の抜け方が、いい意味ですごく普通だったんです。 それが潮田という役の日常にフィットするんじゃないか、というのが第一印象でした。
【森川葵の役作り】「かっこつけてるけど、かっこつかない」ダサくて愛おしい編集者像
Q. 潮田ユキ(森川葵)のキャラクターを立ち上げるうえで、大切にしたことをお聞かせください。 森本 潮田は、自信はないのにプライドが高い、というのが前に出ているといいなと思っていて、わりと痛々しい、かっこ悪い役にしたかった。かっこつけてるんだけど、かっこついてない、みたいな。 森川さんはそこをすごく上手くつかんでくださったと思っています。俳優さんって、自分が演じる役をいい役にしたいという欲求がどうしてもあると思うんですけど、それがまったくない。ダサくてかっこ悪い、痛々しい役も楽しんで演じてくれている感じがして、うれしかったですね。
【武田鉄矢の起用秘話】「覚悟を決めてやろうぜ」巨匠役への抜擢と忘れられない言葉

Q. 巨匠マンガ家・吉住はるを役に武田鉄矢さんを起用した背景をお聞かせください。 森本 2人でコメダ珈琲で誰がいいか考えてたんだよね。60代以上のいろいろな方の名前を出して「あの人どうかな」とか言っていたときに、急に武田鉄矢さんが降ってきて。「武田さんの顔力は絶対いいぞ」って。 佐藤 あれはすごくテンションが上がりましたね。 森本 まだオファーもしていなかったんですけど、そのときから。武田さんって、ドラえもんの歌を書かれていたり、マンガ原作を手がけられていたり、すごくマンガに近しい方なんです。藤子不二雄さんや手塚治虫さんにも会ったことがあるとおっしゃっていましたし、僕らが経験していない「マンガの巨匠」というものを武田さんご自身が知っていたので、その経験を役にいただいたというか。 脚本を書いているときは、僕がついていた巨匠の監督たちを混ぜて書いていたんですけど、それはあくまで本の段階の話で、武田さんに決まってからは、むしろ武田さんが役に注入してくれたものの方が大きかった気がします。 佐藤 初めてお会いしたとき、武田さんが「この本で本当にいくんだな」とおっしゃって。やばいと思って「もし気になる修正箇所があればおっしゃってください」と言ったら、「いや、今までやってきた本と全部真逆だよ」と言われて、「覚悟を決めてやろうぜ」と言ってくださったんです。あれはすごくうれしかったし、覚悟が決まりました。そう言ってくださるんだ、と。 森本 「こうなると思ったのがことごとく覆される」とも言われて、「あ、そうなんだ」と思って……。 佐藤 あの日は祝杯を上げましたね。
【藤子・F・不二雄の影響】“すこし・ふしぎ”な世界観と、二転三転した神様の表現
Q. 日常に非日常が入り込む描写に、藤子・F・不二雄作品の「SF=すこし・ふしぎ」に通じる魅力を感じました。こうした世界観は意識されていたのでしょうか? ※ラストシーンに触れる発言を含みます。 森本 藤子・F・不二雄先生は僕も本当に大好きなんです。ちょうど準備しているときに『藤子・F・不二雄のまんが技法』という本を読んでいて、そこにも「藤子さんのSFは“少し不思議”なんだ」という話が載っていて、『見上げてごらん』と何か近いものがあるなと感じていました。それが自然とラストシーンにつながったんだよね。タケコプターだとちょっときついなと思って、ジェット岡持ちというのを背負わせているんですけど(笑)。 佐藤 最初は神様がすごく大事なモチーフで、神様が見える人たちと見えない人たちの話、という部分が脚本を書き始めたときにあったんです。神様をどう表現するかは二転三転して、今の形にたどり着きました。 途中では、虫の甲羅部分が手塚(治虫)先生の顔になっている「手塚治虫」という虫が現れたり、『もののけ姫』のこだまのように、マンガ家のレジェンドたちが妖精になって木の枝にみんなで座っていたり。そういう神様の表現を何周も検討して、今の形にたどり着いたのが印象に残っています。
【是枝裕和監督の反応】「俳優が全員すごく良かった」恩師からの言葉に喜び
Q. 是枝裕和監督が「Special Thanks」としてクレジットされていますが、どのような形で関わられたのでしょうか? 印象に残っている言葉があればお聞かせください。 森本 是枝さんには、脚本を一度読んでもらって感想をいただいたのと、編集の初期段階で一度観ていただいて感想をいただきました。「面白かったよ」と言ってくれましたね。「俳優が全員すごく良かった」と言ってもらえて、それが何よりもうれしかったです。
【監督が選ぶオールタイムマンガ2選】森本監督の『奈良へ』と佐藤監督の『将太の寿司』
Q. 最後に、マンガのオールタイムベストをそれぞれ1作品ずつ教えてください。 森本 一つには決められないんですが……大山海さんの、奈良を舞台にした『奈良へ』というマンガがあって。読んだときにとんでもなさすぎて、おしっこチビりそうになったんですけど(笑)。読まないと説明が難しいマンガなので、『奈良へ』ですね。 佐藤 僕は『将太の寿司』です。兄と父が好きで、小学生のころから何周も読んでいると思うんですけど、バトルものになるわけではなく、本当に寿司の技術で戦うマンガなんです。 登場人物はだいたいみんな忘れられない味を持っていて、将太がそのエピソードを聞きながら味を再現したりするんですけど、その味にはそれぞれの思い出が詰まっている。寿司でその人の思い出までたどり着けるんだ、寿司なのにそこまでいけるんだ、というのが、僕の中ではすごいマンガだなと。『将太の寿司』ですね。
▼取材・文:増田慎吾
