1.原作は1人称、映画は3人称!?
原作ではゲイル・ホーソーンとカットニス・エヴァディーンの二人は狩猟を楽しむなど親友ではあったものの、恋愛関係に発展することはありませんでした。
さらに、ハンガーゲーム開始後はカットニスのサバイバルにフォーカス、ゲイルを描写することはありません。
一方、映画版『ハンガー・ゲーム』は一人称ではなく、三人称で描かれているため、ゲーム開始後もゲイル視点の場面が盛り込まれています。
中にはピータ・メラークとカットニスが良い雰囲気になる場面を、スクリーンを通してゲイルが眺めるシーンさえありました。
2.原作の方が寿命が長い!?
ストーリーが進むにつれて多くの犠牲者が出るハンガー・ゲーム、原作では犠牲者が最後を迎える大事な瞬間をしっかりと描いていました。
たとえばゲーム序盤、キャンプファイアを始めた女性の近くでカットニスがキャンプをする場面。
この女性は命を狙われますが、一命は取り止めて瀕死状態になります。生きていることが分かると、ピータが息の根を止めるために彼女の下へ送られます。
またケイトーがミュータントマッツに襲われるシーン、原作ではケイトーが苦しむ描写が長く、カットニスがケイトーを安楽死させるまで数時間の時間経過がありました。
一方映画では、キャンプファイアの女性は襲撃直後に死亡、ケイトーも数分苦しんだ末、カットニスがすぐに止めを刺していました。
3.カットニスに別れを告げるシーンがカットされていた!?
原作ではカットニスがキャピトルへ向かう前、ゲイル、母親、妹がカットニスに別れの言葉を告げる大切な場面がありました。そこにはピータの父親も来ていたことは驚きです。
一方、映画ではこの場面は全てカットされていました。
それほど多くの読者が気にしている様子はありませんでしたが、この短い場面はピータとカットニス家の絆を示す重要な場面です。
4.映画はカットニスとルーの物語が薄い!?
第11地区代表、最年少のハンガー・ゲーム参加者ルーは身体的に彼女より勝る参加者たちと競い合わなければなりませんでした。そんな彼女はトレーニングセッションでカットニスに興味を持ち、絆を育むことになります。
カットニスは妹が代表として選ばれてしまい、妹を助けるために自ら志願してハンガー・ゲームの代表となりました。カットニスは小さなルーに妹を重ね合わせ、彼女を守ることに使命感を抱いている様子でした。
映画でもルーとカットニスの間に多少絆のようなものはあったものの、どこか上辺だけで深く掘り下げられることはありませんでした。
5.原作ではゲームメイカーの影が薄い!?
上記で説明したように小説は一人称、映画は三人称で語られるため、小説よりも映画の方が深く描かれるキャラクターが中にはいます。
例えばゲームメイカーの扱いです。原作ではウェス・ベントリー演じるセネカ・クレーンは登場場面がかなり限られていました。
さらに、原作ではゲームメイカーの運命が描かれるのは続編でしたが、映画では参加者二人が生き残った責任を取らされて毒入りのナイトロックベリーを食べるはめになります。
6.レーティングを気にして過激描写をカットしていた!?
映画のレーティングをPG-13に保つため、原作の過激だった描写が多くカットされていたそうです。
その中でも映画と原作の最大の違いはクリーチャーの扱いです。
原作では、キャピトルは犠牲者の遺体を継ぎ合わせて恐ろしいミュータントを生み出し、そのことにカットニスは気づいていました。
しかし、映画ではセネカ・クレーンが用意した巨大な犬のような動物として描かれ、どうやって恐ろしいクリーチャーが生み出されたのかさえ作中で語られることはありませんでした。
原作では最も恐ろしく、インパクトのあるプロットでした。
7.原作はゲームの裏側をあまり描いていなかった!?
原作はカットニスがゲームの中でどう生き延びるのかに焦点を当てた構造を持っていました。
一方、映画ではカットニスのサバイバル以外に、参加者を出来るだけ近くに配置させる工夫などゲームの裏側が多く描かれていました。
そのことによってドナルド・サザーランド演じるスノー大統領が原作よりも大きな役割を担っています。
8.映画版はクライマックスの緊張感が薄い!?
第11地区の代表者スレッシュはカットニスの命を救った後、何者かに殺害されてしまいます。原作ではケイトーが殺したことが仄めかされていました。
一方、映画ではスレッシュは巨大な犬のクリーチャーによって殺害されたことになっていました。
これは小さいようで大きな違いです。ゲーム参加者の中心的ヴィランと言えばケイトー、彼がスレッシュを殺害したことで生まれる緊張感が原作クライマックスの重要な要素でした。
9.映画に登場しない重要キャラクターがいる!?
映画には登場せず、原作だけに登場したマイナーながら重要なキャラクターがいます。
たとえば、キャプトルでカットニスに食事を給仕していた少女アヴォックス。
彼女はキャプトルから逃げ出そうとして失敗、裏切り者の烙印を押されて舌を抜かれた過去がありました。
カットニスが彼女を助け出さなかったことを後悔する場面など、脇のキャラクターながらバックストーリーが深く描かれていました。
10.ルーの死に対するリアクションが原作と映画では異なる!?
おそらく、原作と映画の最大の違いはルーの死に対するリアクションでしょう。原作ではカットニスのリアクションにフォーカスされていましたが、映画では第11地区の住民のリアクションにフォーカスしていました。
映画ではルーの悲惨な死を目の当たりにした第11地区の住人たちが蜂起を起こし、キャプトルの役人たちに襲い掛かります。
一方、原作ではキャプトルに対する爆発的な蜂起は続編で描かれ、ルーが象徴的な存在になった後のことでした。