漫画『「子供を殺してください」という親たち』ネタバレあらすじ＆感想！精神病患者に迫るノンフィクション作品

押川剛が描くノンフィクション漫画『「子供を殺してください」という親たち』。世の中には、問題を抱えながら適切な対処が受けられていない人物が数多く存在します。本作はそんな彼らを病院に繋ぐ押川の体験を軸にした、話題の社会派作品です。 そこで本記事では『「子供を殺してください」という親たち』のあらすじを、最新話までネタバレありで解説していきます！

増え続けている、家族間での殺人事件。世の中には精神的な治療を必要としながら病院に行けていない人間が多く存在し、押川剛が代表を務めるトキワ精神保健所事務所は、そんな彼らと病院を繋ぐ事業をしています。 押川が依頼を受けやってきた家には、全裸でバットを振る青年の姿が。親によると、彼は元々成績がよかったとのこと。しかし受験を前に成績が下がり始め、大学に入学した後から奇行が目立ってきたと話します。ついには飼っていた猫をバットで殴り殺し、母親が依頼に来たのでした。 押川の懸命な介助のおかげで、一時は働けるまで回復した彼。それでも病気からくる妄想は治らず、最終的には同僚に暴行を加え警察の病院に収容されてしまったのです。

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今回の依頼は、婚約者と別れてから病気になってしまった娘を精神病院に連れて行ってほしいと話す、父親でした。精神疾患を患っている可能性がありながら、10年も一人暮らしをさせ放置していた両親に違和感を覚える押川。どうやら両親は娘のことを大事にしたくないようで、保健師の介入にも消極的です。 押川が保健師に同行を頼み、迎えた移送当日。保健師は現れませんでした。問題を大きくしたくない父親が、勝手に断ってしまったのです。部屋の中には大量のティッシュと、病状が非常に進んだ娘の姿が。実は両親は大事にしたくない一心で、深刻な現状を偽って伝えていたのです。 結局救急車を呼び事件は大事になり、押川は父親から殴られてしまいます。現状を正しく伝えていなかったにもかかわらず親は怒り、料金は半分しか払われないのでした。

関わりのない人の墓に、謝り続ける1人の女性。妄想癖がひどい彼女をどうにかするため、父親と夫が押川の元へやってきます。懸命に解決しようとする父ですが、なぜか夫はあまり入院に前向きではない様子。 女性の妄想は、夫が娘に性的虐待をしている、夫が人を殺している、夫が自分たちを殺そうとしているというものでした。それでも夫は、具体的な解決策なく入院を可哀想だと感じていたのです。 妻の症状を精神疾患としてとらえず、現状を正確に把握できていない夫。結局父親の懇願もあり、押川は女性の入院措置を進めます。病気が固定化してしまった彼女は家族と離れた場所で治療を受けるようになり、夫は生涯を共にすると誓うのでした。

以前の押川が、ひきこもり支援の私塾をやっていた頃。母親から対処を依頼された青年は、一人暮らしをさせてから何年も働かずひきこもっているとのこと。しかし実際にあった彼は、対人恐怖もなくコミュニケーション力もありました。 青年は自ら通院し、酒を飲みに外に出かけ風俗にも通っています。精神病を患っている人間の線引きは、曖昧になってしまっているのが現状。押川は自称ひきこもりの青年は、ひきこもりでもなければ精神病患者でもなく、免罪符として使うため演技をしているのではと疑っていました。 九州へ一緒に赴き、働き口を紹介した押川。それでも彼は失踪し、時折みせていた犯罪者としての顔を覗かせるのです。

原作小説の作者である押川剛は、実際にトキワ精神保健事務所の代表を務めています。つまり本作は、実体験をもとに描くノンフィクション作品なのです。作中には様々な問題を抱えた、子供たちが存在します。しかし子供の問題の根底には、必ずといっていいほど親の影響がありました。 親は例外なく、誰にでもいるもの。毒親や、精神疾患を認めず大事にしたくない親。現実でも実際に問題視されている事件を、身近に感じられるハラハラ感が本作の見どころです。

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『「子供を殺してください」という親たち』は精神的な病気に蝕まれた人物を病院に繋ぐ、ノンフィクション漫画です。 ひきこもり問題や、家族間殺人。現実でも巻き起こる問題を身近に感じられる、社会派漫画に興味がある人はぜひ手に取ってみてください！