ラロ・シフリン、『燃えよドラゴン』の作曲を手掛け数々の賞の超常連だった作曲家をもっと知っておこう!

2017年7月6日更新

ラロ・シフリンは100を超える映画やテレビシリーズの作曲を担当した、映画音楽界の重鎮です。彼の作品の中には『ミッション・インポッシブル』や『燃えよドラゴン』のテーマといった誰もが聞いたことのあるものも含まれます。そんなシフリンについて以下の記事で詳しくご紹介します。

あのお馴染みのメロディの生みの親!

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名前を知らなくとも、『ミッション・インポッシブル』のテーマや『燃えよドラゴン』の音楽を思い浮かべることは難しくないでしょう。

そう、これらのお馴染みのメロディを生み出したのが、アルゼンチン出身の作曲家ラロ・シフリン。彼は1960年代から現在まで精力的に活動を続け、映画界ではなくてはならない存在となっています。

数々の賞レースの常連ともなっているラロ・シフリンとはどんな人物なのか…以下の記事で詳しく見ていきましょう。

ラロ・シフリンの生い立ち

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ラロ・シフリンは1932年、アルゼンチンはブエノス・アイレスに生まれました。父親がブエノス・アイレス交響楽団のコンサートマスターという音楽家の家庭にあった彼は、自然と幼少期から音楽に親しみます。

6歳からピアノを始めた彼は、クラシック音楽の教育を受けますが、幼いシフリン少年は、ある時耳にしたジャズを忘れることができません。しかし当時アルゼンチンの政策では、アメリカのレコード類を輸入することが禁じられていました。

僕は法を破っていた…真夏でも僕は冬のコートを着て、アメリカの水兵から秘密に買い込んだジャズのレコードを隠し持ったものだよ。
引用:nypost.com

このような日々が実を結び、50年代からジャズピアニストとしてヨーロッパで演奏し始めます。1958年にアメリカに移住し、ジャズトランペット奏者のディジー・ガレスピーと活動を共にします。シフリンはジャズ界で名を馳せ、グラミー賞の最優秀オリジナル・ジャズ作曲賞に2度も輝きました。

映画・テレビ音楽の道へ

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出典: nypost.com

ラロ・シフリンのキャリアを決定付けることとなったのは、1960年代前半に映画音楽の作曲を依頼されたことでした。1964年にアラン・ドロン主演の『危険がいっぱい』、1965年に『シンシナティ・キッド』の音楽を担当し、一躍有名に。

以後彼はロサンゼルスに移住し、映画音楽家としての活動に専念します。その才能はすぐに見出され、1967年の『暴力脱獄』でアカデミー賞作曲賞にノミネートされました。

名曲!『スパイ大作戦』のテーマ

以後ラロ・シフリンの作曲家人生を代表する事となるテーマが生まれたのは1968年。当時の大人気テレビシリーズ『スパイ大作戦』の作曲を担当した時でした。

この象徴的な五拍子のテーマ曲は、リメイクである映画「ミッション・インポシッブル」シリーズにも継続して使われたため、オリジナルのテレビシリーズを知らない人でも慣れ親しんでいますね。

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出典: bygonetv.com

実はこの曲を書くのにかかった時間はたったの3分!シフリンは当時を回想してこのように語っています。

プロデューサーのブルース・ゲラーは僕に言ったんだ「何かエキサイティングで、聞いてすぐにそれが何かわかるようなものが欲しい。家のどこにいて何をしていようと、この曲を聴いたらショーが始まったと分かるようなものを書いてくれ。」とね。だから僕はそうしたまでだよ。
引用:nypost.com

クリント・イーストウッド主演『ダーティー・ハリー』シリーズ

一躍時の人となったラロ・シフリンは1970年代に入ると、また一つ歴史に名を残すこととなる映画シリーズの作曲家に就任します。それがクリント・イーストウッド主演の『ダーティー・ハリー』シリーズです。

実はドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演、音楽ラロ・シフリンという3人が組むのは1971年の『ダーティー・ハリー』で3回目。シーゲルとイーストウッドがいかに彼の才能に惚れ込んでいたかが分かります。

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本シリーズのサウンドトラックは、ジャズとクラシック音楽、そしてさらにサイケデリック・ロックの要素をも持ち合わせており、独特の世界観を漂わせています。1980年代に誕生するジャズの一派、アシッドジャズを先取りしたものという見方もできるでしょう。

『ダーティー・ハリー』のサウンドトラックは映画音楽の枠にとどまらず、モダンジャズ、ロック音楽に大きな影響を与えた音楽作品なのです。

元祖カンフー映画『燃えよドラゴン』の作曲も

そして1973年、ラロ・シフリンは『スパイ大作戦』と並んで自らを代表することとなる映画音楽を世に送り出しました。それが『燃えよドラゴン』のテーマです。

ブルース・リーの名を一躍有名にし、世界中でカンフーブームを巻き起こした本作には注目すべき要素が盛りだくさんですが、シフリン作曲の音楽もその一つでしょう。

今まであまり使ってこなかったシンセサイザーを活用し、東洋の伝統を組みながらも新しくユニークなメロディを作りだしました。

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実はブルース・リー自身がシフリンを作曲家として起用したいと希望したそうです。リーは彼が作曲した『ミッション・インポッシブル』(スパイ大作戦)のテーマを非常に気に入っており、そのメロディに合わせてトレーニングしていたと言います。

今日では、『燃えよドラゴン』のサウンドトラックはカンフーのイメージを出すときに必ずと言っていいほど流れる定番曲となりました。

100を超える映画・テレビに楽曲を提供!

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出典: picssr.com

ラロ・シフリンの凄いところはその才能や創造性だけでなく、非常に多作であること。なんとこれまでに100を超える映画やテレビシリーズに作曲家として参加しているのです。

そのため、もちろん賞レースの常連。これまでに6度のアカデミー賞と3度のゴールデングローブ賞を含め、多数の著名な賞にノミネートされています。ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムに星を獲得したのも、1988年と非常に早い時期でした。

その中にはジャッキー・チェン主演でお馴染みの『ラッシュアワー』シリーズも含まれています!

『エクソシスト』の幻のスコアを書いた?

長いキャリアの中で、ラロ・シフリンは名作ホラー『エクソシスト』の音楽を書いたこともありました。しかしウィリアム・フリードキン監督の決断により、これは使われることなく幻となってしまったのです。

フリードキン監督はシフリンに映画の6分間の予告編を与え、それに合うような音楽を作るように頼みました。しかし、彼の書いたスコアはあまりにも不気味で気味の悪いものでした。それが恐ろしくグロテスクな映像と合わさり、観客の何人かが嘔吐してしまったのです。

ホラーであっても観客を遠ざけるようなことはしたくないと考えた監督は、彼の音楽を拒絶し、代わりにジャック・ニッチェを採用したのでした。

ラロ・シフリンの息子は映画脚本家

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これだけ映画の世界に深く携わっている父親を持てば、子も映画の世界に進むのは自然なことなのでしょう。ラロ・シフリンの息子2人はともに映画の脚本家として活動しています。

ライアン・シフリン(写真)はホラー映画の脚本を書いており代表作は『ケイヴ・フィアー』。ウィリアム・シフリンはアニメーション映画『魔法の剣 キャメロット』の脚本で知られています。