2019年3月23日更新

『レイク・マンゴー』再生30分で停止、翌日まで観れない怖さ【食べ食べカエル】

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食べ食べカエルの身の毛も(鱗も)よだつホラー『レイク・マンゴー』

人間食べ食べカエル

もう春の陽気が顔を出してきた季節。しかし、まだ肌寒い日があることも確か。そんな矢先に違う意味で震えてしまうホラー映画を、我らがツイッター戦士・食べ食べカエルが発見!その名も、『レイク・マンゴー ~アリス・パーマーの最期の3日間~』。 日本では劇場未公開、DVDスルーとなった本作はちょうど10年前、2008年に制作されたホラー映画です。実はかなり“怖い”と名高く、鑑賞した自身も「超怖い」という食べ食べカエルが本作をレビューします。

リアリティ特化型恐怖ジャンル、それはモキュメンタリー

モキュメンタリー、またはフェイク・ドキュメンタリーと呼ばれるジャンルがある。架空の出来事を、あたかも実際に起きたかのように取材映像等を交えてドキュメンタリー風に描いた映像作品を指す。これまで世界各地で数多くのモキュメンタリーが作られてきた。 ここ日本でも『ノロイ』という最恐の作品が生み出され、多くの人が眠れぬ夜を過ごした。そして今からさかのぼること10年前、実はオーストラリアでも心底恐ろしいモキュメンタリーが誕生していた。今回は、その作品『レイク・マンゴー 〜アリス・パーマーの最期の3日間〜』について紹介したい。

あらすじ

2005年12月。女子高生アリス・パーマーがダム周辺で行方不明となった。家族と警察は必死に捜索をしたが、それから数日後に彼女は遺体となって発見された。葬儀を行い、悲しみに暮れる家族の住む家で、不思議な現象が起こり始める。 夜中にラップ音が鳴り、母親は恐ろしい悪夢を見始めるようになり、アリスの兄は全身に謎の痣が発生。父親に至っては、部屋に入ってくる娘を目撃した。娘が霊となって戻ってきたのか。家族は真相を求めるうちに、やがて恐るべき事実を知ることなる……。

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モキュメンタリー界トップクラスの恐怖

一人の女子高生が行方不明となった事件を発端に彼女の家族に降りかかる恐怖を、実録ドキュメンタリー番組風に描いていく作りだが、この映画、メチャクチャ怖い。再生してから30分くらいで怖すぎて停止し、次の日まで観られないほどだった。一体何故ここまで怖いのか。

背筋が凍りつく戦慄の幽霊映り込み描写

まず第一に、心霊描写がヤバイ。アリスは死後、あらゆる形で残された人たちのもとに現れる事となる。写真や、家の中を撮ったビデオに度々映り込むアリスの佇む影。その姿は、おぼろげで虚無感に包まれており、ひどく不気味だ。生前の姿を知っていても、その恐ろしさに思わず鳥肌が立つ。廊下の片隅にぼうっと映るシーンを観たとき、その日の夜は電気をつけて寝ると決めた。 実は、この心霊描写ですらまだまだ序章に過ぎず、二転三転しながらドス黒い人間模様も明らかになり、更に恐ろしい事態へと発展していくのだが、それはまだ観ていない人のために、ここでは伏せておこうと思う。

徹底したリアリティへの拘り

心霊描写だけではなく、徹底したリアリティへの拘りも、本作を最恐たらしめる大きな要因だ。残されたアリスの家族を始めとした全ての人物が、まるで本当にアリスを失った人かのような真に迫った演技を見せてくれる。 特に父親役の人は、一見感情を抑えて外向きの話し方をしているが、時折その下に深い悲しみを覗かせる表情が素晴らしい。凄みすら感じる演技に、次第にこれは実話なのでは、と思わされてしまう。アリスを捜索する際の粒度の荒いニュース映像や様々なキャラの背景等の細かい作り込みも、本作のリアルさに拍車をかける。 そこに上記のような強烈な心霊描写が加わることで、極上の恐怖に仕上がるのだ。

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作品を彩る巧みな風景描写

もう一つ特筆したいのが、インタビュー等の間に何度も差し込まれる風景映像だ。誰かが受け答えを終えた際の場面転換などで夜の砂漠や、アリスの家族が住む家の外観や内装、教会などの映像を巧みに入れることで、映像作品としての完成度も高めている。 その風景は美しかったり、物悲しかったり、時に恐ろしく不気味だったりと、作品自体の雰囲気を大きく印象付けるのに効果的に働いている。これは他のモキュメンタリーではあまり見られない演出だ。何度も出てくる風景映像によって心が揺さぶられることとなり、アリス失踪に翻弄される人々の物語に更に引き込まれていく。

『レイク・マンゴー』は、間違いなくモキュメンタリーの隠れた傑作だ!

徹底したリアルさと不気味極まる心霊現象、そこに浮き彫りになる闇だらけの人間関係……。目に映る全てが怖い。10年も前にここまで完成度の高い作品が出ていたにも関わらず、スルーしていたのが本当にもったいない。まだまだ見逃してしまっている作品が多いという事を痛感する。 ともかく、本作は間違いなく傑作だと思う。あまりにも恐ろしく、そして物悲しいラストに戦慄することだろう。本作を観ると死ぬのが更に怖くなりますよ……。