人気小説を映画化した『ハンガーゲーム』
『ハンガー・ゲーム』の原作は、アメリカの作家スーザン・コリンズによるYA(ヤングアダルト)小説シリーズです。コリンズは、ギリシャ神話と現代のリアリティショーが作品のアイディア源となったと語っています。
初版発行予定部数は5万部でしたが最終的には30万部となり、26の言語に翻訳され世界中でヒットしました。2012年に映画化され世界中で大ヒット。2013年には続編も製作され、こちらも大成功となりました。
映画『ハンガーゲーム』のあらすじ
近未来のアメリカに位置する独裁国家パネム。政治の中心地であるキャピトルは一部の富裕層に支配され、キャピトルを囲む12の地区では貧しい人々が暮らしています。そこでは民衆の不満のはけ口にするため、各地区から12歳から18歳までの男女1を人ずつを選出し、最後のひとりになるまで戦わせる「ハンガー・ゲーム」が年に1回行われていました。
選出の日、主人公カットニスはメンバーに選ばれてしまった妹に代わり、自分がゲームに参加することを志願します。カットニスは、狩猟で鍛えた弓矢の腕前と鋭い勘を武器に、他のメンバーと協力しながら勝ち進んでいきます。
『ハンガー・ゲーム』のキャストは?
カットニス・エバディーン役:ジェニファー・ローレンス
主人公で、妹の代わりに「ハンガー・ゲーム」に参加することになったカットニス。弓矢が得意で、勘も鋭く、精神力や能力も高い16歳の少女です。
ゲームの開始前からカットニスは民衆の人気を獲得し、より有利な条件を与えられていきます。
カットニスを演じたジェニファー・ローレンスは、1990年8月15日生まれ、アメリカのケンタッキー州出身の女優です。2008年、『ガーデン・パーティー』で映画デビューし、同年『早熟のアイオワ』、『あの日、欲望の大地で』にも出演。『早熟のアイオワ』ではロサンゼルス映画祭最優秀賞を、『あの日、欲望の大地で』ではベネツィア国際映画祭で新人俳優賞を受賞しました。
『X-MEN』シリーズのミスティーク役でも知られており、幅広いジャンルの映画に出演しています。
ピータ・メラーク役:ジョシュ・ハッチャーソン
ピータは、カットニスとともに第12地区から選ばれた少年です。体にペイントを施すことで周囲に溶け込み、身を隠すことができます。生き残るために計算高く立ち回りますが、カットニスを共闘していくことになります。
ピータを演じたのは、ケンタッキー州出身の俳優ジョシュ・ハッチャーソンです。2003年に『アメリカン・スプレンダー』で映画デビューし、その後は『ポーラーエクスプレス』や『ハウルの動く城』で声優も務めました。2010年には、映画『キッズ・オールライト』にも出演しています。
ゲイル・ホーソーン役:リアム・ヘムズワース
カットニスの隣の地区の青年ゲイルは、彼女の狩猟仲間です。「ハンガー・ゲーム」に参加することになったカットニスの代わりに、彼女の母と妹の世話を頼まれます。カットニスが想いを寄せる人物です。
ゲイルを演じたリアム・ヘムズワースは、1990年1月13日生まれのオーストラリア出身の俳優です。2009年に『ノウイング』で映画デビューし、その後『エクスペンダブルズ2』(2012)や『インディペンデンス・デイ:リサージェンス』(2016)などに出演しました。
また、2010年の映画『ラスト・ソング』では、ティーン・チョイス・アワードの新人賞を受賞し、相手役を演じたマイリー・サイラスと婚約したことでも知られています。
ヘイミッチ・アバーナシー役:ウディ・ハレルソン
カットニスらと同じ第12地区出身の「ハンガー・ゲーム」の優勝経験者で、彼らの指導役となったのがヘイミッチ・アバーナシー。当初は呑んだくれでやる気のない人物でしたが、カットニスを気に入り助言や差し入れをするなど、彼女が優勝するために尽力するようになります。
ヘイミッチを演じたのは、テキサス州出身の俳優、ウディ・ハレルソンで、悪役や危険人物の役を多く演じています。
コーエン兄弟監督の『ノーカントリー』(2007)や『グランド・イリュージョン』シリーズにも出演しており、2009年には『メッセンジャー』でアカデミー賞助演男優賞にノミネート、インディペンデンス・スピリット賞で助演男優賞を受賞しました。
セネカ・クレーン役:ウェス・ベントリー
セネカ・クレーンは、「ハンガー・ゲーム」を影で取り仕切るチーフ・ゲームメーカーです。ゲームのテーマ設定から参加者の監視、死亡者の発表、ルールの変更など、大きな権限を持っています。
セネカ・クレーンを演じたウェス・ベントリーは、アーカンソー州出身の俳優です。高校卒業後、ジュリアード音楽院で1年間学びました。1998年に映画デビューし、翌年の『アメリカン・ビューティー』への出演で注目されるようになります。ニコラス・ケイジ主演のアメコミ映画『ゴーストライダー』(2007)や『インターステラー』(2014)などにも出演しています。
コリオラヌス・スノー大統領役:ドナルド・サザーランド
パネムを率いるスノー大統領は「ハンガー・ゲーム」の主催者であり、強い階級意識の持ち主です。民衆の不満をそらすためにゲームを開催し、政治を取り仕切り続けています。
スノー大統領を演じたのは、カナダ出身の名優ドナルド・サザーランドです。トロント大学卒業後にイギリスで演技を勉強し、ヨーロッパで数本の映画に出演した後、1965年の『駆逐艦ベッドフォード作戦』でハリウッドデビューを果たしました。その後はホラーから古典劇まで幅広い活躍を見せ、名脇役として知られるようになります。
『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアー役で知られる、キーファー・サザーランドの父です。
『ハンガー・ゲーム』の見どころをご紹介!
近未来の世界観に注目!
富裕層と貧困層に分かれた独裁国家パナム。政治への不満から民衆の気をそらすために「ハンガー・ゲーム」が行われるこの国は、現代社会を象徴しています。
国の思惑どおりにゲームに熱中し、本当の問題を見ようとしない民衆。貧困層の不満は高まるばかりですが、力で押さえつけ抑圧され続けています。
壮絶なサバイバル・アクション
「ハンガー・ゲーム」では、参加者たちが生き残りをかけて、まさに命がけで戦います。激しいアクションシーンや、森でのサバイバルなど、緊迫した場面の連続には、思わず息を飲むでしょう。
揺れ動く男女の恋
たった1人しか生き残れない「ハンガー・ゲーム」に先立ってインタビューをうけたピータは、打算からか本心からか、カットニスへの恋心を大衆の前で打ち明けてしまいます。
最初は怒りを感じピータに反発したカットニスでしたが、彼のやさしさに次第に惹かれていきます。
アクションだけじゃない!キャラクターの人間性を描く
「ハンガー・ゲーム」への参加者は、基本的には普通の少年少女たちです。カットニスやピータのように、積極的には人を殺そうとしないキャラクターもいれば、ゲームに勝つためグループを作り、他の参加者を集団で殺していく者もいます。
ゲームの全ては国中に中継されているので、カットニスのような誠実な人物は視聴者の人気を獲得していきます。
『ハンガー・ゲーム』の知られざる5つの事実
1.衣装の脱ぎ着は大変
第12地区のエスコート、エフィー・トリンケットを演じたエリザベス・バンクスは、毎日凝ったネイルの準備に45分かけていたそうです。作業にかかった時間を無駄にしないため、衣装を脱ぐ時やトイレに行く時も誰かに手伝ってもらわなければいけませんでした。
2.あの人は自ら役に志願!?
ドナルド・サザーランドは手違いで読んだ脚本を気に入り、自らスノー大統領の役に志願しました。そのために徹底的にロビー活動を行い、自らゲイリー・ロス監督に手紙を書いたそうです。
3.役づくりのため原作を読破!
ピータを演じたジョシュ・ハッチャーソンは、キャラクターを理解するため、原作シリーズ3作を5日で読破したそうです。
4.ジェニファー・ローレンスは出演に消極的だった?
それまで主にインディペンデント映画で活躍していたローレンスは、『ハンガー・ゲーム』に出演するかどうか3日間迷ったそうです。シリーズ作品になることも予想される大作映画に主演することで、その後の人生が変わることに恐怖を感じていました。
5.ハードな役づくりもこなす
主演のジェニファー・ローレンスはカットニスの役づくりのため、多くのレッスンを受けました。カットニスの特技であるアーチェリーをはじめ、登山、戦闘、ヨガ、ランニングの訓練を受けたそうです。
トレーニングの最終日、ローレンスは壁に激突しましたが、無傷でことなきを得ました。また、撮影中にはピータ役のジョシュ・ハッチャーソンの頭を蹴ってしまうアクシデントが起き、彼は脳しんとうを起こしてしまったそうです。