(c) Pascale Montandon-Jodorowsky

映画『エンドレス・ポエトリー』あらすじ・キャスト【ホドロフスキー新作】

2017年7月6日更新

鬼才アレハンドロ・ホドルフスキー監督の新作『エンドレス・ポエトリー』が2017年11月18日公開となります。ホドロフスキーならではの超現実的な物語と映像美が堪能できるこの作品のあらすじ、キャスト、監督の詳しい情報まで、まとめて御紹介します!

ホドロフスキー監督新作映画『エンドレス・ポエトリー』

カルト的な人気を誇るアレハンドロ・ホドロフスキー監督。2015年に公開され話題を呼んだ自伝的作品『リアリティのダンス』の続編となる『エンドレス・ポエトリー』が、2017年11月18日に日本でも公開されます。

『エンドレス・ポエトリー』

(c) Pascale Montandon-Jodorowsky

公開前に前作のストーリーや今作のあらすじ、キャスト、そしてホドロフスキー監督に関する情報を確認しておきましょう。

前作『リアリティのダンス』の簡単なあらすじ

舞台は1920年代、チリの小さな町トコピージャ。共産党員である厳格な父ハイメと、息子を自分の父親の生まれ変わりであると信じる母サラの元に生まれた少年アレハンドロは、ユダヤ系であることを理由に周りの子供達からからかわれていました。

息子を「真の男」にしたいハイメは、アレハンドロに様々な身体的暴力を振るいます。また彼はチリの右翼的大統領を殺害する計画を立てるが失敗し、長らく家を不在にすることに。その間アレハンドロは母のサラとより強い関係を築きます。

ナチスに囚われ拷問されながらもハイメはなんとかしてトコピージャに帰郷しましたが、家族は町にいられなくなり、3人で船に乗ってトコピージャを後にするのでした…。

『エンドレス・ポエトリー』のあらすじ

『エンドレス・ポエトリー』

(c) Pascale Montandon-Jodorowsky

舞台は前作から時代の進んだ1940年代。場所も活気あふれるチリの首都サンティアゴにうつっています。若きアレハンドロは医者になることを期待されながらも詩人になることを決意し、運命は彼を当時最も先進的なアヴァンギャルド詩人のサークルに招き入れます。

エンリケ・リン、ステラ・ディアス・バリン、ニカノール・パラといった、若き詩人たちと交流するアレハンドロ。彼らは当時はまだ無名でしたが、のちにラテンアメリカ文学界の巨人となる人物たちでした。彼らとの交流はアレハンドロの世界観を形成していきます。

虚実を織り交ぜながらマジックリアリズムの手法を用いて描いた『エンドレス・ポエトリー』は詩的な実験映画。自由に、輝くように、激しく生きた若者の姿を描いた、普遍的な作品です。

『エンドレス・ポエトリー』のキャスト

アレハンドロ/アダン・ホドロフスキー

青年期のアレハンドロを演じるのは、ホドロフスキー監督の末息子アダン・ホドロフスキーです。父親の若い頃を息子が演じる、という設定にはどこか夢がありますね。『エンドレス・ポエトリー』では葛藤を抱えたアイデンティティ形成過程の若者を描きます。

37歳のアダンは10歳の頃から俳優として活動しており、初出演作の『サンタ・サングレ/聖なる血』ではサターン若手俳優賞を受賞。父親の監督映画の常連で『リアリティのダンス』にもアナーキスト役として出演していました。

また彼はミュージシャンでもあり「アダノフスキー」という名のバンドで活躍中です。ギターのレッスンはジョージ・ハリスンから受けたというから驚きですね。

ハイメ/ブロンティス・ホドロフスキー

前作に引き続きアレハンドロの父親を演じるのは、これまたホドロフスキー監督の息子ブロンティス・ホドロフスキーです。今回の作品では主役は父から息子に移りますが、詩人になろうとする息子と厳格な父親の対立は大きなポイントとなりそうです。

ブロンティスもまた父親の監督映画にはしばしば出演しており、映画デビューはカルト的傑作『エル・トポ』でした。現在では主に舞台俳優そして舞台監督として活動しています。

アレハンドロの父はブロンティスが生まれる前に亡くなっているため、彼は実際にハイメに会ったことはありません。しかし『リアリティのダンス』そして今作『エンドレス・ポエトリー』を通じて父親について新たにたくさんの発見をしたと語ります。

ホドロフスキー監督について知っておこう!

本作『エンドレス・ポエトリー』の監督でもあり主人公でもあるのが、チリ出身の映画監督兼脚本家アレハンドロ・ホドロフスキーです。ホドロフスキーの作品は超現実主義的でアヴァンギャルドな雰囲気で有名で、映画を学ぶ人は避けて通ることができません。

1929年生まれの彼は2016年で87歳。『リアリティのダンス』で描かれる通り、チリのトコピージャで生まれ、12歳の時に首都サンティアゴに移ります。演劇に傾倒して大学を中退した後は、ヨーロッパや南米の各地で舞台俳優や監督として活動し、1957年に映画監督としてデビューしました。

ホドロフスキー監督の代表作となるのが1970年の『エル・トポ』です。

神秘主義的な空気の漂う西部劇であるこの作品は、あまりの不気味さと難解さのために大手配給会社には蹴られてしまいますが、小規模な上映からヒットが広がりました。またジョン・レノンやアンディ・ウォーホルといった有名人が絶賛したことでも有名になり、今ではカルト映画の傑作として語り継がれています。

また1973年の『ホーリー・マウンテン』もまた彼の独特の世界観で多くの人を魅了して大人気に。しかしそれ以後は長く企画が実現しない時期が続きました。SF超大作『デューン』も計画段階で中止になった作品です。

2013年、『デューン』製作の裏話を扱ったドキュメンタリー映画が公開されるとともに、ホドロフスキーの実に23年ぶりの監督作品である『リアリティのダンス』も公開されました。これは自伝的な作品であり、晩年の彼が最後に伝えたいメッセージが込められています。

フェデリコ・フェリーニに強い影響を受けている?

『カサノバ』

ホドロフスキー監督自身は一番好きな映画監督として、イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの名を挙げていますが、この『エンドレス・ポエトリー』はフェリーニ色の強いものになっている模様です。

小人やピエロや巨大な胸を持つ女性が登場する点だけでなく、冒険好きの主人公アレハンドロがボヘミアンな人々と交流しながら、セックスや芸術や情熱や破壊というものに触れていく過程が、フェリーニを思わせます。

しかし一方で、もちろんこの映画はホドロフスキーらしさも十分に持ち合わせていると言えます。次々に移り変わる幻影のような世界観、漫画を思わせるようなマジックリアリズム、そして感情に強く働きかける物語などは、彼ならではの特徴です。

ホドロフスキー自伝は全部で5作?

『リアリティのダンス』に続く今作『エンドレス・ポエトリー』はアレハンドロ・ホドロフスキーの自伝的な物語ですが、なんとホドロフスキー監督自身は自伝映画をあと3本作りたいと望んでいるそう。つまり全部で5作の映画で自らの人生を語るという、壮大なプロジェクトが進行しているのです。

しかし監督もすでに87歳。非常に元気とは言え、あと3本も映画を作るのは重労働なので、健康に気をつけてほしいものです。

製作資金の一部はクラウドファンディングで集められた

実はこの『エンドレス・ポエトリー』の製作資金の一部は、クラウドファンディングによって世界中のホドロフスキー支持者から集められました。寄付をした人にはサウンドトラックや監督からの個人的なメッセージビデオ、またプレミア上映会への招待などが贈られました。

いったいなぜ彼のような大物が、一般人から寄付を募る必要があったのでしょうか?監督のメッセージビデオを見ると、

なぜ私は映画を作るのか?87にもなって、身体中が痛いというのに…だけどこの幸せといったら!ここにきてやっと「破壊」ではなく「癒し」の映画を作ることの幸せ。愛を単純なゲームとしてしか語らなかったり、お金こそが人生で最も重要なものだと考えたりするハリウッド映画は、今や世界中を飲み込んでしまっている。劇場も、配給も、広告も全て占領された…私のような人間に残されたものなど何もない。
引用:youtube.com

と強く語られています。この映画『エンドレス・ポエトリー』は監督の人生の物語であるだけでなく、大衆的なハリウッド映画に対するアンチテーゼでもあるのです。

『エンドレス・ポエトリー』の日本公開はいつ?

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の待望の新作『エンドレス・ポエトリー』の日本公開日が2017年11月18日であることが発表されました。